官審(法)34
官審(所)39
官審(資)9
昭和44年5月26日

国税局長 殿

国税庁長官

 標題のことについて、別紙2のとおり○○生命保険相互会社取締役社長○○○○から照会があり、別紙1のとおり当庁特別審理室参事官名をもって回答したから、了知されたい。


別紙 1

官審(法)33
官審(所)38
官審(資)8
昭和44年5月26日

○○生命保険相互会社
取締役社長 ○○○○ 殿

国税庁特別審理室
参事官 ○○○○

 標題のことについては、貴見のとおりでさしつかえありません。


別紙 2

昭和44年1月22日

国税庁長官
○○○○ 殿

○○生命保険相互会社
取締役社長 ○○○○

 団体信用保険は、企業の信用販売制度における利用をねらいとしたもので、債権者である信用供与機関(月賦販売会社、銀行等)が債務者の死亡または廃疾に際して支払われる保険金をもってその債務者に対する賦払債権の回収を確実に行なうことを目的とする特殊の団体保険であり、その内容はおおむね次のとおりであります。

(1) 契約者および保険金受取人
賦払償還によって債務の弁済を受ける信用供与機関または信用供与機関に対して保証債務を負う販売機関等(月賦販売会社、銀行等)。

(2) 被保険者
同一の信用供与機関に対して賦払償還債務を負う債務者の全部または一部の集団で、契約者と保険会社との協議をもって定めるもの(顧客)。

(3) 保険金
被保険者の保険事故発生時における賦払償還債務残額相当額。

(4) 保険事故
被保険者の死亡および一定程度以上の廃疾。

(5) 被保険期間
賦払期間。ただし、被保険者の一部に一定年令(60才または65才)に達した者が生じた場合または被保険者の一部が脱退した場合には、それらの部分についてはその一定年令に達した時または脱退の時までとし、解約があった場合には解約の時をもって終了する。

(6) 保険料
保険料は、保険金額(賦払償還債務残額)に応じて年1回改算し、月払とする。
 なお、料率は被保険者の年令に応じて逓増する。

(7) 返戻金
保険契約の解除、解約、被保険者の脱退等による返戻金はない。

(8) 社員配当金
年1回契約応当日において有効な契約に対し社員配当金を保険料相殺により支払う。

以上に基づき保険金受取人たる月賦販売会社、銀行等は被保険者たる顧客との間に、保険金の受領を停止条件として賦払償還債務を免除する旨の特約を結ぶ。

 しかして、これについてその課税関係は下記のとおりと解してさしつかえありませんか。お伺いいたします。

1. 保険料の損金算入

 契約者たる月賦販売会社、銀行等が保険会社に払い込む保険料は、いわゆる債権の保全費用または販売費用(顧客の借入れについて保証する場合)の性格を有するものと認められ、かつ返戻金のないいわゆる掛捨てであることから、単純な期間費用として損金算入を認められる。
 なお、契約上被保険者たる顧客が負担することとしている保険料を月賦販売会社等が負担することとしている場合においても、実質的には販売代金に変形して回収しているということもできるので寄付金または交際費に該当せず、同様に損金算入を認められる。

2. 保険金を収入した場合の債務免除

 債権者たる月賦販売会社、銀行等が保険金受取人になっていることは、実質的には顧客が受取人となっている保険金請求権上に質権を設定し、これに基づいて本来の弁済を受けるものと解することもできるし、あるいは保険会社から契約に基づいて代位弁済を受けるものと解することもできる。したがって、この場合の顧客に対する債務免除について、貸倒れの判定は要しない。
 すなわち、債権者たる月賦販売会社、銀行等が受け取った保険金は、単に入金処理をすればよい(益金とする必要はない)。

3. 死亡事故が起きた場合

 保険事故が死亡であった場合の賦払償還債務の免除に関しては、相続税の課税上は相続人によって承継される債務がないものとし、被保険者である顧客およびその相続人について所得税の課税関係は生じない。

4. 廃疾事故が起きた場合

 保険事故が廃疾であった場合の賦払償還債務の免除に関しては、その利益が身体の傷害に基因して受けるものであるので、所得税の課税関係は生じない。

以上