第1章 総則

(国税に関する法律に基づく処分)

75−1 法第75条第1項の「国税に関する法律に基づく処分」については、次のことに留意する。

(1) 処分は、行政庁の公権力の行使に当たる行為であることを要するから、例えば、国税の賦課徴収に関する事務を行う行政庁(以下「税務官庁」という。)における不用物品の売払行為はこれに該当しないこと。

(2) 処分は、行政庁の公権力の行使に当たる行為が外部に対してされることを要するから、例えば、国税庁長官の国税局長及び税務署長に対する訓令、通達又は指示はこれに該当しないこと。

(3) 処分は、行政庁の公権力の行使によって直接国民の権利義務に影響を及ぼす法律上の効果を生ずるものであることを要するから、例えば、公売予告通知及び徴収法第55条《質権者等に対する差押えの通知》の規定による質権者等に対する通知並びに法第74条の2第1項《当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権》に規定する「当該物件…の提示若しくは提出を求めること」はこれに該当しないこと。

(4) 処分には、事実上の行為は含まれないのであるから、例えば、法第74条の7《提出物件の留置き》に規定する「当該調査において提出された物件を留め置くこと」はこの処分には該当しないこと。

(5) 法第74条の7の規定に基づき同条に規定する「当該職員」が留め置いた物件について、当該物件の提出者から返還の求めがあった場合で、当該職員がこれを拒否したときの当該拒否は処分に該当すること。

(注) 1 国税には、国が課する税のうち関税、とん税及び特別とん税は含まれない(法第2条第1号)。

2 国税に関する法律に基づく処分に関しては、法第76条第1項《適用除外》及び法80条《行政不服審査法との関係》を参照する。

(処分に不服がある者)

75−2 法第75条第1項の「処分……に不服がある者」は、処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者であることを要し、処分の直接の相手方のみならず、例えば、差押えに係る財産について抵当権を有する者のように第三者もこれに当たる場合があることに留意する。

(審査請求書等の提出先の特例)

75−3 国税不服審判所長(以下「審判所長」という。)に対して審査請求する場合の審査請求書等の提出先については、規則第12条 《審査請求に係る書類の提出先》の定めがあることに留意する。

(他の行政機関の長等がした処分)

75−4 法第75条第1項第3号に掲げる「処分」には、例えば、登録免許税法第26条第1項《課税標準及び税額の認定》の規定による登記機関の課税標準及び税額の認定又は自動車重量税法第12条第1項《税額の認定》の規定による国土交通大臣等の税額の認定がこれに当たることに留意する。

(国税庁又は国税局の職員の調査に基づく処分)

75−5 法第75条第2項の「処分」には、例えば、法第28条第2項後段《更正通知書の附記事項》、同条第3項後段《決定通知書の附記事項》又は法第32条第5項《賦課決定通知書の附記事項等》の規定に基づく付記のある更正通知書、決定通知書又は賦課決定通知書によって通知された処分がこれに当たることに留意する。

(再調査の請求をした日)

75−6 法第75条第4項第1号の「再調査の請求をした日」とは、再調査の請求書が郵便又は信書便(民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項《定義》に規定する一般信書便事業者又は同条第9項に規定する特定信書便事業者(以下「一般信書便事業者等」という。)による同条第2項に規定する信書便をいう。以下同じ。)により提出された場合には、その郵便物又は信書便物(同条第3項に規定する信書便物をいう。以下同じ。)の通信日付印により表示された日(その表示がないとき又はその表示が明瞭でないときは、その郵便物又は信書便物について通常要する送付日数を基準とした場合にその日に相当するものと認められる日)をいうことに留意する。

(注) 不動産等についての公売公告(随意契約による売却通知を含む。)から売却決定までの処分及び換価代金等の配当に対する再調査の請求が郵便又は信書便により提出された場合には、再調査の請求書が再調査の請求先に到達した日が「再調査の請求をした日」となることに留意する(徴収法第171条第3項)。

(不備を補正した日)

75−7 法第75条第4項第1号括弧書の「不備を補正した日」とは、法第81条第3項《再調査の請求書の記載事項等》の規定による補正要求に対する補正が書面を提出することによりなされた場合には、当該書面が再調査の請求先に到達した日をいうことに留意する。

(期間の計算)

75−8 法第75条第4項第1号の「3月」の計算については、法第10条第1項《期間の計算》の規定によることに留意する。

(この節の規定による処分)

76−1 法第76条第1項第1号に掲げる「この節……の規定による処分」には、例えば、次の処分がこれに当たることに留意する。

(1) 補正要求(法第81条第3項、第91条第1項)

(2) 再調査の請求についての決定(法第83条)

(3) 補佐人帯同の不許可(法第84条第3項、第95条の2第3項)

(4) 再調査の請求事件の移送の申立てについて認容しない決定(法第86条第1項)

(5) 審査請求についての裁決(法第92条、第98条第1項から第3項まで)

(6) 閲覧請求又は写し等の交付請求の不許可(法第97条の3第1項)

(7) 不服申立ての対象となった処分に係る国税の徴収の猶予又は滞納処分の続行停止の申立てについて認容しない決定(法第105条第2項及び第4項)

(8) 担保の提供に伴い不服申立ての対象となった処分に係る国税につき差押えをしないこと又は差押えを解除することを求めた場合における認容しない決定(法第105条第3項及び第5項)

(9) 不服申立ての対象となった処分に係る国税の徴収の猶予又は滞納処分の続行停止の取消し(法第105条第7項)

(10) 不服申立人の地位の承継の不許可(法第106条第4項)

(11) 総代の互選命令(法第108条第2項)

(12) 不服申立てへの参加の不許可(法第109条第1項)

(審査法の規定による処分)

76−2 法第76条第1項第1号に掲げる「行政不服審査法の規定による処分」には、例えば、事実上の行為についての審査請求に対する裁決(審査法第47条)又は不作為についての審査請求に対する裁決(審査法第49条)がこれに当たることに留意する。

(その他不服申立てについてした処分)

76−3 法第76条第1項第1号に掲げる「その他前条の規定による不服申立て……についてした処分」には、例えば、災害等による不服申立期限の延長申請に対する期日の指定(法第11条)又は被相続人の不服申立てに関する書類を受領することについての代表者の指定(法第13条第2項)がこれに当たることに留意する。