(昭和47年以前に贈与等により取得した資産の取得費)

60−1 法第60条第1項及び第4項の規定は、昭和48年1月1日以後に贈与、相続若しくは遺贈又は低額譲渡により取得した資産について適用され、昭和47年12月31日以前に贈与、相続若しくは遺贈又は低額譲渡により取得した資産については、所得税法の一部を改正する法律(昭和48年法律第8号)による改正前の所得税法又は旧所得税法(昭和22年法律第27号をいう。)の規定が適用されることに留意する。(昭49直所2−23、令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9改正)

(注) 贈与等の時期に応じ、従前の法律の規定を示すと表4のようになる。

表4 贈与等の時期に応じた、従前の法律の規定

(贈与等の際に支出した費用)

60−2 法第60条第1項第1号に掲げる贈与、相続又は遺贈(以下この項において「贈与等」という。)により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合において、当該贈与等に係る受贈者等が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出しているときには、当該費用のうち当該資産に対応する金額については、37−5及び49−3の定めにより各種所得の金額の計算上必要経費に算入された登録免許税、不動産取得税等を除き、当該資産の取得費に算入できることに留意する。(平17課資3−7、課個2−25、課審6−13追加、令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9改正)

(注) 当該贈与等以外の事由により非業務用の固定資産を取得した場合の登録免許税等については、38−9参照

(法第60条第2項の適用範囲)

60−3 法第60条第2項の規定は、配偶者居住権の設定に係る同条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下60−10までにおいて同じ。)を取得した居住者が当該建物又は当該土地を譲渡した場合について適用があるのであるが、当該居住者から同号に掲げる贈与、相続又は遺贈により当該建物又は当該土地を取得した居住者が当該建物又は当該土地を譲渡した場合においても、その譲渡した当該建物又は当該土地の取得費については、同項の規定により、引き続きこれを所有していたものとみなされることから、同条第2項の規定の適用があることに留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(「配偶者居住権等を取得した時」の意義)

60−4 法第60条第3項第1号に規定する「配偶者居住権を取得した時」及び同項第2号に規定する「当該権利を取得した時」とは、配偶者居住権が設定された時をいうことに留意する。

(注) 配偶者居住権が設定された時については、昭和34年1月28日付直資10「相続税法基本通達の全部改正について」通達23の2−2《「配偶者居住権が設定された時」の意義》参照(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(配偶者居住権等の取得費)

60−5 配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利(以下60−10までにおいて「配偶者居住権等」という。)が消滅した場合における譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、法第60条第3項の規定により計算した金額となるのであるが、当該収入金額の100分の5に相当する金額を取得費として譲渡所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(配偶者居住権等の取得費に算入する金額)

60−6 法第60条第3項の規定により配偶者居住権等の取得費を計算する場合において、配偶者居住権等を取得した後に、当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地について改良、改造等が行われたときであっても、当該改良、改造等に要した費用の額は、同項の規定による配偶者居住権等の取得費の計算上加算されないことに留意する。ただし、配偶者居住権等を取得した場合に、60−2において資産の取得費に算入できることとされる金額については、令第169条の2第1項又は第3項《贈与等により取得した資産の取得費等》の規定により計算した金額に加算して、配偶者居住権等の取得費を計算して差し支えない。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(令第169条の2第5項第1号及び第6項第1号に規定する配偶者居住権等の「取得費とされた金額」)

60−7 令第169条の2第5項第1号及び第6項第1号に規定する配偶者居住権等の「取得費とされた金額」については、配偶者居住権を有していた居住者が配偶者居住権等の消滅による譲渡所得の金額の計算上控除した取得費について、60−5の定めにより計算した場合又は60−6ただし書の定めにより加算した金額がある場合であっても、法第60条第3項の規定により計算した金額によることに留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(配偶者居住権等の消滅につき対価を支払わなかった場合における建物又は土地の取得費)

60−8 配偶者居住権の設定に係る法第60条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を取得した居住者が、配偶者居住権等の消滅につき対価を支払わなかった場合において、その消滅後にその居住者が当該建物又は当該土地を譲渡したときにおける当該建物又は当該土地の取得費は、当該配偶者居住権の設定に係る相続又は遺贈の時から配偶者居住権が設定されていなかったものとした場合において計算される取得費の額となることに留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地の購入後に配偶者居住権等の消滅につき対価を支払った場合における当該建物又は当該土地の取得費)

60−9 配偶者居住権の設定に係る法第60条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を取得した居住者から当該建物又は当該土地を購入した居住者が、対価を支払って配偶者居住権等を消滅させた後に当該建物又は当該土地を譲渡した場合における当該消滅の対価の額については、当該建物又は当該土地の取得費の計算上、令第169条の2第5項第2号又は第6項第2号の規定を準用するものとする。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(配偶者居住権を有する居住者が贈与等により建物又は土地を取得した場合における当該建物又は当該土地の取得費)

60−10 配偶者居住権を有する居住者(以下この項において「配偶者」という。)が、当該配偶者居住権の設定に係る法第60条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を取得した居住者から同号に掲げる贈与、相続又は遺贈により当該建物又は当該土地を取得したことにより配偶者居住権等が消滅した場合において、その消滅後に配偶者が当該建物又は当該土地を譲渡したときにおける当該建物又は当該土地の取得費は、当該配偶者居住権の設定に係る相続又は遺贈の時から配偶者居住権が設定されていなかったものとした場合において計算される取得費の額となることに留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)


(災害損失の控除の順序)

62−1 法第62条第1項の規定により譲渡所得の金額の計算上控除すべき損失の金額は、法第33条第3項《譲渡所得》に規定する譲渡益の計算上、同項に規定する残額から控除することに留意する。

(固定資産等の損失に関する取扱いの準用)

62−2 法第62条第1項の規定により譲渡所得の金額の計算上控除すべき損失の金額等については、51−2及び51−6から51−9までの取扱いに準ずる。