直法2−2
直所3−3
昭和53年1月28日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについて、通商産業省立地公害局長から別紙2のとおり照会があり、これに対して当庁次長名をもって別紙1のとおり回答したから了知されたい。

(趣旨)
鉱業権者が休廃止鉱山に設置する沈殿池、たい積場の護岸等の鉱害防止設備の設置のために支出する費用については、その設置が専ら休廃止鉱山における鉱害防止を目的として行われるものであり、かつ、当該鉱害防止設備がその後の収益の獲得に直接的に寄与しないこと等からみて、通常の減価償却の手続による費用化を強制することは適当でないと判断したものである。


別紙1

直法2−1
直所3−2
昭和53年1月28日

通商産業省立地公害局長 殿

国税庁次長

 標題のことについては、貴見のとおり取扱うこととします。


別紙2

52立局第646号
昭和52年12月20日

国税庁次長谷口昇 殿

通商産業省立地公害局長 左近友三郎

 我が国鉱業の歴史は古く、中には開坑以来千年以上にわたって操業を続けているものもあり、これに伴う鉱害の歴史も古く、過去においていくつかの大きな鉱害問題が生じている。特に、金属鉱業等においては、鉱山が休止又は廃止した後でも、坑道の坑口,鉱さいのたい積場等の蓄積鉱害源が残存するため、蓄積された重金属,酸性坑水等による鉱害が起っている。
 とりわけ、宮崎県土呂久、島根県笹ヶ谷に所在する廃止鉱山の砒素による健康被害等の鉱害があいついで顕在化したことにより、鉱害問題は重大な社会問題とされるに至っている。
 このような鉱害の発生を未然に防止するため、鉱業権者は鉱山保安法に基づき、稼行鉱山においてはもちろん休廃止鉱山(鉱量枯渇により将来にわたって操業を行わない休止中の鉱山及び鉱業権が消滅した鉱山をいう。以下同じ。)においても鉱害対策工事を行うことが義務づけられている。
 休廃止鉱山における鉱害対策工事(金属鉱山等保安規則第124条の7,第295条,第295条の2,第296条及び301条から305条の4まで(309条第1項において準用する場合を含む。)の規定により講じなければならない鉱害防止措置)の中には坑廃水処理のための沈殿池の設置,たい積場の護岸,排水路の敷設工事のように外形上は構築物と認められるものもあり、形式的には減価償却資産として費用配分すべきであるとする考えもある。
 しかしながら、休廃止鉱山における鉱害対策工事はその鉱山における生産活動が終了した後に行われるものであり、鉱業権者にとってその後の収益の獲得に寄与しないものである。また、外形上構築物であると認められるものがあったとしても、これらはその性格上他に転用ができず交換価値も有していない。
 したがって、鉱業権者が休廃止鉱山について休廃止後に行う鉱害対策工事のために支出する費用については、その支出の時に損金又は必要経費に算入することが適当であると考えるが見解を照会する。

(参考)

(1) 鉱害対策工事内容の一覧表

(2) 参照条文(金属鉱山等保安規則)(略)

参考(1)

鉱害対策工事とは次に掲げるものをいう。

(1) 捨石,鉱さいたい積物の切取り及び運搬

(2) かん止提,よう壁の築造又は改修

(3) 山腹水路,沢水排水路,非常排水路及びたい積場内雨水排除のための暗渠,開渠の設置又は改修

(4) かん止提の法面及びたい積物表面の保護

(5) たい積場集水地域内の流水,土石止め施設の設置又は改修

(6) 坑口密閉,坑廃水の集水,導水又は処理施設の設置又は改修

(7) 坑廃水処理による沈殿物のたい積場の設置又は改修

(8) 鉱山施設に残存する有害物質の流出飛散の防止

(9) 露天掘の埋め戻し

(10) 坑口の閉そく及び残壁整形,崩壊防止施設の設置及び改修

(11) 並びにこれらの工事に附帯する工事