(平17課個2−23、課資3−5、課法8−6、課審4−113)

(外国所得税の一部につき控除申告をした場合の取扱い)

95−1 居住者が、その年において納付する外国所得税の額(法第95条第1項に規定する控除対象外国所得税の額に限る。以下この項において同じ。)の一部につき同条の規定の適用を受ける場合には、法第46条《所得税額から控除する外国税額の必要経費不算入》の規定により当該外国所得税の額の全部が必要経費又は支出した金額に算入されないことに留意する。(平23課個2−33、課法9−9、課審4−46改正、平28課2−4、課法11−8、課審5−5改正)

(源泉徴収の外国所得税等)

95−2 我が国における利子、配当等に対する所得税のように、所得に代えて収入金額又はこれに一定の割合を乗じて計算した金額を課税標準として源泉徴収される税は、令第221条第2項第3号((外国所得税の範囲))に掲げる税に該当するが、外国法人から剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配(以下この項において「配当等」という。)の支払を受けるに当たり、当該外国法人の当該配当等の額の支払の基礎となった所得の金額に対して課される外国法人税の額に充てるために当該配当等の額から控除される金額は、同号に掲げる税に該当しないことに留意する。(平18課個2−18、課資3−10、課審4−114、平21課個2-29、課審4-52改正、平28課2−4、課法11−8、課審5−5改正)

(外国税額控除の適用時期)

95−3 法第95条第1項又は第2項《外国税額控除》の規定による外国税額控除は、外国所得税を納付することとなる日の属する年分において適用があるのであるが、居住者が継続してその納付することが確定した外国所得税の額につき、実際に納付した日の属する年分においてこれらの項を適用している場合には、これを認める。

(注) 上記の「納付することとなる日」とは、申告、賦課決定等の手続により外国所得税について具体的にその納付すべき租税債務が確定した日をいう。

(予定納付等をした外国所得税についての外国税額控除の適用時期)

95−4 居住者がいわゆる予定納付又は見積納付等(以下この項において「予定納付等」という。)をした外国所得税の額についても95−3に定める年分において法第95条第1項又は第2項《外国税額控除》の規定を適用することとなるのであるが、当該居住者が、継続して、当該外国所得税の額をその予定納付等に係る年分の外国所得税について確定申告又は賦課決定等があった日の属する年分においてこれらの項の規定を適用している場合には、これを認める。

(国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算)

95−5 令第221条の3第1項((国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算))に規定する「国外事業所等(……)を通じて行う事業に係る所得のみについて所得税を課するものとした場合に課税標準となるべき金額」とは、現地における外国所得税の課税上その課税標準とされた所得の金額そのものではなく、その年分において生じた同項に規定する国外事業所等帰属所得(以下第95条関係において「国外事業所等帰属所得」という。)に係る所得の計算につき法(措置法その他所得税に関する法令で法以外のものを含む。)の規定を適用して計算した場合におけるその年分の課税標準となるべき所得の金額をいう(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(注) 非永住者に係る調整国外所得金額の計算の基礎となる国外所得金額は、国内において支払われ、又は国外から送金されたものに限られることに留意する。

(複数の国外事業所等を有する場合の取扱い)

95−6 居住者の国外事業所等(法第95条第4項第1号に規定する国外事業所等をいう。以下この項において同じ。)が複数ある場合には、当該国外事業所等ごとに国外事業所等帰属所得を認識し当該国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算を行うことに留意する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(注) 一の外国に事業活動の拠点が複数ある場合には、当該一の外国の複数の事業活動の拠点全体を一の国外事業所等として本文の認識及び計算を行うことに留意する。

(国外事業所等帰属所得に係る所得の金額を計算する場合の準用)

95−7 居住者の国外事業所等帰属所得に係る所得の金額を計算するに当たっては、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる取扱いを準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(1)法第95条第4項第1号に規定する内部取引から生ずる国外事業所等帰属所得に係る所得の金額を計算する場合 165−4、165−5、165−7及び165−8の取扱い

(2)令第221条の3第6項の規定により共通費用の額を配分する場合 165−10の取扱い

(3)令第221条の4第1項((国外事業所等に帰せられるべき純資産に対応する負債の利子))の規定により、国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額に算入されないこととなる金額を計算する場合 165の3−1、165の3−2、165の3−4、165の3−5及び165の3−7から165の3−10までの取扱い

(国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算における共通費用の額の配賦)

95−8 令第221条の3第6項に規定する共通費用の額については、個々の業務ごと、かつ、個々の費目ごとに同項に規定する合理的と認められる基準により国外事業所等帰属所得に係る所得を生ずべき業務(以下この項において「国外業務」という。)に配分するのであるが、全ての共通費用の額を一括して、その年分の不動産所得に係る総収入金額、事業所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額のうち国外業務に係る収入金額の占める割合を用いて国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額として配分すべき金額を計算して差し支えない(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算における引当金の取崩額等)

95−9 その年の前年以前の各年分においてその繰入額又は積立額を国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額に算入した引当金又は準備金の取崩し等による収入金額がある場合には、当該収入金額のうちその繰入れをし、又は積立てをした年分において国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額に算入した金額に対応する部分の金額を当該取崩し等に係る年分の国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算上、収入金額に算入する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(注) その年分において個人の死亡により被相続人から引継ぎを受けた引当金又は準備金の取崩し等による収入金額がある場合には、当該収入金額のうち当該被相続人においてその繰入れをし、又は積立てをした年分の国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額に算入した金額に対応する部分の金額についても、同様とする。

(その他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算)

95−10 令第221条の6第1項((その他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算))に規定する「国外源泉所得に係る所得のみについて各年分の所得税を課するものとした場合に課税標準となるべきその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額に相当する金額」とは、現地における外国所得税の課税上その課税標準とされた所得の金額そのものではなく、その年分において生じた令第221条の2第2号((国外所得金額))に掲げる国外源泉所得(以下第95条関係において「その他の国外源泉所得」という。)に係る所得の計算につき法(措置法その他所得税に関する法令で法以外のものを含む。)の規定を適用して計算した場合におけるその年分の課税標準となるべき所得の金額をいう(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(その他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算における共通費用の額の配賦)

95−11 令第221条の6第2項に規定する共通費用の額については、個々の業務ごと、かつ、個々の費目ごとに同項に規定する合理的と認められる基準によりその他の国外源泉所得に係る所得を生ずべき業務(以下この項において「国外業務」という。)に配分するのであるが、全ての共通費用の額を一括して、その年分の不動産所得に係る総収入金額、事業所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額のうちに国外業務に係る収入金額の占める割合を用いてその他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額として配分すべき金額を計算して差し支えない(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(その他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算における引当金の取崩額等)

95−12 その年の前年以前の各年分においてその繰入額又は積立額をその他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額に算入した引当金又は準備金の取崩し等による収入金額がある場合には、当該収入金額のうちその繰入れをし、又は積立てをした年分においてその他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額に算入した金額に対応する部分の金額を当該取崩し等に係る年分のその他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算上、収入金額に算入する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(注) その年分において個人の死亡により被相続人から引継ぎを受けた引当金又は準備金の取崩し等による収入金額がある場合には、当該収入金額のうち当該被相続人においてその繰入れをし、又は積立てをした年分のその他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算上必要経費の額に算入した金額に対応する部分の金額についても、同様とする。

(国際海上運輸業における運送原価の計算)

95−13 法第95条第4項第15号の国内及び国外にわたって船舶による運送の事業(以下この項において「国際海上運輸業」という。)を行うことにより生ずる所得のうち国外において行う業務につき生ずべき所得に係る所得の金額を計算する場合におけるその原価の額は、原則として個々の運送ごとに計算するのであるが、継続して次の算式により計算した金額を当該運送の原価の額として差し支えない(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(算式)

国際海上運輸業に係るその年分の運送の原価の額の合計額×(分母の金額のうち同号に規定する「国外において行う業務」に係るもの)÷(国際海上運輸業に係るその年分の運送収入の額の合計額)

(外国所得税が減額された場合の特例の適用時期)

95−14 令第226条((外国所得税が減額された場合の特例))の規定は、法第95条第1項から第3項までの規定の適用を受けた外国所得税につき、その外国所得税が減額されることとなった日の属する年分において適用があるのであるが、実際に還付金を受領した日の属する年分において令第226条を適用している場合には、これを認める(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(注) 上記の「減額されることとなった日」とは、減額されることとなった外国所得税に係る還付金の支払通知書等の受領により外国所得税について具体的にその減額されることとなった金額が確定した日をいう。

(外国所得税が減額された場合の邦貨換算)

95−15 居住者が納付した外国所得税の額が減額されたため、これにつき令第226条の規定の適用を受ける場合におけるその減額に係る還付金の金額は、57の3−2に定めるところにより邦貨に換算した金額によることとする(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(外国所得税額に増額があった場合)

95−16 居住者が外国所得税の額につき法第95条第1項から第3項までの規定の適用を受けた場合において、その適用を受けた年分後の年分に当該外国所得税の額の増額があったときは、当該増額した外国所得税の額は、当該増額のあった日の属する年分において新たに生じたものとして同条の規定を適用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(国外事業所等帰属所得を認識する場合の準用)

95−17 161−8から161−11までの取扱いは、国外事業所等帰属所得を認識する場合について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(振替公社債等の運用又は保有)

95−18 161−13の取扱いは、令第225条の3第1項第1号((国外にある資産の運用又は保有により生ずる所得))に掲げる債券の範囲について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加、令4課個2-13、課法12-16、課審5-9改正)。

(機械設備の販売等に付随して行う技術役務の提供)

95−19 161−25の取扱いは、令第225条の5 第3号((人的役務の提供を主たる内容とする事業の範囲))に掲げる「科学技術、経営管理その他の分野に関する専門的知識又は特別の技能を有する者の当該知識又は技能を活用して行う役務の提供を主たる内容とする事業」から除かれる「機械設備の販売その他事業を行う者の主たる業務に付随して行われる場合における当該事業」の範囲について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加、令4課個2-13、課法12-16、課審5-9改正)。

(船舶又は航空機の貸付け)

95−20 法第95条第4項第5号に掲げる船舶又は航空機の貸付けによる対価とは、船体又は機体の賃貸借であるいわゆる裸用船(機)契約に基づいて支払を受ける対価をいい、乗組員とともに船体又は機体を利用させるいわゆる定期用船(機)契約又は航海用船(機)契約に基づいて支払を受ける対価は、これに該当しない(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(注)1 いわゆる定期用船(機)契約又は航海用船(機)契約に基づいて支払を受ける対価は、同項第15号の運送の事業に係る所得に該当する。

(注)2 居住者が非居住者又は外国法人に対する船舶又は航空機の貸付け(いわゆる裸用船(機)契約によるものに限る。)に基づいて支払を受ける対価は、たとえ当該非居住者又は外国法人が当該貸付けを受けた船舶又は航空機を専ら国内において事業の用に供する場合であっても、同項第5号に掲げる国外源泉所得に該当することに留意する。

(振替公社債等の利子)

95−21 161−13の取扱いは、法第95条第4項第6号イに規定する債券の範囲について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(貸付金に準ずるもの)

95−22 161−30の取扱いは、法第95条第4項第8号に規定する「国外において業務を行う者に対する貸付金」に準ずるものの範囲について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(工業所有権等の意義)

95−23 162−2の取扱いは、法第95条第4項第9号イに規定する「工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの」(95−24において「工業所有権等」という。)の意義について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(使用料の意義)

95−24 161−35の取扱いは、法第95条第4項第9号イの工業所有権等の使用料又は同号ロの著作権の使用料の意義について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(備品の範囲)

95−25 161−39の取扱いは、令第225条の7第1項((国外業務に係る使用料等))に規定する器具及び備品の範囲について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(給与所得及び退職所得に係る国外源泉所得の所得の金額の計算)

95−26 法第95条第4項第10号に掲げる国外源泉所得のうち法第28条第2項((給与所得))に規定する給与所得及び法第30条第2項((退職所得))に規定する退職所得に係るものの所得の金額は、それぞれ次の区分に応じ、次の算式により計算した金額とする(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加)。

(1)給与所得

給与所得の金額×(給与等の総額のうちその源泉が国外にあるものの金額)÷(給与等の総額)

(2)退職所得

退職所得の金額×(退職手当等の総額のうちその源泉が国外にあるものの金額)÷(退職手当等の総額)

(利子の範囲)

95−27 165の3−8の取扱いは、法第95条第7項に規定する利子の範囲について準用する(平28課2−4、課法11−8、課審5−5追加、平28課個2-22、課審5-18改正)。

(外国所得税の換算)

95−28 法第95条の規定を適用する場合の外国所得税の額については、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる外国為替の売買相場により邦貨に換算した金額による。(平18課個2−7、課資3−2、課審4−89改正、平28課2−4、課法11−8、課審5−5改正)

(1) 源泉徴収による外国所得税源泉徴収により納付することとなる利子、配当、使用料等(以下この項において「配当等」という。)に係る外国所得税については、当該配当等の額の換算に適用する外国為替の売買相場により換算した金額とする。

(2) (1)以外による外国所得税源泉徴収以外の方法により納付することとなる外国所得税については、法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))に規定する外貨建取引に係る経費の金額の換算に適用する外国為替の売買相場により換算した金額とする。

(非永住者の外国税額控除の対象となる外国所得税の範囲)

95−29 非永住者が法第7条第1項第2号《課税所得の範囲》に規定する所得以外の所得に対して外国又はその地方公共団体により課された税は、法第95条《外国税額控除》の対象とされる外国所得税には該当しないのであるから、当該税については同条の規定の適用はないことに留意する。

(外国所得税を課されたことを証する書類)

95−30 規則第41条第1項第3号《外国税額控除を受けるための書類等》の「税を課されたことを証する・・・・・・その納付を証する書類」には、申告書の写し又は現地の税務官署が発行する納税証明書等のほか、更正若しくは決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書、源泉徴収の外国所得税に係る源泉徴収票その他これらに準ずる書類又はこれらの書類の写しが含まれる(平28課2−4、課法11−8、課審5−5、平29課個2−13、課資3−3、課審5−5改正)。