直法2−23(例規)
昭和51年7月2日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 租税特別措置法第63条第1項に規定する土地の譲渡等に係る譲渡利益金額を計算する場合において、同条第2項第2号に規定する直接又は間接に要した経費の額を実額配賦法(租税特別措置法施行令第38条の4第8項の適用を受ける場合におけるその計算方法をいう。)により計算した金額によるときの配賦基準については、租税特別措置法関係通達(法人税編)(以下「措置法通達」という。)63(4)−16に定めているところであるが、法人が下記に定める基準により販売費及び一般管理費を個々の土地等に係る経費として継続して配賦している場合には、当該基準による配賦方法も同項の合理的な計算に該当するものとして取扱うものとする。
 この場合において、下記に定める基準は、同項の規定による場合の最も簡便と考えられる基準を示したものであるから、法人がその実情に応じ、より精密な配賦基準により販売費及び一般管理費の配賦をすることは差支えないが、下記の基準より更に簡便な基準は措置法通達63(4)−20の(2)ただし書の著しく合理性を欠くものとして取扱う。

1 専業不動産業者の場合

 専業不動産業者(宅地の分譲、建売住宅の販売等不動産の販売のみを行う者をいう。)については、次による。

(1) 販売費
 販売費(当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものに限る。以下同じ。)については、当該事業年度に販売した土地等及び建物にのみ配賦する。この場合、個々の土地等への配賦は、販売した土地等及び建物の譲渡価額の比による。

(注) 販売費とは、販売員給料手当、販売員の福利厚生費、旅費及び交通費、販売のための通信費、販売手数料、広告宣伝費、現地案内費等をいい、措置法通達63(4)−8ただし書に定める損失の額を含む。

(2) 一般管理費

イ 一般管理費(当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものに限る。以下同じ。)のうち固定資産である土地等の維持管理に直接要した費用については、当該土地等に直接配賦する。

(注)

1 一般管理費とは、役員報酬、従業員給料手当、福利厚生費、旅費及び交通費、通信費、交際費、租税公課、水道光熱費、事務用品費、消耗品費、修繕費、減価償却費、保険料、寄附金、賃借料、諸会費、会議費、退職金、賞与引当金繰入(純損)額、退職給与引当金繰入(純損)額、雑費等をいう。

2 固定資産である土地等の維持管理に直接要した費用とは、当該土地等に係る固定資産税、特別土地保有税、原価に算入しなかった登録免許税、不動産取得税、登記費用等をいう。

ロ イにより直接配賦した費用以外の一般管理費については、販売用の土地等及び販売用の建物にその全額を配賦する。この場合、個々の土地等への配賦は、次の算式による。

(算式)
  個々の土地等の(期首帳簿価額+期末帳簿価額)÷土地等及び建物の(期首帳簿価額+期末帳簿価額)の合計額

(注)

1 当期中に譲渡した土地等及び建物については期末帳簿価額を零とし、当期中に取得した土地等及び建物(当期中に譲渡したものを除く。)については期首帳簿価額を零とする。

2 期中に取得し、かつ、期中に譲渡した土地等及び建物があるためロの算式による個々の土地等及び建物への配賦が不合理となる場合には、当該期中に取得し、かつ、期中に譲渡した土地等及び建物については、期首に所有していたものとしてロの算式を適用する。この場合、土地等については素地の取得価額を、建物については譲渡原価を、それぞれ期首帳簿価額とする。

2 兼業不動産業者の場合

 不動産販売部門とその他の事業部門(不動産仲介、不動産賃貸その他の収益活動を行う部門をいい、本社の管理部門を除く。以下同じ。)とを有する者(部門別原価計算を行っていない者に限る。)については、次による。

(1) 部門別配賦

イ 販売費

(イ) 販売直接費については、各部門(不動産販売部門及びその他の事業部門をいう。以下同じ。)に直接配賦する。

(注) 販売直接費とは、販売手数料、販売員歩合給、広告宣伝費(個々の土地等又は一団の宅地に係る広告宣伝であることが明らかであるものに限る。)、現地案内費、顧客に対する交際費及び通信費、契約等の際の印紙税等をいう。

(ロ) 販売共通費については、各部門の売上高(不動産仲介部門にあっては、仲介報酬とする。以下同じ。)の比により配賦するが、不動産仲介部門がある場合に限り、各部門の差益の比により配賦することができる。

ロ 一般管理費

(イ) 一般管理費のうち、固定資産である土地等の維持管理に直接要した費用については当該土地等に直接配賦し、それ以外の部門直接費については各部門に直接配賦する。

(注) 部門直接費とは、各部門で直接支出した不動産賃借料、火災保険料、修繕費、従業員給料手当、当該各部門の固定資産に係る償却費等をいう。

(ロ) (イ)により直接配賦した費用以外の一般管理費の部門別配賦については、例えばその一般管理費の額の2分の1を各部門の売上高の比により配賦し、残りの2分の1を各部門の従業員数の比により配賦する等その一般管理費の額をその採用する2以上の配賦基準(配賦基準として著しく不適当なものを除く。)の数で除して得た額につきそれぞれの配賦基準を適用し、各部門への配賦額を計算する。

(注)

1 固定資産である土地等のうち賃貸しているものについては、(イ)により直接配賦した費用以外の一般管理費についても配賦することに留意する。

2 その採用する配賦基準は、少なくとも2以上でなければ合理的とはいえない。

(2) 不動産販売部門における各土地等への配賦
 不動産販売部門に配賦された費用については、1に準じて個々の土地等へ配賦する。

(3) 不動産仲介部門における各仲介行為への配賦
 不動産仲介部門に配賦された費用については、不動産取引の代理又は媒介に係る仲介報酬の比により個々の仲介行為に配賦する。

(注) 仲介行為のために直接要した費用についても、措置法通達63(4)−18にかかわらず、上記により配賦することができる。

3 経費の区分が不明の場合

 法人の支出した費用のうちに販売費又は一般管理費のいずれに該当するかが明らかでないものがある場合において、法人が当該費用を一般管理費として取扱っているときは、これを認めるものとする。