第14章 課税標準額に対する消費税額の調整

第1節 売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除 

(海上運送事業者が支払う船舶の早出料)

14−1−1 海上運送事業を営む事業者が船舶による運送に関連して支払う早出料は、売上げに係る対価の返還等に該当する。

(事業者が支払う販売奨励金等)

14−1−2 事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する。

(協同組合等が支払う事業分量配当金)

14−1−3 法法第60条の2第1項第1号《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》に掲げる協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分の金額は、当該協同組合等の売上げに係る対価の返還等に該当することに留意する。(平18課消1−16により改正)  

(売上割引)

14−1−4 課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日よりも前に支払いを受けたこと等を基因として支払う売上割引は、売上げに係る対価の返還等に該当する。

(課税売上げと非課税売上げを一括して対象とする売上割戻し)

14−1−5 事業者が、一の取引先に対して課税資産の譲渡等(軽減対象課税資産の譲渡等を除く。)、軽減対象課税資産の譲渡等及びこれら以外の資産の譲渡等のうち2以上の区分の資産の譲渡等を同時に行った場合において、当該2以上の区分の資産の譲渡等の対価の額につき、一括して売上げに係る割戻しを行ったときは、それぞれの資産の譲渡等に係る部分の割戻金額を合理的に区分したところにより法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定を適用することとなるのであるから留意する。

(免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等について対価の返還等をした場合)

14−1−6 免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等について、課税事業者となった課税期間において売上げに係る対価の返還等を行った場合には、当該対価の返還等については法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定の適用はないことに留意する。
 なお、この場合の法第9条第2項第1号《小規模事業者に係る納税義務の免除》、令第48条第1項第2号《課税売上割合の計算方法》又は第53条第3項第2号《課税売上割合が著しく変動した場合等》の規定の適用に当たっては、これらの各号に規定する消費税額に78分の100を乗じて算出した金額はないことに留意する。(平9課消2−5、平25課消1-34、令元課消2-18により改正)

(免税事業者等となった後の売上げに係る対価の返還等)

14−1−7 課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、売上げに係る対価の返還等を行った場合には、その返還等の金額に係る消費税額について、法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定は適用されないのであるから留意する。  

(売上げに係る対価の返還等の処理)

14−1−8 事業者が、その課税期間において売上げに係る対価の返還等(免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係るものを除く。以下14−1−8において同じ。)を行った場合において、当該課税期間に国内において行った課税資産の譲渡等の税率の異なるごとの金額から当該売上げに係る対価の返還等につき税率の異なるごとに合理的に区分した金額をそれぞれ控除する経理処理を継続して行っているときは、これを認める。

(注) この場合、当該売上げに係る対価の返還等の金額については、別途法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定の適用はないのであるが、同条第2項に規定する帳簿を保存する必要があることに留意する。

(特定資産の譲渡等に係る対価の返還等)

14−1−8の2 特定資産の譲渡等は法第38条《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》における「課税資産の譲渡等」に含まれないことから、特定資産の譲渡等に係る対価の返還等を行ったとしても、同条の規定の適用はないことに留意する。(平27課消1-17により追加)