直法2−36(例規)
直所2−29
昭和48年4月10日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについて、農林省畜産局長から別紙2のとおり照会があり、当庁直税部長名をもって別紙1のとおり回答したから、通達する。

別紙1

直法2−35
直所2−28
昭和48年4月10日

農林省畜産局長 殿

国税庁直税部長

標題のことについては、貴見のとおり取り扱うこととします。

別紙2

48畜A第820号
昭和48年3月5日

国税庁長官 殿

農林省畜産局長

 現在、農林省が実施している家畜導入事業は、別添の肉用牛導入事業実施要領、乳用牛導入実施要領および稲作転換促進対策事業実施要綱(水田飼料作推進家畜導入事業)に基づき、一定の地域に繁殖用の肉用雌牛および乳用雌牛(以下「家畜」という。)を計画的、集団的に導入することにより肉用牛経営および酪農経営の安定と発展を図ることを目的としたものである。
 これらの事業は、都道府県が事業主体となって実施する都道府県有事業と農業協同組合、農業協同組合連合会および地方農政局長が適当と認める公社等の法人(以下「農協等」という。)が事業主体となって実施する農協有事業に分かれているが、何れも、これらが事業主体となり、一定の地域の農業を営む個人および農業生産法人または農業者に生産子牛を供給する事業を行なう農協等(以下「農業者等」という。)を対象者として、事業主体の購入または所有(都道府県有事業の場合を除く。)にかかる家畜を一定期間(3年または5年)飼養管理させ、当該期間経過後に当該家畜を当該農業者等に譲渡することを内容とする事業である。
 農協有事業の実施にあたり国および都道府県は、農協等の事業主体に対し家畜導入事業費補助金(以下「補助金」という。)を交付することとしているが、従来の家畜導入事業における当該補助金は、事業主体となる農協等が系統資金等を利用して家畜を購入し、これを農業者等に飼養管理させる場合に、事業主体が毎年度負担することとなる当該家畜の購入費(補助対象価額部分)の5年間の金利負担および家畜の損耗による危険負担等の経費に充てるために交付する経費補助として運用し、これに関する税務上の取扱いは、昭和43年4月20日付官審(法)24通達「家畜導入事業にかかる法人税および所得税に関する取扱いについて」により取り扱われてきた。
 今般、47年度以降の本事業の執行にあたっては、事業目的の効率的な達成を期するうえから、事業主体における農業者等に対する指導ならびに家畜管理の強化と経理上の明確化を図るため、特に当該家畜の飼養期間中は、その所有権を完全に保有することが必要であり、また家畜価格の変動がさけ難い等の事情をも勘案して、従来の経費補助としての運用を家畜購入費に対する定額的補助として運用することとなったものである。これに伴い事業主体が購入または所有する家畜の価額と購入等諸経費の合計額から補助金を差引いて得た価額およびその譲渡時までの金利相当額の合計額を対価として譲渡するという当該補助金の利益が実質的に農業者等に帰属せしめるよう運用することに改めることとしているが、この新らしい事業の実施に伴う農協等における経理等については下記により指導することとしたいのでよろしくお取り計らい願いたい。

1 事業主体である農協等における経理について

(1) 農協等が取得した家畜を農業者等に飼養管理のために引渡しをした場合においても、当該家畜の譲渡時期は実施要領、要綱では当該引渡しの時点ではなく、飼養期間(家畜の引渡しの時から成牛にあっては3年間、育成牛にあっては5年間)経過後と定めているので、農協等においては当該家畜の取得価額に相当する金額を仮払金(導入家畜仮払金勘定)として経理すること。

(2) 農協等が都道府県から交付を受けた補助金については、その交付の趣旨にかんがみ、農協等においては単なる通り抜けと考え、仮受金(家畜導入事業費補助金仮受金勘定)として経理し、飼養期間経過後に農業者等に家畜を譲渡した際にその譲渡収入に充当すること。

(3) 農協等が農業者等から飼養期間経過後に収受することとなる譲渡対価のうち金利に相当する額については飼養期間の経過に応じ毎期決算時に未収収益として益金の額に計上すること。

2 導入家畜の引渡しを受けた農業者等における計算について

(1) 農業者等が実質的に受益する補助金については、農業者等において家畜の引渡しを受けたとき法人税法第42条(国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)または所得税法第42条(国庫補助金等の総収入金額不算入)の規定の適用があるものとして取り扱うものとする。この場合、補助金相当額控除後の価額で取得したものとして処理した場合においても同条の規定の適用を認めるものとする。

(2) 導入家畜の引渡しを受けた農業者等は、当該家畜について自己の責任において飼養管理をして、自己の事業の用に供するものであり、かつ、農協等が1の(1)により仮払い金として経理した金額に対して金利相当額を負担せしめるものであることから、その実質においては家畜の引渡しを受けた時点で取得したものと考えられるので、当該家畜の成熟後は当該農業者等の減価償却資産として取り扱うものとする。

(注) 昭和46年度までに実施してきた家畜導入事業実施要領、市乳地域成牛供給事業実施要領および稲作転換促進対策事業実施要綱(水田飼料作推進家畜導入事業)に基づく事業についての税法上の取扱いについては、昭和43年4月20日付官審(法)24通達「家畜導入事業にかかる法人税および所得税に関する取扱いについて」により取り扱うものとする。

添付書類
1 肉用牛導入事業実施要領(昭和47年6月1日付47畜A第2545号農林事務次官依命通達)
2 肉用牛導入事業費補助金交付要綱(昭和47年6月1日付47畜A第2545号農林事務次官依命通達)
3 肉用牛導入事業実施細則(昭和47年6月1日付47畜A第2546号畜産局長通達)
4 乳用牛導入事業実施要領(昭和45年8月7日付45畜A第3857号農林事務次官依命通達)
5 乳用牛導入事業費補助金交付要綱(昭和47年6月1日付45畜A第2543号農林事務次官依命通達)
6 乳用牛導入事業実施細則(昭和45年8月7日付45畜A第3856号畜産局長通達)
7 稲作転換促進対策事業実施要綱(昭和46年4月1日付46蚕園第917号農林事務次官依命通達)
8 水田飼料作推進家畜導入事業費補助金交付要綱(昭和46年5月10日付46畜A第2305号農林事務次官依命通達)
9 水田飼料作推進家畜導入事業実施要領(昭和46年5月10日付46畜A第2306号畜産局長通達)