第5章 課税範囲

(事業としての意義)

5−1−1 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう。(平23課消1-35により改正)

(注)

1 個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は、「事業として」には該当しない。

2 法人が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、その全てが、「事業として」に該当する。

(対価を得て行われるの意義)

5−1−2 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」とは、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供に対して反対給付を受けることをいうから、無償による資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、資産の譲渡等に該当しないことに留意する。(平27課消1-17により改正)

(注) 個人事業者が棚卸資産若しくは棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、若しくは使用した場合における当該消費若しくは使用又は法人が資産をその役員に対して贈与した場合における当該贈与は、法第4条第5項《資産のみなし譲渡》の規定により、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされることに留意する。

(資産の意義)

5−1−3 法第2条第1項第8号及び第12号《資産の譲渡等の意義等》に規定する「資産」とは、取引の対象となる一切の資産をいうから、棚卸資産又は固定資産のような有形資産のほか、権利その他の無形資産が含まれることに留意する。(平27課消1-17により改正)

(代物弁済の意義)

5−1−4 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「代物弁済による資産の譲渡」とは、債務者が債権者の承諾を得て、約定されていた弁済の手段に代えて他の給付をもって弁済する場合の資産の譲渡をいうのであるから、例えば、いわゆる現物給与とされる現物による給付であっても、その現物の給付が給与の支払に代えて行われるものではなく、単に現物を給付することとする場合のその現物の給付は、代物弁済に該当しないことに留意する。

(負担付き贈与の意義)

5−1−5 令第2条第1項第1号《負担付き贈与による資産の譲渡》に規定する「負担付き贈与」とは、その贈与に係る受贈者に一定の給付をする義務を負担させる資産の贈与をいうのであるから留意する。
 なお、事業者が他の事業者に対して行った広告宣伝用の資産の贈与は、同号に規定する負担付き贈与には該当しない。

(注) 事業者が資産を贈与(法人のその役員に対する贈与を除く。)した場合において、当該資産の贈与が負担付き贈与に該当しない限り、当該資産の贈与は、資産の譲渡等に該当しない。

(金銭以外の資産の出資の範囲)

5−1−6 令第2条第1項第2号《金銭以外の資産の出資》に規定する「金銭以外の資産の出資」には、法第12条第7項第3号《分割等の意義》に該当する金銭出資により設立した法人に同号の契約に基づく金銭以外の資産を譲渡する形態により行われるものは含まれないのであるから留意する。
 したがって、この場合における当該金銭以外の資産の譲渡に係る対価の額は、当該譲渡について現実に対価として収受し、又は収受すべき金額となる。(平13課消1-5により改正)

(付随行為)

5−1−7 令第2条第3項《付随行為》に規定する「その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」には、例えば、事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる次に掲げるようなものが該当することに留意する。

(1) 職業運動家、作家、映画・演劇等の出演者等で事業者に該当するものが対価を得て行う他の事業者の広告宣伝のための役務の提供

(2) 職業運動家、作家等で事業者に該当するものが対価を得て行う催物への参加又はラジオ放送若しくはテレビ放送等に係る出演その他これらに類するもののための役務の提供

(3) 事業の用に供している建物、機械等の売却

(4) 利子を対価とする事業資金の預入れ

(5) 事業の遂行のための取引先又は使用人に対する利子を対価とする金銭等の貸付け

(6) 新聞販売店における折込広告

(7) 浴場業、飲食業等における広告の掲示

(事業に関して行う家事用資産の譲渡)

5−1−8 個人事業者が行う資産の譲渡のうち、例えば、次に掲げるものは、事業のために行うものであっても、令第2条第3項《付随行為》に規定する「その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡」には含まれないのであるから留意する。 

(1) 事業用資金の取得のために行う家事用資産の譲渡

(2) 事業用資産の仕入代金に係る債務又は事業用に借り入れた資金の代物弁済として行われる家事用資産の譲渡

(リース取引の実質判定)

5−1−9 事業者が行うリース取引が、当該リース取引の目的となる資産の譲渡若しくは貸付け又は金銭の貸付けのいずれに該当するかは、所得税又は法人税の課税所得の計算における取扱いの例により判定するものとし、この場合には、次のことに留意する。(平20課消1-8により改正)

(1) 所法第67条の2第1項《売買とされるリ−ス取引》又は法法第64条の2第1項《売買とされるリ−ス取引》の規定により売買があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産の引渡しの時に資産の譲渡があったこととなる。

(注) この場合の資産の譲渡の対価の額は、当該リース取引に係る契約において定められたリース資産の賃貸借期間(以下9−3−6の3及び9−3−6の4において「リ−ス期間」という。)中に収受すべきリース料の額の合計額となる。

(2) 所法第67条の2第2項《金銭の貸借とされるリ−ス取引》又は法法第64条の2第2項《金銭の貸借とされるリ−ス取引》の規定により金銭の貸借があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産に係る譲渡代金の支払の時に金銭の貸付けがあったこととなる。

(親族間の取引)

5−1−10 個人事業者が生計を一にする親族との間で行った資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であっても、それが事業として対価を得て行われるものであるときは、これらの行為は、資産の譲渡等に該当することに留意する。

(非居住者が行う取引)

5−1−11 非居住者(外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号《定義》に規定する非居住者をいう。以下同じ。)が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であっても、それが事業として対価を得て行われるものであるときは、これらの行為は、資産の譲渡等に該当することに留意する。(平10課消2-9により改正)