(同一人に対し1回に支払われる金額の意義)

205−1 法第205条第1号かっこ内及び令第322条《支払金額から控除する金額》の表に規定する「同一人に対し1回に支払われる金額」とは、同一人に対し1回に支払われるべき金額をいう。ただし、法第205条第1号かっこ内に規定する税率を乗ずべき金額の判定に当たっては、現実に1回に支払われる金額によって差し支えない。

(同一人に対し1回に支払われるべき金額の意義)

205−2 令第322条の表に規定する司法書士、土地家屋調査士若しくは海事代理士の業務に関する報酬若しくは料金又は馬主が受ける競馬の賞金に係る205−1の「同一人に対し1回に支払われるべき金額」とは、それぞれ次に掲げる金額をいう。

(1) 司法書士、土地家屋調査士又は海事代理士の業務に関する報酬又は料金  一の委託契約ごとに支払われる金額。ただし、一定期間ごとにその期間中の委託契約に基づく報酬又は料金がまとめて支払われる契約となっている場合には、そのまとめて支払われる金額

(2) 馬主が受ける競馬の賞金  1回の競走ごとに、かつ、出走馬1頭ごとに支払われる金額

(同一人に対しその月分として支払われる金額の意義)

205−3 令第322条の表に規定する「同一人に対しその月分として支払われる金額」とは、診療機関からその月分として社会保険診療報酬支払基金に提出された診療報酬請求書に対応する診療報酬の額をいい、その月前に支払われた報酬の額に誤り等があったため、その誤り等をその月分の診療報酬請求書に対応する診療報酬の額で調整した場合には、その調整後の金額をいう。

(同一人に対しその月中に支払われる金額の意義)

205−4 令第322条の表に規定する「同一人に対しその月中に支払われる金額」とは、同一人に対しその月中に支払われるべき金額をいう。ただし、その金額の計算の基礎となった期間が1月を超え、かつ、その期間が明示されている場合には、当該計算の基礎となった期間に応じ各月分ごとに区分した金額を、それぞれの月中に支払われる金額として差し支えない。

(同一人に対しその月中に報酬又は料金と給与等とを支払う場合)

205−5 同一人に対しその月中に外交員又は集金人の業務に関する報酬又は料金と給与等とを支払う場合における法第204条第1項及び第205条第2号の規定に適用に当たっては、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次によるものとする。(昭49直所2−23、昭51直所3−1、直法6−1、直資3−1、平2直法6−5、直所3−6改正)

(1) 当該報酬又は料金と給与等とをその月中に同時に1回に支払う場合  12万円から当該給与等の金額を控除した残額を超える部分の報酬又は料金の金額について源泉徴収を行う。

(2) 当該報酬又は料金を当該給与等よりも先に支払う場合  12万円から当該報酬又は料金を支払う際における当該給与等の見積額を控除した残額を超える部分の報酬又は料金の金額について源泉徴収を行う。この場合において、実際に支払う給与等の金額がその見積額と異なることとなったことにより当該報酬又は料金に対する源泉徴収税額について過不足額が生じたときは、当該過不足額を当該給与等を支払う際に当該給与等から徴収し又は当該給与等に対する源泉徴収税額から控除する方法により精算する。

(注) 上記により過納額を給与等に対する源泉徴収税額から控除した場合には、当該給与等に係る所得税徴収高計算書の摘要欄にその旨及び控除した金額を記載するものとする。

(3) 当該給与等を当該報酬又は料金よりも先に支払う場合  12万円から当該給与等の金額を控除した残額を超える部分の報酬又は料金の金額について源泉徴収を行う。

(確定申告書に記載された源泉徴収をされるべき税額と現実に源泉徴収された税額とが異なる場合の精算)

205−6 法第205条第1号に規定する報酬若しくは料金又は契約金の支払を受ける者が、確定申告書を提出する時までにまだ支払を受けていないこれらの報酬若しくは料金又は契約金につき当該確定申告書に記載する法第120条第1項第4号《確定所得申告》に規定する源泉徴収をされるべき所得税の額は、その支払の確定した金額の多寡、過去における支払の状況等を勘案して、法第205条第1号に規定するところに従い適正に見積もるものとする。この場合において、当該報酬若しくは料金又は契約金についてその支払を受ける際に現実に徴収された所得税の額が当該確定申告書に記載した所得税の額と異なることとなったときは、その差額は修正申告又は更正により精算するものとする。(令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(未払の報酬、料金等について支払調書に記載すべき源泉徴収税額)

205−7 法第205条第1号に規定する報酬若しくは料金又は契約金について法第225条第1項《支払調書及び支払通知書》の規定により提出する支払調書を作成するに当たり、当該報酬若しくは料金又は契約金のうちその支払調書を作成する日においてまだ支払っていないものに係る源泉徴収税額は、その支払の確定した金額の多寡、過去における支払の状況等を勘案して、法第205条第1号に規定するところに従い適正に見積もった金額を記載するものとする。この場合において、当該報酬若しくは料金又は契約金についてその支払をする際に現実に徴収した所得税の額が当該支払調書に記載した源泉徴収税額と異なることとなったときは、改めて正当税額を記載した支払調書を作成し、既に提出した支払調書を訂正するものであることを適宜表示して再提出するものとする。

(賞品を受けることとなった日の意義)

205−8 令第321条《金銭以外のもので支払われる賞金の価額》に規定する「その受けることとなった日」とは、賞品の支払を受けた日をいうものとする。ただし、支払者が賞品を送付する場合には、特に弊害のない限り、その発送の日をいうものとして差し支えない。

(賞品の評価)

205−9 次に掲げる物等に係る令第321条に規定する「金銭以外のものを譲渡するものとした場合にその対価として通常受けるべき価額」は、それぞれ次による。(平4課法8−5、課所4−3、平8課法8−2、課所4−5改正、平13課法8−2、課個2−7、平19課法9−9、課個2−20、課審4−32改正)

(1) 公社債、株式又は貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益権  その受けることとなった日の価額

(2) 商品券  券面額

(3) 貴石、貴金属、真珠、さんご等若しくはこれらの製品又は書画、骨とう、美術工芸品  その受けることとなった日の価額

(4) 土地又は建物  その受けることとなった日の価額

(5) 定期金に関する権利又は信託の受益権  相続税法第24条若しくは第25条又は昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第3節《定期金に関する権利》若しくは同章第5節《信託受益権》に定めるところに準じて評価した価額

(6) 生命保険契約に関する権利  その受けることとなった日においてその契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)。ただし、その契約に係る保険料でその後に支払うこととなっているものを当該権利の支払者において負担する条件が付されている場合には、その負担することとなっている金額につき(5)に準じて評価した金額を加算した金額

(7) (1)から(6)までに掲げるもの以外の物  そのものの通常の小売販売価額(いわゆる現金正価)の60%相当額

(金銭以外のものと金銭とのいずれかを選択することができる場合の意義等)

205−10 令第321条に規定する「金銭以外のものと金銭とのいずれかを選択することができる場合」とは、あらかじめ公表されている懸賞等の募集要綱等に選択できる金銭の額が定められている場合をいう。

(注) あらかじめ選択できる金銭の額が定められていない場合において、受賞者の希望その他の事情により金銭を支払うときは、その金銭の支払を受けた受賞者に限りその金額の支払を受けたものとする。

(旅行その他の役務の提供と物品とのいずれかを選択できる場合の評価)

205−11 事業の広告宣伝のために賞として支払われるものが旅行その他の役務の提供を内容とするものである場合において、それが物品との選択をすることができることとなっているときは、たとえ旅行その他の役務の提供を受けたためその選択できる物品の支払を受けない場合であっても、その物品の価額をその賞金の額とする。

(賞金に対する税額を支払者が負担する場合の税額の計算)

205−12 賞金に対する源泉徴収税額(所得税及び復興特別所得税の額をいう。以下この項において同じ。)をその賞金の支払者が負担する場合には、当該税額は次の算式により計算することに留意する。(昭51直所3−1、直法6−1、直資3−1、平24課法9−6、課個2−44、課審5−40改正)

(実際に支払う金銭の額又は商品の評価額-50万円)÷0.8979×10.21%

(注) 上記の場合には、支払調書に記載する支払金額は、実際に支払った金銭の額又は賞品の評価額と源泉徴収税額との合計額となることに留意する。

(受賞者が2人以上の1組である場合の賞品に対する税額の計算)

205−13 2人以上の者が1組となって応募したことにより受けるクイズ放送等の賞金品で各人ごとの支払金額が区分されていないものに対する源泉徴収税額は、当該支払金額の総額から、50万円にその支払を受ける者の人数を乗じて計算した金額を控除した残額に税率を適用して計算するものとする。(昭51直所3−1、直法6−1、直資3−1改正)