(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の帰属)

36・37共−19 任意組合等の組合員の当該任意組合等において営まれる事業(以下36・37共−20までにおいて「組合事業」という。)に係る利益の額又は損失の額は、当該任意組合等の利益の額又は損失の額のうち分配割合に応じて利益の分配を受けるべき金額又は損失を負担すべき金額とする。
 ただし、当該分配割合が各組合員の出資の状況、組合事業への寄与の状況などか らみて経済的合理性を有していないと認められる場合には、この限りではない。(平17課個2−39、課資3−11、課審4−220改正)

(注)

1 任意組合等とは、民法第667条第1項《組合契約》に規定する組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律第3条第1項《投資事業有限責任組合契約》に規定する投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約に関する法律第3条第1項《有限責任事業組合契約》に規定する有限責任事業組合契約により成立する組合並びに外国におけるこれらに類するものをいう。以下36・37共−20までにおいて同じ。

2 分配割合とは、組合契約に定める損益分配の割合又は民法第674条《組合員の損益分配の割合》、投資事業有限責任組合契約に関する法律第16条《民法の準用》及び有限責任事業組合契約に関する法律第33条《組合員の損益分配の割合》の規定による損益分配の割合をいう。以下 36・37共−20までにおいて同じ。

(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の帰属の時期)

36・37共−19の2 任意組合等の組合員の組合事業に係る利益の額又は損失の額は、その年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。
 ただし、組合事業に係る損益を毎年1回以上一定の時期において計算し、かつ、当該組合員への個々の損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合には、当該任意組合等の計算期間を基として計算し、当該計算期間の終了する日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入するものとする。(平17課個2−39、課資3−11、課審4−220追加)

(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の額の計算等)

36・37共−20 36・37共−19及び36・37共−19の2により任意組合等の組合員の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する利益の額又は損失の額は、次の(1)の方法により計算する。ただし、その者が(1)の方法により計算することが困難と認められる場合で、かつ、継続して次の(2)又は(3)の方法により計算している場合には、その計算を認めるものとする。(平17課個2−39、課資3−11、課審4−220、平24課個2−30、課審5−25改正)

(1) 当該組合事業に係る収入金額、支出金額、資産、負債等を、その分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法

(2) 当該組合事業に係る収入金額、その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
 この方法による場合には、各組合員は、当該組合事業に係る取引等について非課税所得、配当控除、確定申告による源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はあるが、引当金、準備金等に関する規定の適用はない。

(3) 当該組合事業について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員にあん分する方法
 この方法による場合には、各組合員は、当該組合事業に係る取引等について、非課税所得、引当金、準備金、配当控除、確定申告による源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はなく、各組合員にあん分される利益の額又は損失の額は、当該組合事業の主たる事業の内容に従い、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得のいずれか一の所得に係る収入金額又は必要経費とする。

(注) 組合事業について計算される利益の額又は損失の額のその者への報告等の状況、その者の当該組合事業への関与の状況その他の状況からみて、その者において当該組合事業に係る収入金額、支出金額、資産、負債等を明らかにできない場合は、「(1)の方法により計算することが困難と認められる場合」に当たることに留意する。

(匿名組合契約による組合員の所得)

36・37共−21 匿名組合契約(商法第535条《匿名組合契約》の規定による契約をいう。以下この項及び36・37共−21の2において同じ。)を締結する者で当該匿名組合契約に基づいて出資をする者(匿名組合契約に基づいて出資をする者のその匿名組合契約に係る地位の承継をする者を含む。以下この項及び36・37共−21の2において「匿名組合員」という。)が当該匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配は雑所得とする。
 ただし、匿名組合員が当該匿名組合契約に基づいて営業者の営む事業(以下この 項及び36・37共−21の2において「組合事業」という。)に係る重要な業務執行の決定を行っているなど組合事業を営業者と共に経営していると認められる場合には、当該匿名組合員が当該営業者から受ける利益の分配は、当該営業者の営業の内容に従い、事業所得又はその他の各種所得とする。(平17課個2−39、課資3−11、課審4−220改正)

(注)

1 匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配とは、匿名組合員が当該営業者から支払を受けるものをいう(出資の払戻しとして支払を受けるものを除く。 ) 。以下36・37共−21の2において同じ。

2 営業者から受ける利益の分配が、当該営業の利益の有無にかかわらず一定額又は出資額に対する一定割合によるものである場合には、その分配は金銭の貸付けから生じる所得となる。

 なお、当該所得が事業所得であるかどうかの判定については、27−6参照。

(匿名組合契約による営業者の所得)

36・37共−21の2 36・37共−21により営業者が匿名組合員に分配する利益の額は、当該営業者の当該組合事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。(平17課個2−39、課資3−11、課審4−220追加)


(信用取引に係る金利等)

36・37共−22 信用取引の方法により株式の買付け若しくは売付けを行う者又は暗号資産信用取引の方法により暗号資産の買付け若しくは売付けを行う者が、当該信用取引又は当該暗号資産信用取引に関し、証券会社に支払うべき、若しくは証券会社から支払を受けるべき金利若しくは品貸料又は他の者(当該暗号資産信用取引に関し、当該売付け又は買付けを行った者に対して信用を供与する者に限る。以下この項において同じ。)に支払うべき、若しくは他の者から支払を受けるべき金利若しくはいわゆる品貸料に相当する金額は、それぞれ次によるものとする。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個2-12、課法11-3、課審5-6、令5課個2-25、課法12-11、課審5-9改正)

(1) 買付けを行う者が、証券会社に支払うべき金利は当該買付けに係る株式の取得価額に算入し、証券会社から支払を受けるべき品貸料は当該買付けに係る株式の取得価額から控除する。

(2) 売付けを行う者が、証券会社から支払を受けるべき金利は当該売付けに係る株式の譲渡による収入金額に算入し、証券会社に支払うべき品貸料は当該売付けに係る株式の譲渡による収入金額から控除する。

(3) 買付けを行う者が、他の者に支払うべき金利は当該買付けに係る暗号資産の取得価額に算入し、他の者から支払を受けるべきいわゆる品貸料は当該買付けに係る暗号資産の取得価額から控除する。

(4) 売付けを行う者が、他の者から支払を受けるべき金利は当該売付けに係る暗号資産の売買による収入金額に算入し、他の者に支払うべきいわゆる品貸料は当該売付けに係る暗号資産の売買による収入金額から控除する。

(信用取引に係る配当落調整額等)

36・37共−23 信用取引に関し、株式の買付けを行った者が証券会社から支払を受けるべき次に掲げる金額は、当該買付けに係る株式の取得価額から控除するものとし、株式の売付けを行った者が証券会社に対し支払うべき次に掲げる金額は、当該売付けに係る株式の譲渡による収入金額から控除するものとする。(平元直所3−14、直法6−9、直資3−8追加、平18課個2−18、課資3−10、課審4−114、平27課個2−11、課法10−16、課審5−7改正)

(1) 配当落調整額(信用取引に係る株式につき配当が付与された場合において、証券会社が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいう。)に相当する金額

(2) 権利処理価額(信用取引に係る株式につき株式分割、株式無償割当て及び会社分割による株式を受ける権利、新株予約権(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第17項((定義))に規定する新投資口予約権を含む。以下この項において同じ。)又は新株予約権の割当てを受ける権利が付与された場合において、証券会社が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該引受権に相当する金銭の額をいう。)に相当する金額


(法令に基づき交付を受ける給付金等の処理)

36・37共−24 雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等(以下36・37共−25において「雇用保険法等の規定等」という。)に基づき休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する年分においてその金額が具体的に確定しない場合であっても、その金額を見積もり、当該年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。この場合において、その給付の対象となった休業手当等を製造原価に算入しているときは、当該給付金額のうち製造原価に算入した休業手当等に対応する金額をその製造原価から控除することができる。(昭51直所3−1、直法6−1、直資3-1追加、昭55直所3−19、直法6−8、昭60直所3−1、直法6−1、直資3−1、平元直所3−14、直法6−9、直資3−8、平11課所4−1、平23課個2−33、課法9−9、課審4−46、平30課個2‐29、課法12‐104、課審5‐8、令7課個2-10、課法12-5、課審5-10 改正)

(法令に基づき交付を受ける奨励金等の収入すべき時期)

36・37共−25 定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったことなどにより雇用保険法等の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。(昭51直所3−1、直法6−1、直資3-1追加、昭55直所3−19、直法6−8、昭60直所3−1、直法6−1、直資3−1、平元直所3−14、直法6−9、直資3−8、平11課所4−1、平23課個2−33、課法9−9、課審4−46、平30課個2‐29、課法12‐104、課審5‐8、令7課個2-10、課法12-5、課審5-10 改正)