(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)

13−1 受益者等課税信託(法第13条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下13−6までにおいて同じ。)における受益者(同条第2項の規定により、同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下13―6までにおいて同じ。)は、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、例えば、一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまる場合であっても、残余の権利を有する者が存しない又は特定されていないときには、当該受益者がその信託の信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされることに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加)

(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)

13−2 受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該信託の受益者のその年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入することに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加)

(信託財産に帰せられる収益及び費用の額の計算)

13−3 受益者等課税信託の受益者の当該受益者等課税信託に係る各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する額は、当該信託の信託財産から生ずる利益又は損失をいうのではなく、当該信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該受益者のこれらの金額として計算したところによることに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加)

(権利の内容に応ずることの例示)

13−4 令第52条第4項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》の規定の適用に当たって、受益者等課税信託の信託財産に属する資産が、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものである場合において、その各部分の全部又は一部が2以上の受益者の有する権利の目的となっているときは、当該目的となっている部分については、当該各受益者が、各自の有する権利の割合に応じて有しているものとして同項の規定を適用することに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加)

(信託による資産の移転等)

13−5 委託者と受益者がそれぞれ一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託においては、次に掲げる移転は受益者である委託者にとって資産の譲渡又は資産の取得には該当しないことに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加)

(1) 信託行為に基づき信託した資産の当該委託者から当該信託の受託者への移転

(2) 信託の終了に伴う残余財産の給付としての当該資産の当該受託者から当該受益者への移転

(注) これらの移転があった場合における当該資産(当該信託の期間中に信託財産に属することとなった資産を除く。)の取得の日は、当該委託者が当該資産を取得した日となる。

(信託の受益者としての権利の譲渡等)

13−6 受益者等課税信託の受益者がその有する権利の譲渡又は取得が行われた場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債が譲渡又は取得されたこととなることに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加)

(受益者等課税信託に係る受益者の範囲)

13−7 法第13条第1項に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1号《残余財産の帰属》に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加)

(1) 同項第2号に規定する帰属権利者(以下13−8において「帰属権利者」という。)(その信託の終了前の期間に限る。)

(2) 委託者の死亡の時に受益権を取得する同法第90条第1項第1号《委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例》に掲げる受益者となるべき者として指定された者(委託者の死亡前の期間に限る。)

(3) 委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者(委託者の死亡前の期間に限る。)

(受益者とみなされる委託者)

13−8 法第13条第2項の規定により受益者とみなされる者には、同項に規定する信託の変更をする権限を現に有している委託者が次に掲げる場合であるものが含まれることに留意する。(平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26追加、平23課個2−33、課法9−9、課審4−46改正)

(1) 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合

(2) 信託法第182条第2項に掲げる信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下この項において「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者の全てがその権利を放棄した場合