直法2−18(例規)
昭和46年11月24日

国税局長 殿

国税庁長官

 標題のことについて、別紙2の預金保険機構からの照会に対し、別紙1のとおり回答し、これにより取り扱うこととしたから、通達する。

(趣旨)
金融機関が預金保険の保険料を納付し、それをただちに預金として受け入れる場合に、その納付する保険料の全額を損金の額とすることには問題もあるが、

  1. (1) 預金保険制度、預金保険機構は、預金者等の保護を図るために預金保険法によって設けられ、保険業務の運営も公正に行なわれるものであること
  2. (2) 保険料は同法の規定に基づき強制的に納付されるものであること
  3. (3) 預金保険機構から預託を受ける金額が多額でなく、全体的にみて保険料の性質を失うものでないこと

等の理由により、金融機関の納付する保険料の全額を損金の額に算入するものである。

別紙 1

直法2−19
昭和46年11月24日

預金保険機構
理事長 河野通一 殿

国税庁長官

 標題のことについては、御照会のとおり取り扱うこととしますので、御承知ください。

別紙 2

預保第30号
昭和46年10月20日

国税庁長官 殿

預金保険機構
理事長 河野通一

 当機構は、預金保険法(昭和46年法律第34号)に基づき設立された特別法人で、その行なう預金保険の概要は別紙のとおりであります。この預金保険制度においては、預金保険の対象となる金融機関は同法第50条の規定により当機構に保険料を納付することとなりますが、当該保険料の法人税法上の取扱いに関し、下記のとおり解してよいか貴庁のご見解を承りたく照会します。

 当機構は、本年7月に各金融機関から受入れた保険料収入の運用として、各金融機関ごとに、その納付した保険料の40%相当額を当該各金融機関に通知預金として預託(信用金庫および信用協同組合については、おのおのその全国連合会に一括して預入)したが、各金融機関が預金保険法に基づき当機構に納付する保険料について、その保険料の額のうち当機構からの預託にかかる部分の金額の合計額が当該営業年度(信用金庫および信用協同組合にあっては事業年度、以下同じ。)終了の日までの保険料の累計額に対し、その40%以下であるときは、当該営業年度に納付する保険料は全額これを損金の額に算入することができる。

以上  

別紙

1 目的

 預金保険機構は、預金者等の保護を図るため、金融機関の預金等の払戻しにつき保険を行ない、もって信用秩序の維持に資することを目的としている。

2 預金保険機構の設立および資本金

  1. (1) 預金保険法の施行 昭和46年4月1日
  2. (2) 預金保険機構の設立 昭和46年7月1日
  3. (3) 資本金の額 4億5千万円

 出資者の内訳は政府、日本銀行および民間金融機関が各1億5千万円ずつとなっている。なお、機構は営利を目的とするものでないため、出資には配当、議決権といった権利は伴わない。(将来、機構が解散した場合、出資者に対する残余財産の分配は出資額を限度とすることと定められている。)

3 預金保険機構の組織

  1. (1) 運営委員会
    委員長(機構理事長)、委員(7名以内、大蔵大臣の認可をうけて理事長が任命)および機構理事(1名)をもって構成し、定款の変更、業務方法書の作成・変更、保険料率の決定、予算・決算等機構の業務運営に関する重要事項を決定する。
  2. (2)執行機関
    理事長 日本銀行副総裁
    理事(1名) 大蔵大臣の認可を受けて理事長が任命
    監事(1名) 大蔵大臣が任命

4 預金保険機構の業務の概要

  1. (1) 保険の対象となる金融機関
    銀行、長期信用銀行、外国為替銀行、相互銀行、信用金庫、信用協同組合
  2. (2) 保険の対象となる預金等
    預金(貯金を含む)、定期積金、掛金および元本の補てんの契約をした金銭信託(貸付信託を含む)
     なお、外貨預金、公金預金、金融機関等からの預金、当機構からの預金、無記名預金等は対象から除外されている。
  3. (3) 保険関係の成立
    保険の対象となる金融機関が、その業務を営み、又は事業を行なうときは、当該金融機関が預金等にかかる債務を負うことにより、各預金者ごとに一定の金額(現在1,000千円)の範囲内において、当該預金等の払戻しにつき、機構と当該金融機関および預金者等との間に保険関係が成立する。(保険関係は法律にもとづき当然に成立するもので、別に加入等の手続きは行なわれない。)
  4. (4) 保険料の納付
    各金融機関は営業年度(信用金庫および信用協同組合にあっては事業年度、以下同じ。)ごとに、当該営業年度開始後3月以内に機構に保険料を納付する。
     保険料の額は次の算式によって算出される。

     前営業年度末日の預金等(注1)×当該営業年度の月数÷12×保険料率(注2)

    1. (注1) 外貨預金、公金預金、金融機関等からの預金、当機構からの預金、無記名預金等は計算から除外される。
    2. (注2) 現在の利率は10万分の6
  5. (5) 余裕金の運用
    機構の業務上の余裕金の運用対象は、法令および大蔵省告示により次のものに限られている。
    • イ 有価証券
      国債、地方債、政府保証債、金融債、貸付信託の受益証券、担保付社債、前記以外の確実な有価証券でその保有について大蔵大臣の承認を受けたもの
    • ロ 預金
      銀行、全国信用金庫連合会または全国信用協同組合連合会への預金
    • ハ 金銭信託
  6. (6) 保険金の支払
    金融機関に預金の支払停止、破産等の保険事故が発生したときは、機構は所定の手続を経たうえ、当該金融機関の預金者等に対し、その請求により保険金を支払う。それに伴い、機構は、その支払金額に応じ、預金者等が当該金融機関に有する預金等の債権を取得する。(保険金の支払は一般の預金者等の保護のために行なうもので、当該金融機関を救済する趣旨ではない。)
     保険金の額は各預金者ごとに一定の額(現在1,000千円)の最高限度が設けられている。

以上