酒類の地理的表示に関する表示基準(平成27年10月国税庁告示第19号)の取扱いは、別に定めるところによる。

二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準(以下この6において「表示基準」という。)の取扱いは、次による。

(1) 表示基準の意義

 アルコール飲料としての酒類の特性に鑑み、酒類の容器又は包装等に「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨を表示させるとともに、酒類小売販売場における酒類の陳列場所に「酒類の売場である」旨等を表示させること等によって、20歳未満の者が酒類を誤って購入することを防止するとともに、酒類販売業者及び消費者に対して20歳未満の者の飲酒防止に関する啓発を図り、もって20歳未満の者の飲酒の防止等に資するものである。

(2) 酒類の容器等に対する「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示の取扱い

 表示基準1に規定する「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示とは、例えば、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています」又は「飲酒は20歳になってから」等の20歳未満の者の飲酒防止に資する文言を表示することをいい、「これはお酒です」又は「お酒はゆっくり適量を」といった酒類である旨又は適正な飲酒を喚起する旨の文言は含まれないのであるから留意する。

(3) 「専ら酒場、料理店等に対する引渡しに用いられるもの」の意義

表示基準3の(1)に規定する「専ら酒場、料理店等に対する引渡しに用いられるもの」とは、酒類の容器等の形状、取引形態等からみて、一般消費者に対して通常そのままの状態で引き渡されることが予定されない酒類の容器等であって、次に掲げるものをいう。

イ 専ら事業者間の取引に用いられ、通常、移し替え等されて一般消費者に提供される酒類が収容されたキュービテナー、タンク等の酒類の容器等

(注) ホテル、料飲店等における専用商品、いわゆるプライベートブランドと称されるものであって、例えばボトルワインのように当該容器等のまま一般消費者に提供されるものは、表示が必要であるから留意する。

ロ 菓子等の製造原料として使用する事業者に引き渡されることが明らかな酒類の容器等

(4) 「調味料として用いられること又は薬用であることが明らかであるもの」の意義

表示基準3の(3)に規定する「調味料として用いられること又は薬用であることが明らかであるもの」とは、次に掲げるものをいう。

イ みりん又は雑酒(その性状がみりんに類似するものに限る。)等の専ら料理用に限定して消費されている酒類の容器等

(注) 例示した酒類以外の酒類については、「料理用○○」、「クッキング○○○」等と表示されているものであっても、その酒類の性状、容器等の形状及び取引形態等からみて、専ら料理用に限定して消費されていると認められないものは表示が必要であるから留意する。

ロ 組合規則第11条の5《品目の例外表示》に規定する「薬剤甘味果実酒」、「薬用甘味果実酒」、「薬味酒」又は「薬用酒」の表示がされている酒類の容器等

(5) 酒類の陳列場所における「酒類の売場である」又は「酒類の陳列場所である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示の取扱い

イ 表示基準4に規定する「酒類の売場である」又は「酒類の陳列場所である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示とは、例えば、以下のような文言を表示することをいい、陳列されている酒類が特定の品目の酒類である場合については、「酒」又は「酒類」の文言に代えて当該品目の名称を用いることとして差し支えない。

(イ) 「酒類の売場である」又は「酒類の陳列場所である」旨の表示

 「酒類売場」、「酒売場」又は「酒コーナー」等の酒類の陳列場所であることを消費者が認識できる文言

(ロ) 「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示

 「20歳以上の者と確認できない場合は酒類を販売しません」、「20歳未満の者ではないと確認できない場合は酒類を販売しません」、「年齢確認実施中20歳未満の者には酒類を販売しません」、「年齢を確認の上、20歳以上の者のみに酒類を販売します」等の年齢確認を実施している旨及び20歳未満の者には酒類を販売しない旨の文言が一体的に表示されているものをいい、細かな表現までを限定するものではないことに留意する。

ロ 「酒類の売場である」又は「酒類の陳列場所である」旨の表示と「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示のいずれか一方しか行っていない場合には、表示基準を満たしていないこととなるのであるから留意する。
なお、次に掲げる酒類の陳列場所については、表示基準4に規定する表示を行わないこととして差し支えない。

(イ) 商品見本用その他の販売を予定していない酒類(以下この(イ)において「商品見本用等酒類」という。)の陳列場所のうち、当該陳列場所に「陳列されている商品が見本である」旨又は「見本」等の文言の表示が明瞭に行われている等、陳列されている商品が商品見本用等酒類であることを購入者が容易に認識できる場合

(ロ) 表示基準3の(3)に掲げる酒類(以下この(ロ)において「みりん等」という。)の陳列場所のうち、他の酒類と別の陳列棚、陳列ケースその他の商品を陳列するための設備(以下この6において「陳列棚等」という。)に陳列され、かつ、当該陳列棚等に陳列されているみりん等の陳列箇所に「陳列されている商品がみりん等である」旨又は「みりん」等の文言の表示が明瞭に行われている場合

(注) 陳列棚等に陳列されている商品の全部がみりん等である場合には、当該陳列棚等に「陳列されている商品がみりん等である」旨又は「みりん」等の文言の表示を行うこととして差し支えない。

(6) 「明確に分離」の意義

 表示基準4に規定する「明確に分離」とは、酒類の陳列場所を壁若しくは間仕切り等で囲うことにより、又は酒類をレジカウンターの内側等に陳列して消費者が酒類に触れられない状態とする等により、酒類と他の商品の陳列場所を物理的に分離し、又は酒類の陳列場所を独立させることをいう。

(7) 「明確に分離」の意義

 表示基準4に規定する「明確に区分」とは、例えば、酒類を他の商品と混在しないように区分して陳列し、酒類の陳列箇所を明らかにする等、陳列されている商品が酒類であること及び酒類の陳列箇所を消費者が容易に認識できるようにされていることをいう。
 なお、陳列棚等に酒類が陳列されているときは、次に掲げる場合に、「明確に区分」されているものとして取り扱う。この場合において、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示に使用されている文字が表示基準5に規定するポイントの活字以上の大きさであるときは、表示基準4に規定する「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示が行われているものとして取り扱う。

イ 陳列棚等に陳列されている商品の全部が酒類である場合には、当該陳列棚等(扉がある場合には当該扉を含む。)の見やすい位置に、「陳列されている商品が酒類である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示する。
 なお、陳列棚等の扉に表示する場合には、当該扉を閉じた状態又は開いた状態のいずれの場合においても表示内容を認識できるように表示する(ロにおいて同じ。)。

(注)1 二以上の陳列棚等を連ねて設置している場合については、当該陳列棚等の全体を一の陳列棚等と取り扱うこととして差し支えない。

2 酒類の陳列棚等の一部に酒類以外の商品が少量陳列されている場合で、かつ、酒類以外の商品の陳列箇所を明らかにしてイの方法により表示されているときは、「明確に区分」されているものとして取り扱う。

ロ 陳列棚等に陳列されている商品の一部が酒類である場合には、当該陳列棚等の見やすい位置及び酒類と他の商品を区分している棚板又は仕切り板等に、「陳列されている商品が酒類である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示する。
 なお、陳列棚等への表示と棚板又は仕切り板等への表示のいずれか一方しか行っていない場合は、明確に区分されていないこととなるのであるから留意する。

(注) 棚板又は仕切り板等とは、酒類を手にとる際に容易に動かない構造のものをいう。

ハ 床に箱又はケース(以下「箱等」という。)に入った商品を積み上げている場合には、当該商品の全部が酒類であるか、一部が酒類であるかに応じ、イ又はロの方法に準じて、「陳列されている商品が酒類である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示する。

(8) 「自動販売機の前面の見やすい所に、夜間でも判読できるよう明瞭に表示する」の取扱い

イ 表示基準6の(1)から(3)に規定する表示事項は、自動販売機の硬貨等投入口周辺等の前面の見やすい所に表示する。

ロ 表示基準6の(1)に規定する「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示は、同(3)に規定する「販売停止時間」と併記して表示する。
 なお、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示とは、例えば、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています」又は「法律で20歳未満の者の飲酒は禁止されています」等の20歳未満の者の飲酒防止に資する文言を表示することをいう。

ハ 表示基準6の(2)に規定する「免許者の氏名又は名称、酒類販売管理者の氏名、並びに連絡先の所在地及び電話番号」及び同(3)に規定する「販売停止時間」は、販売場の店舗内に設置され、購入者が店舗外から利用できない自動販売機であり、かつ、常時免許者又は酒類販売管理者が管理できるものには、表示を行わないこととして差し支えない。

(注) 「連絡先の所在地及び電話番号」とは、酒類の自動販売機に関する利用者からの相談等に迅速に対応できる者が所在する所及びその電話番号をいう。

ニ 夜間においては、自動販売機の照明を点灯しないときにはその状態で、照明を点灯するときには主たる照明の明るさで、各表示事項が判読できるように表示する。
 ただし、販売が停止されている時間帯において、自動販売機の主たる照明が消え販売が停止されている状況が明らかであるものについては、当該販売が停止されている時間帯に限り、各表示事項を判読できるようにするための措置は必要ない。

(9) 「郵便、電話その他の方法」の範囲

 表示基準7に規定する「郵便、電話その他の方法」とは、次に掲げる方法をいう。

イ 郵便又は信書便

ロ 電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法

ハ 電報

ニ 預金又は貯金の口座に対する払込み

(10)  酒類の通信販売における「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨の表示の取扱い

 表示基準7に規定する「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨の表示とは、例えば、以下のような文言を表示することをいう。

イ 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示
「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています」又は「飲酒は20歳になってから」等の20歳未満の者の飲酒防止に資する文言

ロ 「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨の表示
「20歳未満の者への酒類の販売はいたしておりません」又は「20歳未満の者の方の酒類のお申込みはお受けできません」等の20歳未満の者に酒類を購入できないことを認識させる文言

(11) 「酒類に関する広告又はカタログ等」の範囲

 表示基準7の(1)に規定する「酒類に関する広告又はカタログ等」とは、その名称のいかんを問わず、酒類の通信販売に関し、顧客を誘引するための手段として、自己が販売する酒類の内容又は取引条件その他取引に関する事項を表示する全てのものをいう。
 なお、表示基準7の(1)に規定する表示については、通信販売の対象となる酒類が掲載されている紙面又はインターネット等における酒類が表示されている画面等の全てについて行う必要があることに留意する。

(注) 表示基準7の(1)に規定する「インターネット等」とは、インターネットやパソコン通信等の情報処理の用に供する機器を利用しているものをいう。

(12) 「申込書等の書類」及び「近接する場所」の取扱い

 表示基準7の(2)に規定する「申込書等の書類」とは、その名称のいかんを問わず、購入申込者が酒類の購入に際して酒類の通信販売を行う者に交付するものをいい、「近接する場所」とは、酒類の申込者が年齢確認欄を見た場合において、同一視野の範囲に入る位置をいう。

(13) 「納品書等」の取扱い

表示基準7の(3)に規定する「納品書等」とは、その名称のいかんを問わず、酒類の通信販売を行う者が酒類の販売に際して作成し、酒類の購入者に交付するものをいう。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第86条の6 酒類の表示の基準 3

(次) 第86条の8 国税審議会への諮問