第5章 公的年金等に係る源泉徴収

(公的年金等を併給する場合の税額の計算)

203の3-1 法第203条の2《源泉徴収義務》に規定する公的年金等の支払者が、一の受給者に対し種類の異なる2以上の公的年金等を支給する場合(法第203条の3第7号に掲げる公的年金等と同条第1号から第6号までに掲げる公的年金等を併せて支給する場合を除く。)の法第203条の3の規定の適用に当たっては、当該2以上の公的年金等の金額の合計額を基礎として公的年金等の金額及び当該公的年金等に係る控除額の計算(当該2以上の公的年金等が、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれ次に定める方法により計算)を行うものとする。
 ただし、この場合において、当該2以上の公的年金等が、それぞれ異なる法律に基づくもので、かつ、当該2以上の公的年金等が相互に関連又は補完関係を有しないことなどにより支払に関する事務及び支払がそれぞれ別に行われている場合には、同条第3号又は第6号に掲げる公的年金等を除き、当該2以上の公的年金等の別に計算して差し支えないものとする。(昭63直法6‐1、直所3‐1追加、平27課法10‐11、課審5‐8、令元課個2‐22、課法11‐3、課審5‐12改正)

  1. (1) 一の受給者に支給する種類の異なる2以上の公的年金等が、法第203条の3第1号に掲げる公的年金等と同条第2号に掲げる公的年金等又は同条第4号に掲げる公的年金等と同条第5号に掲げる公的年金等に該当する場合((2)に該当する場合を除く。) 当該公的年金等の金額の合計額をそれぞれ同条第1号又は第4号に掲げる公的年金等の金額として、控除額の計算を行う。
  2. (2) 一の受給者(令第319条の6第2項第1号イからハまでに規定する退職年金又は旧職域加算年金給付の受給者を除く。)に支給する種類の異なる2以上の公的年金等が、同条第1項第1号ハからホまでに規定する退職共済年金と厚生年金保険法第32条第1号に掲げる老齢厚生年金に該当する場合 当該公的年金等の金額の合計額を法第203条の3第2号又は第5号に掲げる公的年金等の金額として、控除額の計算を行う。

(新旧公的年金等の差額等に対する税額の計算)

203の3-2 公的年金等の改定、裁定等が既往に遡って実施されたため、既往の期間に対応して支払われる公的年金等に対する法第203条の3の規定の適用に当たっては、次に掲げる公的年金等の区分に応じそれぞれ次によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1追加、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平27課法10-11、課審5-8、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

  1. (1) 公的年金等の支給の基礎となる法令、契約又は規程(以下この(1)において「法令等」という。)の改正又は改訂が既往に遡って実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額
  • イ 新旧公的年金等の差額の収入すべき日(36-14の(1)のロに掲げる日をいう。以下この(1)において同じ。)の属する月が支払期月(法令等により定められた支払を行うべき月をいう。以下この項において同じ。)と同一である場合には、当該差額を当該支払期月に支払うこととなる公的年金等の金額に加算する。
  • ロ 新旧公的年金等の差額の収入すべき日の属する月と支払期月とが異なる場合には、当該差額を当該収入すべき日の属する月の直前又は直後の支払期月(当該収入すべき日の属する年の支払期月に限る。)に支払うこととなる公的年金等の金額に加算する。
  • (注) 新旧公的年金等の差額が、当該収入すべき日の属する月の翌月以後において支払われる場合(当該収入すべき日の属する年に支払われる場合に限る。)には、その支払をする月を当該収入すべき日の属する月として上記イ又はロを適用して差し支えない。
  1. (2) 裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往に遡って支払われる公的年金等
  • イ 当該公的年金等は、その支給額の計算の対象とされた期間に係る各々の支払期月の公的年金等とする。この場合において、法第203条の3第1号、第2号又は第3号の規定による控除額は、当該公的年金等の収入すべき日(36-14の(1)のイに掲げる日をいう。以下この(2)において同じ。)において提出されている公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(新規裁定の場合には、当該公的年金等の支払をする日の前日までに提出された公的年金等の受給者の扶養親族等申告書)に基づいて計算する。
  • ロ 上記の場合において、当該公的年金等が改定等に伴う新旧公的年金等の差額である場合には、上記のイの方法に代え、同一月割額グループ(当該差額の収入すべき日の属する年の異なるごとに、かつ、当該新旧公的年金等の改定等後及び改定等前の月割額の異なるごとに区分されたグループをいう。以下このロにおいて同じ。)別に、次の算式により計算して差し支えない。

(算式)

{(A)同一月割月グループにおける改訂等後の公的年金等の月割額(a)×同一月割額グループに係る支給対象月数(b)-(B)(a)の金額を基に法第203条の3第1号から第6号までの規定により計算した控除額×(b)}×5%(10%)-{(C)同一月割額グループにおける改訂等前の公的年金等の月割額(c)×(b)-(D)(c)の金額を基に法第203条の3第1号から第6号までの規定により計算した控除額×(b)}×5%(10%)

(注)

  • 1 { }内の金額が赤字となる場合には、0とする。
  • 2 (B)又は(D)における法第203条の3第1号、第2号又は第3号の規定による控除額の計算については、(2)のイの取扱いに準ずる。
  • 3 法第203条の3第3号又は第6号に掲げる公的年金等について、(A)-(B)又は(C)-(D)の残額が162,500円×(b)の金額を超える場合には、その超える部分の金額に税率10%を適用して計算する。

(給与所得者の扶養控除等申告書に係る取扱いの準用)

203の6-1 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(以下この項において「申告書」という。)の記載事項に誤りがあったため徴収不足税額を生じた場合の支払者の措置、申告書の記載事項に誤りがあったことによる徴収不足税額の強制徴収、確定所得申告に係る取扱いの準用、申告書の期限後提出、申告書に記載する扶養親族等の判定については、194〜198共-1から194〜198共-3まで、194・195-1及び194・195-3の取扱いに準ずる。(昭63直法6-1、直所3-1追加、平24課法9-6、課個2-44、課審5-40、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)


(公的年金等を併給する場合の源泉徴収を要しない金額の判定)

203の7-1 法第203条の2《源泉徴収義務》に規定する公的年金等の支払者が、一の受給者に対し種類の異なる2以上の公的年金等を支給する場合おいて、その年中に支払うべき公的年金等の額が、法第203条の7に規定する「政令で定める金額」に満たないかどうかは、203の3-1により判定する。(昭63直法6-1、直所3-1追加、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)