第3章 財産の評価

(借地権及び区分地上権の評価)

23−1 建物の所有を目的とする地上権及び民法第269条の2((地下又は空間を目的とする地上権))の規定による区分地上権については、法第23条の規定の適用はなく、法第22条の規定が適用されるのであるから留意する。(昭57直資2−177、平17課資2−4改正)

第23条の2《配偶者居住権等の評価》関係

(一時的な空室がある場合の「賃貸の用に供されている部分」の範囲)

23の2−1 法第23条の2に規定する「時価」は、評価基本通達の定めにより算定した価額によるのであるが、同条第2項及び第4項に規定する「時価」を算定する場合において、評価基本通達26((貸家建付地の評価))(2)(注)2の定めにより、継続的に賃貸されていた各独立部分で、課税時期において一時的に賃貸されていなかったと認められるものを「賃貸されている各独立部分」に含むこととしたときは、法施行令第5条の7第1項第1号ロ及び第4項第1号ロに規定する「当該居住建物の床面積のうちに当該賃貸の用に供されている部分以外の部分の床面積の占める割合」についても、当該各独立部分は「賃貸の用に供されている部分」に含めて算定することに留意する。(令3課資2−14改正)

(「配偶者居住権が設定された時」の意義)

23の2−2  法第23条の2第1項第2号及び第3号並びに法施行令第5条の7第3項第1号及び第2号に規定する「配偶者居住権が設定された時」とは、民法第1028条第1項各号((配偶者居住権))に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める時をいうことに留意する。(令3課資2−14改正)

(1) 民法第1028条第1項第1号の規定に該当する場合 遺産の分割が行われた時

(2) 民法第1028条第1項第2号の規定に該当する場合 相続開始の時

(相続開始前に増改築がされた場合の「建築後の経過年数」の取扱い)

23の2−3  法第23条の2第1項第2号イ及びロに規定する「経過年数」は、相続開始前に増改築がされた場合であっても、増改築部分を区分することなく、新築時からの経過年数によるのであるから留意する。

(法定利率)

23の2−4  法第23条の2第1項第3号の「法定利率」は、配偶者居住権が設定された時における民法第404条((法定利率))の規定に基づく利率をいうのであるから留意する。

(完全生命表)

23の2−5  法施行規則第12条の3に規定する「完全生命表」は、配偶者居住権が設定された時の属する年の1月1日現在において公表されている最新のものによる。

(配偶者居住権の設定後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した当該配偶者居住権の目的となっている建物及び当該建物の敷地の用に供される土地の当該取得の時の価額)

23の2−6  配偶者居住権の設定後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した当該配偶者居住権の目的となっている建物及び当該建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)の当該取得の時の価額は、法第23条の2の規定に準じて計算することに留意する。この場合において、法第23条の2第2項に規定する「当該配偶者居住権の価額」又は同条第4項に規定する「権利の価額」は、当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した時に配偶者居住権の設定があったものとして計算する。

第24条《定期金に関する権利の評価》関係

(「定期金給付契約に関する権利」の意義)

24−1 法第24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」とは、契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい、毎期に受ける支分債権ではなく、基本債権をいうのであるから留意する。(平22課資2−12、課審6−15、課評2−22改正)

(注) 法第24条の規定の適用に当たっては、評価基本通達第8章第3節((定期金に関する権利))の定めに留意する。

(年金により支払を受ける生命保険金等の額)

24−2 年金の方法により支払又は支給を受ける生命保険契約若しくは損害保険契約に係る保険金又は退職手当金等の額は、法第24条の規定により計算した金額による。
 なお、一時金で支払又は支給を受ける生命保険契約若しくは損害保険契約に係る保険金又は退職手当金等の額は、当該一時金の額を分割の方法により利息を付して支払又は支給を受ける場合であっても当該一時金の額であることに留意する。(昭46直審(資)6、平22課資2−12、課審6−15、課評2−22改正)

(解約返戻金の金額)

24−3 法第24条第1項第1号イ、同項第2号イ及び同項第3号イに規定する解約返戻金の金額は、定期金給付契約に関する権利を取得した時において定期金給付契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金に、当該解約返戻金とともに支払われることとなる剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には当該金額を減算した金額をいうことに留意する。(平22課資2−12、課審6−15、課評2−22追加)

(解約返戻金の金額等がない場合)

24−4 法第24条第1項第1号に規定する有期定期金の評価に当たって、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれに掲げる金額により評価することに留意する。(平22課資2−12、課審6−15、課評2−22追加)

(1) 同号イに規定する解約返戻金の金額がない場合
 同号ロ又はハに掲げる金額のうちいずれか多い金額による。

(2) 同号ロに規定する一時金の金額がない場合
 同号イ又はハに掲げる金額のうちいずれか多い金額による。

(3) 同号イに規定する解約返戻金の金額及び同号ロに掲げる一時金の金額がない場合
 同号ハの金額による。

(注) 同項第2号及び第3号の規定の適用に当たっても同様であることに留意する。

第25条関係

(解約返戻金の金額)

25−1 法第25条第2号に規定する解約返戻金の金額については、24−3((解約返戻金の金額))を準用する。(平22課資2−12、課審6−15、課評2−22追加)

(注) 法第25条の規定の適用に当たっては、評価基本通達第8章第3節((定期金に関する権利))の定めに留意する。

第26条《立木の評価》関係

(立木の評価の特例)

26−1 法第26条の規定は、相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。)によって取得した立木の価額に限り適用があり、贈与又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈を除く。)によって取得した立木の価額には適用がないのであるから留意する。(平15課資2−1改正)