1 鋼製又はアルミニウム製の缶の材質に関する表示の取扱い

 資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号。以下「リサイクル法」という。)第24条第1項の規定に基づき制定された「鋼製又はアルミニウム製の缶であって、飲料が充てんされたものの表示の標準となるべき事項を定める省令」(平成3年大蔵省、農林水産省、通商産業省令第1号。以下この第2章において「省令」という。)別表に定める缶の材質に関する表示の取扱いは、次による。

(1) 「缶に飲料を充てんする事業者」の意義等

イ 省令第2条に規定する「缶に飲料を充てんする事業者」とは、当該飲料の所有権を有する等当該飲料を実質的に支配する事業者をいい、例えば、酒類製造者が他の事業者に対し、自己の製造した酒類の充填を委託する場合には、当該委託者が「缶に飲料を充てんする事業者」となるのであるから留意する。

ロ 国内において缶に酒類を充填する場合における省令の別表に定める缶の材質に関する表示の様式(以下この第2章において「識別マーク」という。)の表示義務者は、具体的には次のとおりとなる。

(イ) 酒類を缶に充填する事業者(以下この第2章において「ボトラー」という。)が、缶を製造する事業者(以下この第2章において「缶メーカー」という。)からホワイト缶(缶体に商標や図柄が全く印刷されていない缶又はこれらを表示したラベルが貼付されていない缶等をいう。)を購入して酒類を充填することとしている場合は、ボトラー。

(注) 識別マークの表示が行われていない缶詰め酒類又は基準を充足していない識別マークの表示が行われた缶詰め酒類が市場に流通したときは、リサイクル法第25条の規定により、財務大臣が当該ボトラーに対し、「表示事項を表示し、又は遵守事項を遵守すべき旨の勧告」等必要な措置を講ずることになる。

(ロ) (イ)以外の場合には、ボトラー及び缶メーカー。

(注)

1 例えば、ボトラーが缶の胴に印刷するデザインを作成し、これを缶メーカーに提供し又は缶メーカーに対し識別マークを印刷するよう指示し、これらの印刷後の缶(以下この第2章において「印刷缶」という。)を購入することとしている場合は、ボトラー及び缶メーカーが表示義務者となる。

2 識別マークの表示が行われていない缶詰め酒類又は基準を充足していない識別マークの表示が行われた缶詰め酒類が市場に流通したときは、リサイクル法第25条の規定により、財務大臣が当該ボトラーに対し、また、経済産業大臣が当該缶メーカーに対し、それぞれ、「表示事項を表示し、又は遵守事項を遵守すべき旨の勧告」等必要な措置を講ずることになる。

(2) 「酒類を自ら輸入して販売する事業者」の範囲等

イ 省令第2条に規定する「酒類を自ら輸入して販売する事業者」には、自己の経営する酒場、料理店等において酒類を客の飲用に供するために酒類を輸入する料飲業者等も含まれることに留意する。

ロ 国外において缶に充填された酒類を輸入する場合における識別マークの表示義務者は、酒類を保税地域から引き取る事業者が表示義務者となる。

(3) 「表示の特例」を設けた理由

 省令附則2《表示の特例》を設けた理由は、例えば、輸入品については、日本向けとしてのオリジナル商品でない場合には、生産国において識別マークを缶の胴へ印刷することは経済的に困難と認められること、また、当該酒類を輸入した後において、仮に、缶の胴に表示することとした場合には、缶を一旦箱(カートン)から取り出した上で、識別マークを貼付しなければならないという事情に鑑み措置されたものである。

(4) 「製造又は販売の数量が少ないため、缶の胴に表示をすることが困難な場合」の取扱い

イ 省令附則2に規定する「製造又は販売の数量が少ないため、缶の胴に表示をすることが困難な場合」については、(1)国内において酒類を充填する場合にあっては、商品の品質、容器の材質、容量又はデザインのうち、いずれかが異なること、(2)国外において酒類を充填する場合にあっては、これらに加えて、海外における輸出業者ごとにみた商品の製造数量又は輸入数量が、前年1年間の実績で概ね300万缶未満の場合に限り適用することに取り扱う。

ロ イの数量が300万缶未満の場合であっても、(1)国内において酒類を充填する場合にあっては、印刷缶であるとき、また、(2)国外において酒類を充填する場合にあっては、当該商品に日本向けとしてのオリジナルのデザインが缶の胴に印刷されるとき又は我が国の法律により義務付けられている表示事項が缶の胴に印刷されるときは、それぞれ、「缶の胴に表示することが困難な場合」には該当しないことに留意する。

(5) 対象となる酒類

 輸出用酒類については、識別マークを表示する必要はないのであるから留意する。

1 法第18条の自主回収の認定の取扱い

 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律 112 号。以下「容器包装リサイクル法」という。)第 18 条《自主回収の認定》に定める酒類に係る特定容器又は特定包装(以下この第3章において「特定容器等」という。)の自主回収の認定の取扱いは次による。

(1) 「おおむね90%」の意義
 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行規則第20条(平成7年大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省令第1号)に規定する「おおむね90%」とは、現状の回収率が80%以上であり、その回収の方法から判断して、おおむね90%の回収率を達成するために適切なものであると認められる場合を含むものとする。

(2) 認定の方法
 自主回収の認定は、特定容器等の種類ごと(色、素材、重量、容量、用途又は形状(以下この第3章において「色等」という。)が異なる特定容器等ごと)に行うこととし、色等が異なる複数の種類の特定容器等が同一の方法で回収、再利用等されており、色等別の回収率がおおむね等しくなるものと推定できる場合には、それらをあわせて認定をすることができるものとする。

(3) 主務大臣への申出の方法
 主務大臣への申出に当たっては、自主回収の認定を受けようとする特定容器等ごとに、次の(4)に示す方法により算定した原則として過去3事業年度分(事業年度が1年でない場合は、直近終了事業年度終了の日前3年間。また、自主回収認定を受けようとする特定容器等が、既に自主回収認定を受けている特定容器等の色等の一部を変更したものであって、利用開始後3事業年度分に満たない場合であっても、変更前の特定容器等と同様の回収ルートかつ回収方法を利用するなどおおむね90パーセントの回収率を維持・達成するために適切なものであると認められる場合には、当該3事業年度に満たない利用期間等必要と認められる期間分)に関する利用量(又は販売量)、回収量及び回収率並びに回収方法を記載した申請書及び次に掲げる書類又は図面を添付をし、財務大臣に3部(財務大臣、環境大臣、経済産業大臣宛それぞれ1部)提出するものとする。

(注) 自主回収の認定の申出は毎年度行う必要はないのであるから留意する。

イ 回収経路の概略がわかる書類(回収のフロー図)

ロ 認定を受けようとする特定容器等の形状、プリント図、大きさ等を明示する図面

ハ 他の特定容器等と区別が困難な場合には、認定を受けようとする特定容器等を判別し回収する根拠を記載した書類

ニ 認定を受けようとする特定容器等の回収の方法に応じ、次に掲げる書類

(イ) 自ら回収する場合には、直近終了の事業年度における回収店舗・場所の名称・所在地及び回収量の一覧表

(ロ) 当該特定容器等を用いた商品の卸売、小売等を行う事業者に委託して回収する場合には、直近終了の事業年度における特定容器等を回収する卸業者等の名称、所在地及びその回収量の一覧表

(ハ) 回収業者に委託して回収する場合には、直近終了の事業年度における回収を委託した回収業者の名称、所在地及びその回収量の一覧表

ホ 直近終了の事業年度における利用量(又は販売量)及び回収量を算定した根拠を記載した書類

(注) 認定に当たって必要がある場合には、利用量(又は販売量)又は回収量等について、上記書類の他、更に詳細な書類の提出を求めることとする。

へ 直近終了の事業年度における回収した特定容器等の利用、処理等の状況を記載した書類

ト 「おおむね90%」の回収率を維持・達成するための方法を記載した書類

(注) 既に自主回収認定を受けている特定容器等の色等の一部を変更した特定容器等であって、利用開始後3事業年度分に満たない場合は、変更前の特定容器等と同様の回収ルートかつ回収方法を利用するなど、おおむね90パーセントの回収率を維持・達成するために適切なものであると認められるための方法を記載した書類

(4) 利用量(又は販売量)、回収量及び回収率の算定方法
認定を受けようとする特定容器等の利用量(又は販売量)、回収量及び回収率は、以下の方法により算定する。

イ 利用量(又は販売量)

(イ) 特定容器利用事業者又は特定包装利用事業者については、当該特定容器等1個(又は枚)当たりの重量に、当該特定容器等を用いた商品の各事業年度の販売数を乗じて得た量(単位kg)を利用量とする。
  なお、特定容器等1個(又は枚)当たりの重量が1グラムに満たないような場合は、この量に代えて、商品1ロット(1ダース等、出荷時の箱詰め等の単位)当たりの特定容器等の重量を用いることができる。

(ロ) 特定容器製造等事業者については、当該特定容器1個当たりの重量に、当該特定容器等の各事業年度の販売数を乗じて得た量(単位kg)を販売量とする。
  なお、特定容器1個当たりの重量が1グラムに満たないような場合は、この量に代えて、商品1ロット(1ダース等、出荷時の箱詰め等の単位)当たりの特定容器の重量を用いることができる。

ロ 回収量

 各事業年度に回収した、自己が利用した当該特定容器等と同一の色等の特定容器等の総重量(単位kg)を回収量とする。
  なお、当該特定容器等をカレット、フレーク、ペレット等(以下この第3章において「カレット等」という。)として回収した場合には、それが当該特定容器等と同一の色等の特定容器等に係るカレット等であると確認できるもの(市町村が収集を行った特定容器等が再商品化されてカレット等となったものを除く。)に限り、回収量に含めることができる。

ハ 回収率

 ロの回収量をイの利用量(又は販売量)で除して得た値(百分率。ただし、小数点以下第2位を四捨五入。)とする。

(5) 申出の期限

 自主回収の認定を受けようとする事業者は、認定を受けて当該特定容器等に係る再商品化義務の免除を受けようとする年度の前年度の6月末日までに(3)の「自主回収認定申請書」を提出するものとする。

(6) 自主回収の状況の報告

 自主回収の認定を受けた事業者は、容器包装リサイクル法第18条《自主回収の認定》第3項及び施行規則第20条の2《自主回収の認定に係る報告》の規定に基づき、毎事業年度終了後3月以内に、認定を受けた特定容器等ごとに利用量(又は販売量)、回収量及び回収率の実績をとりまとめた報告書を財務大臣に3部(財務大臣、環境大臣、経済産業大臣宛それぞれ1部)提出するものとする。

(注)

1 必要がある場合には、利用量(又は販売量)又は回収量等について、必要に応じ更に詳細な書類の提出を求めることとする。

2 自主回収状況報告書の提出がない場合又は認定を受けた回収の方法が「おおむね90%」の回収率を達成するために不適切なものとなったと認める場合には、容器包装リサイクル法第18条第4項の規定に基づき認定を取り消すことがあるので留意する。
 なお、容器包装リサイクル法第18条第5項の規定に基づき、主務大臣は、認定の取消しをしたときは当該認定の取消しを受けた者の名称及び住所並びにその回収する特定容器等の種類を公示することとされている。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第86条の8 国税審議会への諮問