別冊

1 基本的考え方

 延滞税は、国税を法定納期限内に完納しなかった場合において、その遅延した期間に応じて納付しなければならないものであり、法定納期限内に完納した納税者との負担の公平を図るものであるとともに、国税の早期完納を促進する等の機能を有していることにかんがみ、延滞税の免除の取扱いに当たっては特に適正を期するよう留意する。

2 免除する場合

 国税を充足する差押え等(滞納に係る国税の全額を徴収するために必要な財産につき差押え(国税徴収法(以下「徴収法」という。)第86条の規定による参加差押えを含む。)を行った場合又は納付すべき税額に相当する担保を徴取した場合をいう。以下同じ。)を行った場合には、その差押え等を行っている期間(当該差押え等に係る国税につき、国税通則法(以下「通則法」という。)第60条第2項ただし書の規定の適用がある期間及び同法第63条第1項から第4項までの規定の適用がある期間を除く。)の延滞税の金額の2分の1に相当する金額(租税特別措置法第94条第2項の規定に該当する場合には、その金額)を免除する。

(注)

1 本法令解釈通達に定める差押え等には、徴収法第24条第3項の規定により譲渡担保財産につき行った差押え等並びに同法第36条第1号及び第41条第1項に規定する第二次納税義務者に対して行った差押え等を含めることとして取り扱う。

2 納付委託に係る有価証券は、上記の差押え等には含まれないことに留意する。

3 国税を充足する差押え等がされている場合

 国税を充足する差押え等がされている場合とは、差押え等に係る財産を換価(金銭の取立ての方法により換価する場合及び滞納処分による差押えを行っている行政機関以外の執行機関が換価する場合を含む。以下同じ。)したものとしたときにおける国税への充当見込額が、当該差押え等に係る国税の額以上と判定できる状態にあることをいう。この場合に当たるかどうかについては、次により判定する。

(1) 国税への充当見込額

 国税への充当見込額は、判定の基準となるべき時期における差押え等に係る財産の処分予定価額(昭和55年6月5日付徴徴2−9「公売財産評価事務提要の制定について」(法令解釈通達)により評価した価額をいう。以下同じ。)により判定する。
 ただし、差押え等に係る財産の価額が少額と認められるものについては、昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」(法令解釈通達)による評価額、地方税法(昭和25年法律226号)による固定資産評価額、精通者の意見等を参考とし、簡易な方法により評価することとして差し支えない。
 なお、上記の場合において、追加して差押え等が行われているときには、これらの差押え等の対象財産を併せて国税への充当見込額を判定する。
 また、担保が保証人の保証である場合には、保証人に対して滞納処分を執行した場合に徴収できると認められる金額をもって、国税への充当見込額とする。

(2) 差押え等に係る国税の額
 差押え等に係る国税の額とは、判定の基準となるべき時期における当該差押え等に係る本税、各種加算税、過怠税、利子税、延滞税及び滞納処分費の額の合計額をいう。この場合において、延滞税に未確定のものがあるときには、上記判定の日までの額(通則法第63条各項の規定によりその日以前の期間に対応する延滞税につき免除される金額があるときには、その金額を除いた額)を算入する。

(3) 判定の基準となるべき時期等
 国税を充足する差押え等がされているかどうかの判定は、財産の差押え等がされた時において、国税を充足していたかどうかにより行う。ただし、その後において追加して差押え等をした場合又は差押え等に係る財産の価額に変動があった場合若しくは差押え等に係る国税の額に異動があった場合には、それぞれの時期において国税を充足していたかどうかを判定する。
 なお、ある判定の基準となった時期において国税を充足する差押え等であると認められたものについて、その後の判定の基準となる時期においても同様であると認められるときには、その間については、国税を充足する差押え等がされていたものとして差し支えない。上記の判定に当たっては、次に留意する。

イ 追加差押え等により国税を充足することとなったときには、その後の差押え等がされた日をもって、国税を充足する差押え等がされた日とする。

ロ 差押え等に係る財産につき、その財産の価値に変動がある場合には、次により国税を充足しているかどうかを判定する。

(イ) 差押え等に係る財産につき値上りその他の事由により国税への充当見込額が増加したことによって、その差押え等に係る国税を充足することとなったときには、その値上り等があったと認められる日をもって、国税を充足する差押え等がされたものとする。

(ロ) 差押え等に係る財産につき減耗、滅失又は値下りその他の事由により、国税への充当見込額が減少したことによって、その差押え等に係る国税を充足できなくなったときには、その減耗等があったと認められる日の前日をもって国税を充足する差押え等がされている状態が終了したものとする。

(ハ) 差押え等に係る財産の価額に変動等があるため、国税を充足する差押え等がされている状態の把握が困難な場合には、国税を充足できると認められるに至った日を初日とし、次のA又はBに掲げる日を末日として、その間は国税を充足する差押え等がされていたものとして差し支えない。

A 差押え等に係る国税の本税額の全部が納付された日において、国税を充足する差押え等がされていたと認められるときには、その日

B 差押え等に係る国税の本税額の全部が納付された日において、国税を充足する差押え等と認められないときには、その日からさかのぼって国税を充足する差押え等がされていたと認められる日

ハ 差押え等に係る国税につき、納付等によりその未納額が減少したため、その差押え等に係る財産が国税を充足することとなったときには、次に掲げる日をもって、国税を充足する差押え等がされた日とする。

(イ) 差押え等に係る国税につき納付又は充当があったため、その残額がその差押え等に係る財産により充足すると認められるに至ったとき
 その国税の納付があった日又は充当をするのに適することとなった日

(ロ) 差押え等に係る国税の額を減少させる更正、更正の一部の取消し等がされたため、その残額がその差押え等に係る財産により充足すると認められるに至ったとき
 その減少した税額が初めからなかったものとした場合において、差押え等により充足すると認められるに至った日

ニ 差押え等に係る国税の延滞税(通則法第63条第5項の規定により免除されることとなる部分を除く。)の額が増加したため、その差押え等により国税を充足できないと認められるに至ったときには、その充足できないこととなったと認められる日の前日をもって国税を充足する差押え等がされている状態が終了したものとする。

ホ 差押え等に係る財産を換価した場合には、イからニまでによるほか、その売却代金又は給付を受けた金銭から差押え等に係る国税に充てることとなる金額が買受代金の納付の日又は金銭の取立てをした日において当該国税を充足していたかどうかにより、国税を充足する差押え等であるかどうかを判定する。
 なお、換価に係る国税について換価した財産以外に差押え等に係る財産があるときには、換価により国税に充てることとなる金額と換価した財産以外の差押え等に係る財産からの国税への充当見込額を合計して判定することに留意する。

4 免除することができる金額

 通則法第63条第5項の規定により延滞税の免除をすることができる金額は、3により国税を充足する差押え等がされていたと認められる期間に対応する延滞税の金額の2分の1の金額 (租税特別措置法第94条第2項の規定に該当する場合には、その金額)とする。ただし、上記の期間のうちに同法第60条第2項ただし書及び第63条第1項から第4項までの規定の適用がある期間があるときには、当該期間を除くことに留意する。

5 免除の時期

 通則法第63条第5項の規定による延滞税の免除は、国税を充足する差押え等に係る国税の本税額の全部が納付されて、延滞税を徴収しようとする時において行うものとする。
 なお、換価代金等につき徴収法第131条により配当計算書を作成するときには、その配当計算に基づき換価代金等を当該差押え等に係る国税に充てる前であっても延滞税の免除ができるものとする。
 また、他の執行機関に交付要求をする場合など、延滞税の徴収に当たり必要があると認められるときには、延滞税の免除が見込まれる金額についてあらかじめ免除ができるものとして計算して差し支えない。

6 免除の手続等

 通則法第63条第5項の規定による延滞税の免除の手続については、昭和51年6月3日付徴徴3−2ほか1課共同「納税の猶予等の取扱要領の制定について」(法令解釈通達)の別冊第8章第3節の2《免除の手続》に定めるところによる。
 なお、延滞税を免除する場合には、別紙様式により納税者あて通知することとする。

(注) 延滞税を免除するに当たっては、その免除の判断の基となった事実等を明らかにしておくことに留意する。

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