(その他の法律等により消費税が免除されるものの範囲)

15−2−1 法第45条第1項第1号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に規定する「その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの」には、例えば、次の規定が適用される課税資産の譲渡等が該当する。(平27課消1-17により改正)

(1) 租特法第85条《外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税》

(2) 租特法第86条《外国公館等に対する課税資産の譲渡等に係る免税》

(3) 租特法第86条の2《海軍販売所等に対する物品の譲渡に係る免税》

(4) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条の規定に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条《消費税法の特例》

(5) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第6条《内国消費税の免税》

(6) 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第3条《所得税法等の特例》

(課税標準額に対する消費税額の計算)

15−2−1の2 その課税期間に係る法第45条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる「税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額」は、原則として、同項第1号に掲げる課税標準額につき、税率の異なるごとに標準税率又は軽減税率を乗じて算出した金額を合計する方法(以下15−2−1の2において「総額割戻し方式」という。)により算出した金額となるのであるが、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(同条第5項ただし書の規定に係るものを除く。)につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを法第57条の4第6項《適格請求書発行事業者の義務》の規定により保存している場合(同項の規定により同項に規定する電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該適格請求書又は当該適格簡易請求書に記載した同条第1項第5号又は第2項第5号に掲げる消費税額等及び当該電磁的記録に記録した消費税額等の合計額に100分の78を乗じる方法(以下15−2−1の2において「適格請求書等積上げ方式」という。)により算出した金額とすることができることに留意する。
 また、取引先ごと又は事業ごとにそれぞれ別の方式によるなど、総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用することとしても差し支えない。

(注)1 法第57条の4第2項第5号に掲げる事項につき、適用税率のみを記載した適格簡易請求書には、消費税額等の記載がないため、適格請求書等積上げ方式によることはできない。

2 その課税期間に係る法第45条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、適格請求書等積上げ方式による場合(総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用する場合を含む。)には、法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第46条第3項《課税仕入れに係る支払対価の合計額から割り戻す方法による消費税額の計算》に規定する計算の方法によることはできない。

(決済上受領すべき金額の意義)

15−2−2 (平16課消1−8により削除)

(区分して領収するの意義)

15−2−3 (平16課消1−8により削除)

(課税仕入れに係る消費税額の計算)

15−2−4 (平16課消1−8により削除)

(納付すべき税額がない場合の確定申告の要否)

15−2−5 法第45条第1項《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に 規定する「第4号に掲げる消費税額がない課税期間」には、同項第4号《課税仕入れ等に係る消費税額の控除》に掲げる消費税額が100円未満となることにより、通則法第119条第1項《国税の確定金額の端数計算等》の規定によりその全額が切り捨てられることとなる課税期間が含まれるが、このような課税期間であっても課税資産の譲渡等又は特定課税仕入れがあるときは、確定申告書を提出しなければならないのであるから留意する。(平27課消1-17により改正)

(残余財産の確定)

15−2−6 法第45条第4項《清算中の法人の確定申告》に規定する「残余財産が確定した場合」とは、一切の資産、負債の額が具体的に確定したことをいうが、解散した法人の資産、負債の一切を当該法人の首脳者等が引き継いで事業を承継し、実質的に事業の譲渡をしたと認められるような場合には、その引継ぎがあったときに残余財産が確定したものとして取り扱う。(平18課消1−16により改正)

(個別対応方式と一括比例配分方式の適用関係)

15−2−7 法第43条第1項《仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等》の規定により中間申告を行う事業者が当該中間申告において仕入控除税額の計算を個別対応方式又は一括比例配分方式によった場合の法第30条第5項《一括比例配分方式から個別対応方式への変更の期間制限》の規定の適用関係は、次のとおりとなる。

(1) 当該課税期間の前課税期間に個別対応方式を適用していた場合又は当該課税期間の前課税期間まで2年以上継続して一括比例配分方式を適用し、当該課税期間から個別対応方式を適用する場合において、当該課税期間に係る中間申告で一括比例配分方式を適用したときでも、当該課税期間分に係る確定申告については、個別対応方式を適用して差し支えない。

(2) 当該課税期間について法第30条第5項の規定の適用がある場合にも、当該課税期間に係る中間申告において個別対応方式を適用して差し支えない。ただし、当該課税期間に係る確定申告については、一括比例配分方式を適用しなければならないのであるから留意する。

(注) 事業者が既に提出している確定申告書において、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれかの計算方式により仕入控除税額を計算した場合には、当該申告について通則法第19条第3項《修正申告》に規定する修正申告書を提出するときにおいても、当該確定申告書で選択した計算方式により仕入控除税額を計算することとなるのであるから留意する。 

(消費税申告期限延長届出書を提出できる場合)

15−2−8 法第45条の2第1項《法人の確定申告書の提出期限の特例》の規定による消費税申告書(同項に規定する消費税申告書をいう。以下15―2―8において同じ。)の提出期限の延長を受けることができる法人は、消費税申告書の提出期限を延長する旨を記載した届出書(以下15―2―8及び15―2―9において「延長届出書」という。)を提出した法人で、法法第75条の2第1項《確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定の適用を受けた法人であって、法第60条第8項《国、地方公共団体等の申告期限の特例等》の規定の適用により消費税申告書の提出期限が延長される法人以外の法人に限られるのであるが、法法第75条の2第1項(通算法人にあっては、同条第11項第1号の規定により読み替えて適用する同条第1項)の提出期限の延長の処分を受けていない場合(同条第8項の規定(通算法人にあっては、同条第11項第1号の規定により読み替えて適用する同条第8項の規定)により読み替えて準用する法法第75条第5項《確定申告書の提出期限の延長》の規定によりみなされていない場合を含む。)であっても、当該延長届出書は提出できることに留意する。

(合併又は分割があった場合の消費税申告期限延長届出書の効力)

15−2−9 合併又は分割があった場合の延長届出書の効力は、次のようになるのであるから留意する。

(1) 被合併法人が提出した延長届出書の効力は、吸収合併又は新設合併により当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が法第45条の2第1項《法人の確定申告書の提出期限の特例》の規定の適用を受けようとするときは、新たに延長届出書を提出しなければならない。

(2) 分割法人が提出した延長届出書の効力は、分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が同条第1項の規定の適用を受けようとするときは、新たに延長届出書を提出しなければならない。

(注) 法第12条第7項第2号又は第3号《分割等の意義》に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。