1 償却限度額の算出方法

 運航距離比例法による償却限度額は、次により計算する。
 なお、既存船又は中古船に対する運航距離比例法の適用については、原則として、下記2又は3に定めるところにより算出された残存耐用年数又は見積耐用年数が5年以上となる船舶に限るものとする。(残存耐用年数又は見積耐用年数が5年未満の船舶につき本方法を採用しようとするときは、残存耐用年数又は見積耐用年数は5年として2又は3の算式を適用する。)

1、新造船に適用する場合
(取得価額−取得価額の10%相当額)×当該年度実運航距離÷生涯運航可能距離+特別償却限度額又は当該年度に繰り越された特別償却不足額

1 当該船舶について、圧縮記帳を行った場合の「取得価額」は、圧縮後の価額とする。以下同じ。

2 「生涯運航可能距離」は、海運企業財務諸表準則第36条第3項に定めるところによる。この場合において「最大航海速力」は、船舶件名表に記載された最大航海速力とする。以下同じ。

3 「当該年度実運航距離」は、当該船舶に備え置かれた船用航海日誌に基づき船長が報告した撮要日誌又は船舶運航実績報告書に記載された実測距離により、下記2 に従い、当該計算における実運航距離として所轄海運局長に報告された距離とする。以下同じ。

4 「特別償却限度額」又は、「当該年度に繰り越された特別償却不足額」には、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第52条の4(準備金方式による特別償却)の規定により積み立てる特別償却準備金の金額を含まない。以下同じ。

2、既存船に係る償却方法を運航距離比例法に変更する場合
(変更年度の期首帳簿価額−変更年度の前年度末の取得価額の10%相当額)×当該年度実運航距離÷変更年度以後の運航可能距離
 ただし、繰越特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算は次による。
(変更年度の期首帳簿価額−変更年度に繰り越された特別償却不足額−変更年度の前年度末の取得価額の10%相当額)×当該年度実運航距離÷変更年度以後の運航可能距離+当該年度に繰り越された特別償却不足額

1 「変更年度の前年度末の取得価額」は、取得価額に前年度末までの資本的支出の金額を加算した金額とする。以下同じ。

2 「変更年度以後の運航可能距離」は、次の算式により計算した距離とする。
  生涯運行可能距離×残存耐用年数÷法定耐用年数
 この場合において「法定耐用年数」とは、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)別表第1に掲げる船舶の耐用年数をいい(以下3において同じ。)、「残存耐用年数」とは、次により求めた年数(1年未満の端数は1年とする。)とする。

イ、従来定額法によっていた場合
  残存耐用年数=法定耐用年数×(変更年度の期首帳簿価額−変更年度の前年度末の取得価額の10%相当額)÷(変更年度の前年度末の取得価額−変更年度の前年度末の取得価額の10%相当額)
 この場合において変更年度に繰り越された特別償却不足額がある場合は、「変更年度の期首帳簿価額」から当該特別償却不足額を控除するものとする。以下ロにおいて同じ。

ロ、従来定率法によっていた場合
 未償却残額割合(変更年度の期首帳簿価額÷変更年度の前年度末の取得価額)
に基づいて、耐用年数の適用等に関する取扱通達(昭和45年5月25日国税庁通達直法4-25、直審38)付表7の未償却残額表により求められた残存耐用年数。

3、新たに取得した中古船につき運航距離比例法を採用する場合
 (取得価額−取得価額の10%相当額)×当該年度実運航距離÷取得年度以後の運航可能距離
注 「取得年度以後の運航可能距離」は、次の算式により計算した距離とする。
  生涯運航可能距離×見積耐用年数÷法定耐用年数
 この場合において「見積耐用年数」とは、減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項に規定する使用可能期間の年数をいう。

4、運行距離比例法を採用している船舶に資本的支出があった場合

(1) 資本的支出があった年度における当該資本的支出に係る償却限度額の計算は、次による。
  (資本的支出の金額−当該資本的支出の金額の10%相当額)×当該年度における資本的支出後の実運航距離÷生涯運航可能距離
 なお、既存船又は中古船に係る資本的支出については、この算式中の「生涯運航可能距離」をそれぞれ2にいう「変更年度以後の運航可能距離」又は3にいう「取得年度以後の運航可能距離」と読み替える。

(2) 資本的支出があった年度の翌年度以後の各年度における償却限度額の計算に当っては、上記1、2及び3の算式中の取得価額及び帳簿価額は、当該資本的支出の金額を加算した金額とする。

(3) 上記2又は3により償却限度額の計算を行っている既存船又は中古船につき資本的支出があった場合において、当該資本的支出の金額が当該船舶の再取得価額の2分の1に相当する金額を超えるときは、2又は3の算式中の「変更年度以後の運航可能距離」又は「取得年度以後の運航可能距離」を「生涯運航可能距離」に改め、以後その生涯運航可能距離を基礎として各年度の償却限度額の計算をする。

2 運航距離比例法を採用する船舶所有者の実運航距離の報告

 運航距離比例法を採用する船舶の所有者は、当該事業年度に係る実運航距離について、次により所轄海運局長へ報告するものとする。

(1) この方法の適用対象船舶の所有者は、税務申告前に、外航船にあっては(社)日本船主協会、内航船にあっては内航海運組合又は内航海運組合連合会あてに、別紙様式による当該事業年度に係る実運航距離に関する報告書(以下「報告書」という。)並びに船用航海日誌に基づき船長が作成した撮要日誌又は船舶運航実績報告書(以下「撮要日誌等」という。)並びにその写各1部を提出するものとする。

(2) (社)日本船主協会、内航海運組合及び内航海運組合連合会は、報告書と撮要日誌等を照合確認のうえ、報告書及び撮要日誌等並びにその写各1部を当該船舶所有者の所轄海運局長に提出する。

(注) なお、所轄海運局長へ提出した報告書の写及び撮要日誌等は、受付印を押印のうえ返戻されるが、船舶所有者は、撮要日誌等を保存のうえ、当該返戻された報告書の写を添付して税務申告を行うことが必要とされている。

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