第8章 その他の財産

(純資産価額)

185 179((取引相場のない株式の評価の原則))の「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」は、課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額(この場合、評価会社が課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価するものとし、当該土地等又は当該家屋等に係る帳簿価額が課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、当該帳簿価額に相当する金額によって評価することができるものとする。以下同じ。)の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額及び186-2((評価差額に対する法人税額等に相当する金額))により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除した金額を課税時期における発行済株式数で除して計算した金額とする。ただし、179((取引相場のない株式の評価の原則))の(2)の算式及び(3)の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)については、株式の取得者とその同族関係者(188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)に定める同族関係者をいう。)の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合においては、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)に100 分の80を乗じて計算した金額とする。(昭47直資3−16・昭53直評5外・昭58直評5外・平2直評12外・平12課評2−4外・平15課評2−15外・平18課評2−27外改正)

(注)

1 1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算を行う場合の「発行済株式数」は、直前期末ではなく、課税時期における発行済株式数であることに留意する。

2 上記の「議決権の合計数」及び「議決権総数」には、188−5((種類株式がある場合の議決権総数等))の「株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数」を含めるものとする。

(純資産価額計算上の負債)

186 前項の課税時期における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算を行う場合には、貸倒引当金、退職給与引当金、納税引当金その他の引当金及び準備金に相当する金額は負債に含まれないものとし、次に掲げる金額は負債に含まれることに留意する(次項及び186−3≪評価会社が有する株式等の純資産価額の計算≫において同じ。)。(昭47直資3−16・昭58直評5外・平2直評12外・平11課評2−2外・平12課評2−4外・平18課評2−27外・令3課評2-43外改正)

(1) 課税時期の属する事業年度に係る法人税額、消費税額、事業税額、道府県民税額及び市町村民税額のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額(課税時期において未払いのものに限る。)

(2) 課税時期以前に賦課期日のあった固定資産税の税額のうち、課税時期において未払いの金額

(3) 被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の金額

(評価差額に対する法人税額等に相当する金額)

186−2 185((純資産価額))の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、次の(1) の金額から(2)の金額を控除した残額がある場合におけるその残額に37%(法人税(地方法人税を含む。)、事業税(特別法人事業税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合)を乗じて計算した金額とする。(昭47直資3−16追加、昭49直資5−14・昭56直評18・昭58直評5外・昭59直評5外・昭62直評11外・平元直評7外・平2直評4外・平6課評2−8外・平10課評2−5外・平11課評2−12外・平12課評2−4外・平18課評2−27外・平22課評2-18外・平24課評2-8外・平26課評2-9外・平27課評2-5外・平28課評2-10外・令元課評2-39外・令3課評2-43外改正)

(1) 課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額(以下この項において「課税時期における相続税評価額による総資産価額」という。)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額

(2) 課税時期における相続税評価額による総資産価額の計算の基とした各資産の帳簿価額の合計額(当該各資産の中に、現物出資若しくは合併により著しく低い価額で受け入れた資産又は会社法第2条第31号の規定による株式交換(以下この項において「株式交換」という。)、会社法第2条第32号の規定による株式移転(以下この項において「株式移転」という。)若しくは会社法第2条第32号の2の規定による株式交付(以下この項において「株式交付」という。)により著しく低い価額で受け入れた株式(以下この項において、これらの資産又は株式を「現物出資等受入れ資産」という。)がある場合には、当該各資産の帳簿価額の合計額に、現物出資、合併、株式交換、株式移転又は株式交付の時において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額から当該現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額(以下この項において「現物出資等受入れ差額」という。)を加算した価額)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額

(注)

1 現物出資等受入れ資産が合併により著しく低い価額で受け入れた資産(以下(注)1において「合併受入れ資産」という。)である場合において、上記(2)の「この通達に定めるところにより評価した価額」は、当該価額が合併受入れ資産に係る被合併会社の帳簿価額を超えるときには、当該帳簿価額とする。

2 上記(2)の「現物出資等受入れ差額」は、現物出資、合併、株式交換、株式移転又は株式交付の時において現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額が課税時期において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額を上回る場合には、課税時期において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額から当該現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額とする。

3 上記(2)のかっこ書における「現物出資等受入れ差額」の加算は、課税時期における相続税評価額による総資産価額に占める現物出資等受入れ資産の価額(課税時期においてこの通達に定めるところにより評価した価額)の合計額の割合が20%以下である場合には、適用しない。

(評価会社が有する株式等の純資産価額の計算)

186−3 185≪純資産価額≫の定めにより、課税時期における評価会社の各資産を評価する場合において、当該各資産のうちに取引相場のない株式があるときの当該株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の発行会社の課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した金額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額を課税時期における当該株式の発行会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。
 なお、評価会社の各資産のうちに出資及び転換社債型新株予約権付社債(197−5((転換社債型新株予約権付社債の評価))の(3)のロに定めるものをいう。)のある場合についても、同様とする。(平2直評12外追加、平11課評2−12外・平12課評2−4外・平15課評2−15外改正)

(注) この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算に当たっては、186-2≪評価差額に対する法人税額等に相当する金額≫の定めにより計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しないのであるから留意する。

(株式の割当てを受ける権利等の発生している株式の価額の修正)

187 179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより取引相場のない株式を評価した場合において、その株式が次に掲げる場合に該当するものであるときは、その価額を、それぞれ次の算式により修正した金額によって評価する。(昭41直資3−19・昭47直資3−16・昭58直評5外・平11課評2−2外・平18課評2−27外改正)

(1) 課税時期が配当金交付の基準日の翌日から、配当金交付の効力が発生する日までの間にある場合

179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価した価額−株式1株に対して受ける予想配当の金額

(2) 課税時期が株式の割当ての基準日、株式の割当てのあった日又は株式無償交付の基準日のそれぞれ翌日からこれらの株式の効力が発生する日までの間にある場合

(179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価した価額+割当てを受けた株式1株につき払い込むべき金額×株式1株に対する割当株式数)÷(1+株式1株に対する割当株式数又は交付株式数)

(同族株主以外の株主等が取得した株式)

188 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の「同族株主以外の株主等が取得した株式」は、次のいずれかに該当する株式をいい、その株式の価額は、次項の定めによる。(昭47直資3−16・昭53直評5外・昭58直評5外・平15課評2−15外・平18課評2−27外改正)

(1) 同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式
 この場合における「同族株主」とは、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条((同族関係者の範囲))に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。以下同じ。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。

(2) 中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの(課税時期において評価会社の役員(社長、理事長並びに法人税法施行令第71条第1項第1号、第2号及び第4号に掲げる者をいう。以下この項において同じ。)である者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者を除く。)の取得した株式
 この場合における「中心的な同族株主」とは、課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいう。

(3) 同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の15%未満である場合におけるその株主の取得した株式

(4) 中心的な株主がおり、かつ、同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である場合におけるその株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの((2)の役員である者及び役員となる者を除く。)の取得した株式
 この場合における「中心的な株主」とは、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいう。

(同族株主以外の株主等が取得した株式の評価)

188−2 前項の株式の価額は、その株式に係る年配当金額(183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫の(1)に定める1株当たりの配当金額をいう。ただし、その金額が2円50銭未満のもの及び無配のものにあっては2円50銭とする。)を基として、次の算式により計算した金額によって評価する。ただし、その金額がその株式を179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより評価するものとして計算した金額を超える場合には、179≪取引相場のない株式の評価の原則≫の定めにより計算した金額によって評価する。(昭58直評5外追加、平12課評2−4外・平18課評2−27外改正)
(その株式に係る年配当金額)÷10%×(その株式の1株当たりの資本金等の額)÷50円
(注) 上記算式の「その株式に係る年配当金額」は1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額であるので、算式中において、評価会社の直前期末における1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数を乗じて評価額を計算することとしていることに留意する。

(評価会社が自己株式を有する場合の議決権総数)

188−3 188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)から(4)までにおいて、評価会社が自己株式を有する場合には、その自己株式に係る議決権の数は0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数となることに留意する。(平12課評2−4外追加・平15課評2−15外・平18課評2−27外改正)

(議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権総数等)

188−4 188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)から(4)までにおいて、評価会社の株主のうちに会社法第308条第1項の規定により評価会社の株式につき議決権を有しないこととされる会社があるときは、当該会社の有する評価会社の議決権の数は0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数となることに留意する。(昭58直評5外追加、平3直評4外・平12課評2−4外・平15課評2−15外・平18課評2−27外改正)

(種類株式がある場合の議決権総数等)

188−5 188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)から(4)までにおいて、評価会社が会社法第108条第1項に掲げる事項について内容の異なる種類の株式(以下この項において「種類株式」という。)を発行している場合における議決権の数又は議決権総数の判定に当たっては、種類株式のうち株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数を含めるものとする。(平3直評4外追加、平12課評2−4外・平15課評2−15外・平18課評2−27外改正)

(投資育成会社が株主である場合の同族株主等)

188−6 188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(1)から(4)までについては、評価会社の株主のうちに投資育成会社(中小企業投資育成株式会社法(昭和38年法律第101号)に基づいて設立された中小企業投資育成株式会社をいう。以下この項において同じ。)があるときは、次による。(平12課評2−4外追加・平15課評2−15外改正)

(1) 当該投資育成会社が同族株主(188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(1)に定める同族株主をいう。以下同じ。)に該当し、かつ、当該投資育成会社以外に同族株主に該当する株主がいない場合には、当該投資育成会社は同族株主に該当しないものとして適用する。

(2) 当該投資育成会社が、中心的な同族株主(188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(2)に定める中心的な同族株主をいう。以下(2)において同じ。)又は中心的な株主(188≪同族株主以外の株主等が取得した株式≫の(4)に定める中心的な株主をいう。以下(2)において同じ。)に該当し、かつ、当該投資育成会社以外に中心的な同族株主又は中心的な株主に該当する株主がいない場合には、当該投資育成会社は中心的な同族株主又は中心的な株主に該当しないものとして適用する。

(3) 上記(1)及び(2)において、評価会社の議決権総数からその投資育成会社の有する評価会社の議決権の数を控除した数をその評価会社の議決権総数とした場合に同族株主に該当することとなる者があるときは、その同族株主に該当することとなる者以外の株主が取得した株式については、上記(1)及び(2)にかかわらず、188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当するものとする。

(注) 上記(3)の「議決権総数」及び「議決権の数」には、188−5((種類株式がある場合の議決権総数等))の「株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数」を含めるものとする。