189 178((取引相場のない株式の評価上の区分))の「特定の評価会社の株式」とは、評価会社の資産の保有状況、営業の状態等に応じて定めた次に掲げる評価会社の株式をいい、その株式の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
なお、評価会社が、次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。(昭58直評5外・平2直評12外・平6課評2−8外・平12課評2−4外・平15課評2−15外・平25課評2−20外・平29課評2-12外・平29課評2-46外改正)
(1) 比準要素数1の会社の株式
183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(1)、(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額のうち、いずれか2が0であり、かつ、直前々期末を基準にして同項の定めに準じそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2以上が0である評価会社(次の(2)から(6)に該当するものを除く。以下「比準要素数1の会社」という。)の株式の価額は、次項の定めによる。
(注) 配当金額及び利益金額については、直前期末以前3年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。
(2) 株式等保有特定会社の株式
課税時期において評価会社の有する各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式、出資及び新株予約権付社債(会社法第2条((定義))第22号に規定する新株予約権付社債をいう。)(189−3((株式等保有特定会社の株式の評価))において、これらを「株式等」という。)の価額の合計額(189−3((株式等保有特定会社の株式の評価))において「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」という。)の割合が50%以上である評価会社(次の(3)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「株式等保有特定会社」という。)の株式の価額は、189−3((株式等保有特定会社の株式の評価))の定めによる。
(3) 土地保有特定会社の株式
課税時期において、次のいずれかに該当する会社(次の(4)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「土地保有特定会社」という。)の株式の価額は、189−4((土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価))の定めによる。
イ 178((取引相場のない株式の評価上の区分))の定めにより大会社に区分される会社(同項の定めにより小会社に区分される会社(同項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が、評価会社の事業が卸売業に該当する場合には20億円以上、卸売業以外に該当する場合には15億円以上のものに限る。)を含む。)で、その有する各資産をこの通達の定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める土地等の価額の合計額の割合(以下「土地保有割合」という。)が70%以上である会社
ロ 178((取引相場のない株式の評価上の区分))の定めにより中会社に区分される会社(同項の定めにより小会社に区分される会社(同項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が、評価会社の事業が卸売業に該当する場合には7,000万円以上、小売・サービス業に該当する場合には4,000万円以上、卸売業、小売・サービス業以外に該当する場合には5,000万円以上で、上記イに該当しないものに限る。)を含む。)で、土地保有割合が90%以上である会社
(4) 開業後3年未満の会社等の株式
課税時期において次に掲げるイ又はロに該当する評価会社(次の(5)又は(6)に該当するものを除く。以下「開業後3年未満の会社等」という。)の株式の価額は、189−4((土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価))の定めによる。
イ 開業後3年未満であるもの
ロ 183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(1)、(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額がいずれも0であるもの
(注) 配当金額及び利益金額については、直前期末以前2年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。
(5) 開業前又は休業中の会社の株式
開業前又は休業中である評価会社の株式の価額は、189−5((開業前又は休業中の会社の株式の評価))の定めによる。
(6) 清算中の会社の株式
清算中である評価会社の株式の価額は、189−6((清算中の会社の株式の評価))の定めによる。
189−2 189((特定の評価会社の株式))の(1)の「比準要素数1の会社の株式」の価額は、185((純資産価額))の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する(この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が比準要素数1の会社の185((純資産価額))のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときには、同項の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。)。ただし、上記の比準要素数1の会社の株式の価額は、納税義務者の選択により、Lを0.25 として、179((取引相場のない株式の評価の原則))の(2)の算式により計算した金額によって評価することができる(この場合における当該算式中の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、本項本文かっこ書と同様とする。)。
なお、当該株式が188((同族株主以外の株主等が取得した株式))に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188−2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文又はただし書の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文又はただし書(納税義務者が選択した場合に限る。)の定めにより計算した金額)によって評価する。(平12課評2−4外追加、平15課評2−15外・平29課評2-46外改正)
(注) 上記の「議決権の合計数」には、188−5((種類株式がある場合の議決権総数等))の「株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数」を含めるものとする。189−3((株式等保有特定会社の株式の評価))及び189−4((土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価))においても同様とする。
189−3 189((特定の評価会社の株式))の(2)の「株式等保有特定会社の株式」の価額は、185((純資産価額))の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。この場合における当該1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が株式等保有特定会社の185((純資産価額))のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときには、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。ただし、上記の株式等保有特定会社の株式の価額は、納税義務者の選択により、次の(1)の「S1の金額」と(2)の「S2の金額」との合計額によって評価することができる。
なお、当該株式が188((同族株主以外の株主等が取得した株式))に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188−2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文又はただし書の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文又はただし書(納税義務者が選択した場合に限る。)の定めにより計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平6課評2−8外・平12課評2−4外・平15課評2−15外・平18課評2−27外・平20課評2-5外・平29課評2-12外・平29課評2-46外改正)
(1) S1の金額
S1の金額は、株式等保有特定会社の株式の価額を178((取引相場のない株式の評価上の区分))の本文、179((取引相場のない株式の評価の原則))から184((類似業種比準価額の修正))まで、185((純資産価額))の本文、186((純資産価額計算上の負債))及び186−2((評価差額に対する法人税額等に相当する金額))の定めに準じて計算した金額とする。ただし、評価会社の株式が189((特定の評価会社の株式))の(1)の「比準要素数1の会社の株式」の要件(同項の(1)のかっこ書の要件を除く。)にも該当する場合には、178((取引相場のない株式の評価上の区分))の大会社、中会社又は小会社の区分にかかわらず、189−2((比準要素数1の会社の株式の評価))の定め(本文のかっこ書、ただし書のかっこ書及びなお書を除く。)に準じて計算した金額とする。これらの場合において、180((類似業種比準価額))に定める算式及び185((純資産価額))の本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、それぞれ次による。
イ 180((類似業種比準価額))に定める算式は、次の算式による。
(イ) 上記算式中「A」、「」、「」、「」、「B」、「C」及び「D」は、180((類似業種比準価額))の定めにより、「」、「」及び「」は、それぞれ次による。
「」=183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(1)に定める評価会社の「1株当たりの配当金額」に、直前期末以前2年間の受取配当金等の額(法人から受ける剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、資本金等の額の減少によるものを除く。)、利益の配当、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)及び新株予約権付社債に係る利息の額をいう。以下同じ。)の合計額と直前期末以前2年間の営業利益の金額の合計額(当該営業利益の金額に受取配当金等の額が含まれている場合には、当該受取配当金等の額の合計額を控除した金額)との合計額のうちに占める当該受取配当金等の額の合計額の割合(当該割合が1を超える場合には1を限度とする。以下「受取配当金等収受割合」という。)を乗じて計算した金額
「」=183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(2)に定める評価会社の「1株当たりの利益金額」に受取配当金等収受割合を乗じて計算した金額
「」=次の及びに掲げる金額の合計額(上記算式中の「」を限度とする。)
183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(3)に定める評価会社の「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」に、178((取引相場のない株式の評価上の区分))の(1)に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)のうちに占める株式等の帳簿価額の合計額の割合を乗じて計算した金額
直前期末における法人税法第2条((定義))第18号に規定する利益積立金額に相当する金額を直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。)で除して求めた金額に受取配当金等収受割合を乗じて計算した金額(利益積立金額に相当する金額が負数である場合には、0とする。)
(ロ) 上記算式中の「0.7」は、178((取引相場のない株式の評価上の区分))に定める中会社の株式を評価する場合には「0.6」、同項に定める小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。
ロ 185((純資産価額))の本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、同項本文及び186−2((評価差額に対する法人税額等に相当する金額))の「各資産」を「各資産から株式等を除いた各資産」と読み替えて計算した金額とする。
(2) S2の金額
S2の金額は、株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)からその計算の基とした株式等の帳簿価額の合計額を控除した場合において残額があるときは、当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)から当該残額に186−2((評価差額に対する法人税額等に相当する金額))に定める割合を乗じて計算した金額を控除し、当該控除後の金額を課税時期における株式等保有特定会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。この場合、当該残額がないときは、当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)を課税時期における株式等保有特定会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。
189−4 189((特定の評価会社の株式))の(3)の「土地保有特定会社の株式」又は同項の(4)の「開業後3年未満の会社等の株式」の価額は、185((純資産価額))の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。この場合における当該各株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)については、それぞれ、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が土地保有特定会社又は開業後3年未満の会社等の185((純資産価額))のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときは、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。
なお、当該各株式が188((同族株主以外の株主等が取得した株式))に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188−2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文の定めにより計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)
189−5 189((特定の評価会社の株式))の(5)の「開業前又は休業中の会社の株式」の価額は、185((純資産価額))の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2−4外改正)
189−6 189((特定の評価会社の株式))の(6)の「清算中の会社の株式」の価額は、清算の結果分配を受ける見込みの金額(2回以上にわたり分配を受ける見込みの場合には、そのそれぞれの金額)の課税時期から分配を受けると見込まれる日までの期間(その期間が1年未満であるとき又はその期間に1年未満の端数があるときは、これを1年とする。)に応ずる基準年利率による複利現価の額(2回以上にわたり分配を受ける見込みの場合には、その合計額)によって評価する。(平2直評12外追加、平11課評2−12外・平12課評2−4外改正)
189−7 189−2((比準要素数1の会社の株式の評価))から189−5((開業前又は休業中の会社の株式の評価))までの定めにより特定の評価会社の株式を評価した場合(その株式を188−2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))の本文の定めにより評価した場合を除く。)において、その株式が187((株式の割当てを受ける権利等の発生している株式の価額の修正))の(1)又は(2)に掲げる場合に該当するときは、その価額を、187((株式の割当てを受ける権利等の発生している株式の価額の修正))の(1)又は(2)の算式に準じて修正した金額によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2−4外・平18課評2−27外改正)