(譲渡所得の基因となる資産の範囲)

33-1 譲渡所得の基因となる資産とは、法第33条第2項各号に規定する資産及び金銭債権以外の一切の資産をいい、当該資産には、借家権又は行政官庁の許可、認可、割当て等により発生した事実上の権利も含まれる。

(少額重要資産の範囲)

33-1の2 令第81条第2号又は第3号《譲渡所得の基因とされない棚卸資産に準ずる資産》かっこ内に規定する「その者の業務の性質上基本的に重要なもの」とは、製品の製造、農産物の生産、商品の販売、役務の提供等その者の目的とする業務の遂行上直接必要な減価償却資産で当該業務の遂行上欠くことのできないもの(以下この項において「少額重要資産」という。)をいう。(昭50直資3-11、直所3-19、追加平11課所4-1、令4課資3-7、課審7-16改正)

(注) 少額重要資産であっても、貸衣装業における衣装類、パチンコ店におけるパチンコ器、養豚業における繁殖用又は種付用の豚のように、事業の用に供された後において反復継続して譲渡することが当該事業の性質上通常である少額重要資産の譲渡による所得は、譲渡所得には該当せず、事業所得に該当する(27-1参照)。

(使用可能期間が1年未満である減価償却資産)

33-1の3 使用可能期間が1年未満である減価償却資産で令第138条第1項《少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入》の規定に該当するものの譲渡による所得は、当該減価償却資産がその者の業務の性質上基本的に重要なものに該当する場合であっても、譲渡所得には該当しない。(昭50直資3-11、直所3-19、令4課個2-13、課法12-16、課審5-9改正)

(財産分与による資産の移転)

33-1の4 民法第768条《財産分与》(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。(昭50直資3-11、直所3-19追加、平18課資3-6、課個2-11、課審6-5改正)

(注)

1 財産分与による資産の移転は、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であり、贈与ではないから、法第59条第1項《みなし譲渡課税》の規定は適用されない。

2 財産分与により取得した資産の取得費については、38-6参照

(代償分割による資産の移転)

33-1の5 遺産の代償分割(現物による遺産の分割に代え共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させる方法により行う遺産の分割をいう。以下同じ。)により負担した債務が資産の移転を要するものである場合において、その履行として当該資産の移転があったときは、その履行をした者は、その履行をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。(昭52直資3-14、直所3-22追加)

(注) 代償分割に係る資産の取得費については、38-7参照

(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて行う資産の移転)

33-1の6 民法第1046条第1項《遺留分侵害額の請求》の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産(当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求の基因となった遺贈又は贈与により取得したものを含む。)の移転があったときは、その履行をした者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を譲渡したこととなる。(令元課資3−3、課個2−20、課法11−5、課審7−3追加)

(注) 当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求をした者が取得した資産の取得費については、38−7の2参照

(共有地の分割)

33-1の7 個人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときには、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。(昭56直資3-2、直所3-3追加、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3改正)

(注) 1 その分割に要した費用の額は、その土地が業務の用に供されるもので当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、その土地の取得費に算入する。
2 分割されたそれぞれの土地の面積の比と共有持分の割合とが異なる場合であっても、その分割後のそれぞれの土地の価額の比が共有持分の割合におおむね等しいときは、その分割はその共有持分に応ずる現物分割に該当するのであるから留意する。

(受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡等)

33-1の8 受益者等課税信託(法第13条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下この項において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下この項において同じ。)の信託財産に属する資産が譲渡所得の基因となる資産である場合における当該資産の譲渡又は受益者等課税信託の受益者等としての権利の目的となっている信託財産に属する資産が譲渡所得の基因となる資産である場合における当該権利の譲渡による所得は、原則として譲渡所得となり、法第33条の規定その他の所得税に関する法令の規定を適用することとなる。なお、この場合においては次の点に留意する。(平19課資3-5、課個2-15、課審6-9追加、平19課資3-12、課個2-35、課審6-17、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3改正)

  1. (1) 受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があった場合において、当該資産の譲渡に係る信託報酬として当該受益者等課税信託の受益者等が当該受益者等課税信託の受託者に支払った金額については、法第33条第3項に規定する「資産の譲渡に要した費用」に含まれる。
  2. (2) 委託者と受益者等がそれぞれ一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があった場合又は当該受益者等課税信託の受益者等としての権利の譲渡があった場合における当該資産又は当該権利に係る資産の法第33条第3項第1号に規定する「取得の日」は、当該委託者が当該資産の取得をした日となる。
    (注) 当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産が信託期間中に信託財産に属することとなったものである場合には、当該資産が信託財産に属することとなった日となる。
  3. (3) 受益者等課税信託の受益者等としての権利の譲渡があった場合において、当該受益者等としての権利の目的となっている信託財産に属する債務があるため、当該譲渡の対価の額が当該債務の額を控除した残額をもって支払われているときは、当該譲渡による収入すべき金額は、法第36条第1項の規定により、その支払を受けた対価の額に当該控除された債務の額に相当する金額を加算した金額となる。
    (注) 譲渡された受益者等としての権利の目的となっている資産(金銭及び金銭債権を除く。)の譲渡収入金額は、当該受益者等としての権利の譲渡により収入すべき金額からその信託財産に属する金銭及び金銭債権の額を控除した残額を基礎として、当該受益者等としての権利の譲渡の時における当該受益者等としての権利の目的となっている各資産(金銭及び金銭債権を除く。)の価額の比によりあん分して算定するものとする。
  4. (4) 委託者が受益者等課税信託の受益者等となる信託の設定により信託財産に属することとなった資産の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、当該委託者が当該資産を引き続き有しているものとして、法第38条及び第61条の規定を適用して計算した金額となる。
    (注) 当該受益者等課税信託の信託期間中に、当該受益者等課税信託に係る信託財産に属することとなった資産の取得費は、受益者等が、当該資産を当該受益者等課税信託の受託者がその取得のために要した金額をもって取得し、引き続き有しているものとして、法第38条及び第61条の規定を適用して計算する。この場合において、当該資産の取得に係る信託報酬として当該受益者等課税信託の受益者等が当該受益者等課税信託の受託者に支払った金額については、法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」に含まれる。
  5. (5) 譲渡所得に関する課税の特例等の規定の適用を受けようとする受益者等が確定申告書に添付すべき書類については、昭和55年12月26日付直所3-20ほか1課共同「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)の28の4-53《信託の受益者における書類の添付》に準ずる。

(譲渡担保に係る資産の移転)

33-2 債務者が、債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、その契約書に次のすべての事項を明らかにしており、かつ、当該譲渡が債権担保のみを目的として形式的にされたものである旨の債務者及び債権者の連署に係る申立書を提出したときは、当該譲渡はなかったものとする。この場合において、その後その要件のいずれかを欠くに至ったとき又は債務不履行のためその弁済に充てられたときは、これらの事実の生じた時において譲渡があったものとする。(昭52直資3-14、直所3-22改正)

  1. (1)  当該担保に係る資産を債務者が従来どおり使用収益すること。
  2. (2)  通常支払うと認められる当該債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払に関する定めがあること。

(注) 形式上、買戻条件付譲渡又は再売買の予約とされているものであっても、上記のような要件を具備しているものは、譲渡担保に該当する。

(極めて長期間保有していた不動産の譲渡による所得)

33-3 固定資産である不動産の譲渡による所得であっても、当該不動産を相当の期間にわたり継続して譲渡している者の当該不動産の譲渡による所得は、法第33条第2項第1号に掲げる所得に該当し、譲渡所得には含まれないが、極めて長期間(おおむね10年以上をいう。以下33-5において同じ。)引き続き所有していた不動産(販売の目的で取得したものを除く。)の譲渡による所得は、譲渡所得に該当するものとする。

(固定資産である土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得)

33-4 固定資産である林地その他の土地に区画形質の変更を加え若しくは水道その他の施設を設け宅地等として譲渡した場合又は固定資産である土地に建物を建設して譲渡した場合には、当該譲渡による所得は棚卸資産又は雑所得の基因となる棚卸資産に準ずる資産の譲渡による所得として、その全部が事業所得又は雑所得に該当する。(昭48直資4-6、直所2-22、昭56直資3-2、直所3-3改正)

(注) 固定資産である土地につき区画形質の変更又は水道その他の施設の設置を行った場合であっても、次のいずれかに該当するときは、当該土地は、なお固定資産に該当するものとして差し支えない。

  1. 1 区画形質の変更又は水道その他の施設の設置に係る土地の面積(当該土地の所有者が2以上いる場合には、その合計面積)が小規模(おおむね3,000m²以下をいう。)であるとき。
  2. 2 区画形質の変更又は水道その他の施設の設置が土地区画整理法、土地改良法等法律の規定に基づいて行われたものであるとき。

(区画形質の変更等を加えた土地に借地権等を設定した場合の所得)

33-4の2 固定資産である林地その他の土地に区画形質の変更を加え又は水道その他の施設を設け宅地等とした後、その土地に令第79条第1項《資産の譲渡とみなされる行為》に規定する借地権又は地役権(以下この項において「借地権等」という。)を設定した場合において、その借地権等の設定(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)が同項に規定する行為に該当するときは、当該借地権等の設定に係る対価の額の全部が譲渡所得に係る収入金額に該当することに留意する。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

(極めて長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得)

33-5 土地、建物等の譲渡による所得が33-4により事業所得又は雑所得に該当する場合であっても、その区画形質の変更若しくは施設の設置又は建物の建設(以下この項において「区画形質の変更等」という。)に係る土地が極めて長期間引き続き所有されていたものであるときは、33-4にかかわらず、当該土地の譲渡による所得のうち、区画形質の変更等による利益に対応する部分は事業所得又は雑所得とし、その他の部分は譲渡所得として差し支えない。この場合において、譲渡所得に係る収入金額は区画形質の変更等の着手直前における当該土地の価額とする。

(注) 当該土地、建物等の譲渡に要した費用の額は、すべて事業所得又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する。

(借家人が受ける立退料)

33-6 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料のうち、借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額は、令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する。

(注) 上記に該当しない立退料については、34-1の(7)参照

(ゴルフ会員権の譲渡による所得)

33-6の2 ゴルフクラブ(ゴルフ場の所有又は経営に係る法人の株式又は出資を有することが会員となる資格の要件とされているゴルフクラブを除く。)の会員である個人が、その会員である地位(いわゆる会員権)を譲渡(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)したことによる所得は、譲渡所得に該当する。(昭56直資3-2、直所3-3追加、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(ゴルフ場の利用権の譲渡に類似する株式等の譲渡による所得の所得区分)

33-6の3 措置法令第25条の8第2項《一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》の規定に規定する株式又は出資者の持分を譲渡(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)したことによる所得は、譲渡所得に該当する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平15課個2-23、課資3-7、課法8-11、課審4-37、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13改正)

(有価証券の譲渡所得が短期譲渡所得に該当するかどうかの判定)

33-6の4 譲渡所得の基因となる有価証券を譲渡した場合において、当該有価証券と同一銘柄の有価証券を当該譲渡の日前5年前及び当該譲渡の日前5年以内に取得しているときは、当該譲渡した有価証券は先に取得したものから順次譲渡したものとして、当該有価証券のうちに法第33条第3項第1号に掲げる所得の基因となる有価証券が含まれているかどうかを判定する。この場合において、株式の分割又は併合により取得した有価証券、株主割当てにより取得(令第111条第1項に規定する旧株の数に応じて割り当てられた株式を取得した場合及び同条第2項に規定する旧株を発行した法人の株式無償割当てにより割り当てられた株式を取得した場合をいう。)した有価証券及び法人の合併、法人の分割、株式分配(法人税法第2条第12号の15の2《定義》に規定する株式分配をいう。以下この項において同じ。)又は組織変更により取得した有価証券(措置法第37条の10第3項、第37条の11第3項又は第37条の14の3第1項から第3項まで《合併等により外国親法人株式等の交付を受ける場合の課税の特例》の規定により一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされることとなる金額がある場合における法人の合併、法人の分割、株式分配又は組織変更により取得した有価証券を除く。)の取得の日は、その取得の基因となった有価証券の取得の日とする。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、平13課資3-2、課個2-24、課審5-5、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13、平18課資3-12、課個2-20、課審6-12、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13、平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14改正)

(注) 1 株式無償割当てのうち、旧株と異なる種類の株式の割当てを受けた場合の取得の日は、当該株式無償割当ての効力を生ずる日となることに留意する。
2 当該譲渡した有価証券の取得費は、令第118条《譲渡所得の基因となる有価証券の取得費等》の規定により計算することに留意する。

(土石等の譲渡による所得)

33-6の5 土地の所有者が、その土地の地表又は地中の土石、砂利等(以下38-13の2において「土石等」という。)を譲渡(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)したことによる所得は、譲渡所得に該当する。(昭56直資3-2、直所3-3追加、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(注) 譲渡所得の金額の計算上控除する土石等の取得費については、38-13の2参照

(法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合)

33-6の6 一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)を有する2以上の者が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合(土地区画整理法、土地改良法等の法律の規定に基づいて行うものを除く。以下この項において同じ。)を行った場合には、その交換分合が当該区画形質の変更に必要最小限の範囲内で行われるものである限り、その交換分合による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。この場合において、当該区域内にある土地の一部がその区画形質の変更に要する費用に充てるために譲渡されたときは、当該2以上の者が当該区域内に有していた土地の面積の比その他合理的な基準によりそれぞれその有していた土地の一部を譲渡したものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加、昭58直資3-2、直所3-11、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(注) 1 当該交換分合により取得した土地の取得の日及び取得費は、譲渡がなかったものとされる土地の取得の日及び取得費(その土地の区画形質の変更に要した費用があるときは、その取得費に当該費用の額を加算した金額)となることに留意する。
2 この取扱いは、当該交換分合が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であると認められるものについて適用できることに留意する。

(宅地造成契約に基づく土地の交換等)

33-6の7 一団の土地の区画形質の変更に関する事業(土地区画整理法、土地改良法等の規定に基づくものを除く。以下この項において同じ。)が施行される場合において、その事業の施行者とその一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)を有する者(以下この項において「従前の土地の所有者」という。)との間に締結された契約に基づき、従前の土地の所有者の有する土地をその事業の施行のためにその事業施行者に移転し、その事業完了後に区画形質の変更が行われたその区域内の土地の一部を従前の土地の所有者が取得するときは、その従前の土地の所有者が有する土地とその取得する土地との位置が異なるときであっても、その土地の異動が当該事業の施行上必要最小限の範囲内のものであると認められるときは、その従前の土地の所有者の有する土地(金銭等とともに土地を取得するときは、従前の土地の所有者の有する土地のうちその金銭等に対応する部分を除く。以下この項において「従前の土地」という。)のうちその取得する土地(その取得する土地につき、金銭等の支払があるときは、その取得する土地のうちその金銭等で取得したと認められる部分を除く。以下この項において「換地」という。)の面積に相当する部分は譲渡がなかったものとして取り扱う。
 この場合において、換地の面積が従前の土地の面積に満たないときにおけるその満たない面積に相当する従前の土地(以下この項において「譲渡する土地」という。)の譲渡に係る譲渡所得の収入金額は、取得した換地について行われる区画形質の変更に要する費用の額に相当する金額による。ただし、当該事業の施行に関する契約において譲渡する土地の面積が定められている場合には、課税上特に弊害がないと認められる限り、当該譲渡する土地の契約時における価額によることができる。
 なお、36-12の取扱いの適用については、同項中「引渡しがあった日」とあるのは「換地の取得の日」とする。(昭56直資3-2、直所3-3追加、昭58直資3-2、直所3-11、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(注) 1 「区画形質の変更に要する費用の額」は、当該契約において定められた金額がある場合にはその金額によるのであるが、その定めがないときは、当該事業の施行者が支出する当該区画形質の変更に要する工事の原価の額とその工事に係る通常の利益の額との合計額による。
2 当該契約により取得した換地の取得の日及び取得費は、従前の土地(譲渡がなかったものとされる部分に限る。)の取得の日及び取得費(従前の土地のうち譲渡があったものとされる部分があるときは、その取得費に当該部分の譲渡による譲渡所得の収入金額とされた金額に相当する金額を加算した金額)となることに留意する。
3 この取扱いの適用については、33-6の6の(注)2の取扱いに準ずる。

(配偶者居住権等の消滅による所得)

33-6の8 配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。)を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の消滅につき対価の支払を受ける場合における当該対価の額は、令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当することに留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9追加)

(譲渡費用の範囲)

33-7 法第33条第3項に規定する「資産の譲渡に要した費用」(以下33-11までにおいて「譲渡費用」という。)とは、資産の譲渡に係る次に掲げる費用(取得費とされるものを除く。)をいう。

  1. (1) 資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用
  2. (2) (1)に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地(借地権を含む。以下33-8までにおいて同じ。)を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用

(注) 譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれないことに留意する。

(資産の譲渡に関連する資産損失)

33-8 土地の譲渡に際しその土地の上にある建物等を取壊し、又は除却したような場合において、その取壊し又は除却が当該譲渡のために行われたものであることが明らかであるときは、当該取壊し又は除却の時において当該資産につき令第142条《必要経費に算入される資産損失の金額》又は第143条《昭和27年12月31日以前に取得した資産の損失の金額の特例》の規定に準じて計算した金額(発生資材がある場合には、その発生資材の価額を控除した残額)に相当する金額は、当該譲渡に係る譲渡費用とする。

(資産の取得の日)

33-9 法第33条第3項第1号に規定する取得の日は、次による。

  1. (1) 他から取得した資産については、36-12に準じて判定した日とする。
  2. (2) 自ら建設、製作又は製造(以下この項において「建設等」という。)をした資産については、当該建設等が完了した日とする。
  3. (3) 他に請け負わせて建設等をした資産については、当該資産の引渡しを受けた日とする。

(借地権者等が取得した底地の取得時期等)

33-10 借地権その他の土地の上に存する権利(以下「借地権等」という。)を有する者が当該権利の設定されている土地(以下「底地」という。)を取得した場合には、その土地の取得の日は、当該底地に相当する部分とその他の部分とを各別に判定するものとする。
 底地を有する者がその土地に係る借地権等を取得した場合も、同様とする。(昭56直資3-2、直所3-3改正)

(譲渡資産のうちに短期保有資産と長期保有資産とがある場合の収入金額等の区分)

33-11 一の契約により譲渡した資産のうちに短期保有資産(法第33条第3項第1号に掲げる所得の基因となる資産をいう。)と長期保有資産(同項第2号に掲げる所得の基因となる資産をいう。)とがある場合には、それぞれの譲渡資産の収入金額は、当該譲渡に係る収入金額の合計額をそれぞれの譲渡資産の当該譲渡の時の価額の比によりあん分して計算するものとし、当該譲渡資産に係る譲渡費用で個々の譲渡資産との対応関係の明らかでないものがあるときは、当該譲渡費用の額をそれぞれの資産に係る収入金額の比であん分するなど合理的な方法によりそれぞれの資産に係る当該譲渡費用の額を計算するものとする。この場合において、当事者の契約によりそれぞれの譲渡資産に対応する収入金額が区分されており、かつ、その区分がおおむねその譲渡の時の価額の比により適正に区分されているときは、これを認める。

(借地権等を消滅させた後、土地を譲渡した場合等の収入金額の区分)

33-11の2 借地権等の設定されている土地の所有者が、当該借地権等を消滅させた後に当該土地を譲渡し、又は当該土地に新たな借地権等の設定(その設定による所得が譲渡所得とされる場合に限る。以下33-11の3までにおいて同じ。)をした場合には、当該土地のうち借地権等の消滅時に取得したものとされる部分(以下この項において「旧借地権部分」という。)及びその他の部分(以下この項において「旧底地部分」という。)をそれぞれ譲渡し、又はそれぞれの部分について借地権等の設定をしたものとして取り扱うものとし、この場合における旧借地権部分及び旧底地部分に係る収入金額は、それぞれ次に掲げる算式により計算した金額によるものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

(1) 旧借地権部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は新たに設定した借地権等の対価の額×(旧借地権等の消滅時の旧借地権等の価額)÷(旧借地権等の消滅時の当該土地の更地価額)

(注) 「旧借地権等の消滅時の旧借地権等の価額」は、その借地権等の消滅につき対価の支払があった場合において、その対価の額が適正であると認められるときは、その対価の額(手数料その他の附随費用の額を含まない。)によることができる。

(2) 旧底地部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は新たに設定した借地権等の対価の額-(1)の金額

(注) 借地権等を消滅させた後、土地を譲渡した場合等における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額の区分については、38-4の2参照

(底地を取得した後、土地を譲渡した場合等の収入金額の区分)

33-11の3 借地権等を有する者が、当該借地権等に係る底地を取得した後に当該土地を譲渡し、又は当該土地に借地権等の設定をした場合には、当該土地のうちその取得した底地に相当する部分(以下この項において「旧底地部分」という。)及びその他の部分(以下この項において「旧借地権部分」という。)をそれぞれ譲渡し、又はそれぞれの部分について借地権等の設定をしたものとして取り扱うものとし、この場合における旧底地部分及び旧借地権部分に係る収入金額は、それぞれ次に掲げる算式により計算した金額によるものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

(1) 旧底地部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は当該設定した借地権等の対価の額×(旧底地の取得時の旧底地の価額)÷(旧底地の取得時の当該土地の更地金額)

(注) 「旧底地の取得時の旧底地の価額」は、その底地の取得につき対価の支払があった場合において、その対価の額が適正であると認められるときは、その対価の額(手数料その他の附随費用の額を含まない。)によることができる。

(2) 旧借地権部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は当額に設定した借地権等の対価の額-(1)の金額

(注) 底地を取得した後、土地を譲渡した場合等における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額の区分については、38-4の3参照

(特別高圧架空電線等の意義)

33-12 令第79条第1項かっこ内に規定する「特別高圧架空電線」又は「特別高圧地中電線」とは、電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)第2条第1項第3号《電圧の種別等》に規定する特別高圧(電圧が7,000ボルトを超えるもの)の電気を送電するための架空電線又は地中電線をいう。(昭56直資3-2、直所3-3、平16課資3-9、課個2-27、課審6-17改正)

(借地権に係る土地を他人に使用させる行為等)

33-13 令第79条第1項かっこ内に規定する「その他他人に当該土地を使用させる行為」には、例えば、借地権に係る土地の地下に地下鉄等の構築物を建設させるためその土地の地下を使用させる行為又は特別高圧架空電線の架設等をさせるためその土地の上の空間を使用させる行為が該当し、同条第2項に規定する「その土地の所有者及びその借地権者がともにその土地の利用を制限されることとなるとき」には、例えば、これらの行為をさせることにより、その土地の上に建設する建造物の重量若しくは高さが制限されることとなる場合又は建造物の設置が制限されることとなる場合が該当する。

(複利の方法で計算した現在価値に相当する金額の計算)

33-14 令第80条第2項《特別の経済的な利益で借地権の設定等による対価とされるもの》に規定する「通常の利率」は昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)の4-4に定める基準年利率、「貸付けを受ける期間」は1年を単位として計算した期間(1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てて計算した期間)、「複利の方法で計算した現在価値」の計算の基礎となる複利現価率は小数点以下第3位まで計算した率(第4位を切り上げる。)による。(平11課資3-9、課所4-21改正、平13課資3-2、課個2-24、課審5-5改正、平14課資3-11、平16課資3-9、課個2-27、課審6-17改正)

(注) 同条第1項に規定する金銭の貸付けを受けた日を含む月の基準年利率が公表されていない場合は最も近い月の利率とする。

(借地権の設定等に伴う保証金等)

33-15 借地権の設定等に当たり保証金、敷金等の名義による金銭を受け入れた場合においても、その受け入れた金額がその土地の存する地域において通常収受される程度の保証金等の額(その額が明らかでないときは、当該借地権の設定等に係る契約による地代のおおむね3月分相当額とする。)以下であるときは、当該受け入れた金額は、令第80条第1項に規定する「特に有利な条件による金銭の貸付け」には該当しないものとする。

(共同建築の場合の借地権の設定)

33-15の2 一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)を有する2以上の者が、その一団の土地の上に共同で建築した建物を区分所有し、又は共有する場合における令第79条の規定の適用については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱う。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

  1. (1) 各人の所有する土地の面積又は価額の比(以下この項において「土地の所有割合」という。)と各人の区分所有する部分の建物の床面積(当該建物の階その他の部分ごとに利用の効用が異なるときは、当該部分ごとに、その異なる効用に係る適正な割合を勘案して算定した床面積)の比又は共有持分の割合(以下この項において「建物の所有割合」という。)とがおおむね等しい場合相互に借地権の設定はなかったものとする。
  2. (2) 上記(1)以外の場合建物の所有割合が土地の所有割合に満たない者の当該満たない割合に対応する部分の土地についてのみ貸付けが行われたものとする。

(大深度事業と一体的に施行される事業により設置される施設等の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定)

33-15の3 令第79条第1項第3号の規定により資産の譲渡とみなされる場合は、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成12年法律第87号。以下33-15の4までにおいて「大深度地下法」という。)第16条《使用の認可の要件》の規定により使用の認可を受けた事業(以下33-15の4までにおいて「認可事業」という。)と一体的に施行される事業により設置される施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定の対価として支払を受ける金額が、次の算式により計算した金額を超える場合であるから留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(計算式)

その土地の価額(注1)× 1/2 ×認可事業と一体的に施行される事業により設置される施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権(A)の設定される範囲のうち最も浅い部分の深さから大深度(注2、注3)までの距離/その土地における地表から大深度までの距離(注4)× 5/10
(注) 1 認可事業と一体的に施行される事業により設置される施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権(A)の設定される土地について令第79条第1項に規定する借地権(B)を設定している者(以下この項において「借地権者」という。)にあっては、当該借地権(B)の価額による。
2 「大深度」とは、令第79条第1項第3号に規定する大深度をいい、具体的には、その土地の地表から大深度地下法第2条第1項各号《定義》に掲げる深さ(次の1及び2に掲げる深さ)のうちいずれか深い方の深さをいう。以下この項において同じ。
  1. 1 地表から40メートルの深さ
  2. 2 支持地盤(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法施行令(平成12年政令第500号)第2条第1項《通常の建築物の基礎ぐいを支持することができる地盤等》に規定する支持地盤をいう。)のうち最も浅い部分の深さから10メートルの深さ
3 借地権(A)の設定される範囲より深い地下で、当該大深度よりも浅い地下において既に地下について上下の範囲を定めた他の借地権(C)が設定されている場合は、当該他の借地権(C)の範囲のうち最も浅い部分の深さとする。
4 借地権者も、借地権(B)に係る土地における地表から大深度までの距離による。

(大深度事業認可前の借地権の設定)

33-15の4 資産の譲渡とみなされる行為とされる令第79条第1項第3号の規定は、認可事業と一体的に施行される事業に限り適用されるものであるから、その認可事業について大深度地下法第16条の使用の認可を受ける前に、施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権を設定した場合には、同号の規定の適用はないことに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(物納の撤回に係る資産を譲渡した場合)

33-16 相続税法第46条第1項《物納の撤回》の規定により物納の撤回の承認を受けた資産を他に譲渡した場合における各種所得の金額の計算については、当該承認を受けた者が同法第43条第2項の規定により相続税の納付があったものとされた日前から引き続き所有していたものとする。この場合、当該資産の取得費の計算については、次によるものとする。(昭46直審(所)20、昭48直資4-6、直所2-22、平18課資3-6、課個2-11、課審6-5改正)

  1. (1) 物納の撤回の承認を受けた者が同法第46条第9項《国が支出した有益費の納付》の規定により有益費の額に相当する金銭を納付した場合には、当該有益費の額に相当する額は、物納の撤回の承認を受けた日において支出した法第38条第1項《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》に規定する設備費及び改良費の額とする。
  2. (2) 当該資産につき法第38条第2項の規定により取得費を計算する場合には、相続税法第43条第2項の規定により相続税の納付があったものとされた日の翌日から当該物納の撤回の承認があった日までの期間は、法第38条第2項第2号に掲げる期間に該当する。