直法2-23
昭和49年2月25日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについて、別紙2のとおり照会があり、これに対して別紙1のとおり法人税課長名で回答したから、今後はこれによられたい。
 なお、割賦販売未収金、ローン等について、この取扱いによる保険契約と類似の契約をしているものにかかる未経過保険料の処理についても、法人の行う計算方法がこの取扱いの方法によっている等合理的と認められる場合には、この通達の趣旨に準じて取扱うこととされたい。

別紙1

直法2-22
昭和49年2月25日

全国農業協同組合中央会
会長 宮脇朝男 殿

国税庁直税部
法人税課長

 標題のことについては、貴見のとおりで差支えありません。

別紙2

全中組経発第140号
昭和49年1月8日

国税庁直税部法人税課
課長 津島雄二 殿

全国農業協同組合中央会
会長 宮脇朝男

 農業協同組合(以下「農協」という。)は、組合員の生活向上に資するため、多様化する生活資金需要に幅広くこたえ、かつ、簡易な手続きで融資することを目的として、昭和48年8月から「農協クローバローン」による融資を行なっています。
 この農協クローバローンによる貸金債権の保証を農協が損害保険会社と個人ローン信用保険(貸付金額方式(注))包括契約を締結して行なう場合には、保険契約時に貸付期間と同様に最長5か年に及ぶ前払保険料の支払があり、その支払った保険料のうち未経過期間に対応する部分の金額について、決算上繰延処理を行なう必要があります。
 しかしながら、繰延すべき金額の計算を個々の貸付契約1件ごとに行なうことは、貸付口数が多数になることが見込まれ、かつ、未経過期間が長期に及ぶことから、農協にとって多大の事務量になるものと考えられます。ついては、下記の方法により継続して計算するよう農協に対して指導したいと考えますが、この方法によることとしても税務計算上さしつかえないかお伺いします。

(注) 貸付金額方式とは、当初の貸付金額に保険料率を乗じて算出した最終期限までの保険料を一括して納付する方法である。

1 支払保険料を支払月(保険料支払の日が月の中途である場合には、保険料支払の日を含む月の翌月とする。)別および保険期間別に区分し、それぞれの区分ごとの支払保険料の額に、当該支払月から保険期間中に到来する各事業年度末までの経過月数に応じ、当該各事業年度末において次の算式により求めた未経過割合を乗じて計算した金額の合計額を当該事業年度における未経過保険料とする。
(算式)

未経過割合=1−当該支払月から各事業年度末までの経過月数÷保険期間の月数

(注)

  1. 1 小数点以下4位を四捨五入する。
  2. 2 未経過割合は、各支払月ごとにあらかじめ算定し「前払保険料未経過率早見表」にしておくものとする。

2 1の方法による場合において、保険契約の内容の変更、保険契約の解除等により保険料の追加払いまたは返戻があったときは、それぞれ追加払をした保険料の額は支出時の損金の額に、返戻を受けた保険料の額は収入時の益金の額に算入し、当該保険契約の内容の変更、解除等に伴う未経過保険料の額の調整計算はしないものとする。保険契約に係る保険事故の発生があった場合における当該保険契約の未経過保険料についても、同様とする。

参考

個人ローン信用保険の概要

  1. 1 保険の対象
     次に掲げる一定の条件を備えた個人対象の金銭消費貸借契約に基づく農協の貸金債権を保険の対象とする。
    1. (1) 貸付金額が1債務者につき年収の50%以内であり、かつ200万円以内であること。
    2. (2) 貸付時に他金融機関からの借入金と合算して(1)と同じ限度内であること。
    3. (3) 貸付期間が5年以内であること。
    4. (4) 所定の基準に合致した個人にのみに貸付けるものであること。
  2. 2 保険契約者、被保険者及び保険金受取人
     いずれも農協である。
  3. 3 保険金額
     各貸付契約の貸付金額と同額である。
  4. 4 保険期間
     各貸付契約の貸付期間と同様である。
  5. 5 保険事故
     次の場合に債務者が債務を履行しなかったとき保険事故が発生したものとする。
    1. (1)債務者が破産宣告、和議の開始、相続の限定承認または財産の分離により期限の利益を失った場合
    2. (2)債務者の履行遅滞が60日に及び、農協が債務者に期限の利益を失わせた場合
  6. 6 支払保険金
     保険事故発生日における未回収元金とその日までの既経過利息及び遅延損害金の合計額とする。
  7. 7 保険料
     貸付契約のつど、貸付金額および貸付期間に対応する保険料を一括払する。