1 「偽りその他不正の行為」の意義

 法第12条《酒類の製造免許の取消し》第1号(法第13条《酒母等の製造免許の取消》において準用する場合を含む。)に規定する「偽りその他不正の行為」とは、法第10条《製造免許等の要件》各号のいずれかの事項について、故意にその事実を偽った等の不正行為をいう。
 また、第14条《酒類の販売業免許の取消し》において同様とする。

2 「免許の申請者」を「免許者」として取り扱う場合

 法第12条《酒類の製造免許の取消し》第2号(法第13条《酒母等の製造免許の取消》において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合における法第10条《製造免許等の要件》第3号から第5号まで、第7号から第8号までの規定中「免許の申請者」とあるのは「免許者」として取り扱う。
 また、第14条《酒類の販売業免許の取消し》において同様とする。

3 休造期間の計算

 法第12条《酒類の製造免許の取消し》第3号(法第13条《酒母等の製造免許の取消》において準用する場合を含む。)に規定する期間の計算は、酒類についてはその製成を終わった日、酒母等についてはその製造を終わった日のそれぞれの翌日から計算する。
 また、製造免許を受けてから引き続き休造している場合は、製造免許を受けた日の翌日から起算する。

4 法定製造数量不達期間の計算

 法第12条《酒類の製造免許の取消し》第4号に規定する3年以上引続き法定製造数量に達していないかどうかを判定する場合の期間の計算は、法第47条《申告義務》第2項に規定する期間による。

5 3年以上休造した場合又は3年以上法定製造数量に達しなかった場合の酒類の製造免許の取消しの取扱い

 2以上の清酒製造者が、製造を必要とする清酒の数量全部をそれらのいずれかの製造者の製造場で集約して製造する(以下集約して製造する者を「実施者」、これに参加する者「参加者」という。)ことが契約上明らかである場合において、次に該当する数量については、当該参加者が自己の製造場において製造したものとみなして、法第12条《酒類の製造免許の取消し》第3号又は同条第4号に該当するかどうか判定する。

(1) 集約製造した清酒を参加者の製造場に引き取った場合における当該引取数量

(2) 酒類製造者が主となって組織する法人が設置したびん詰めのための蔵置場の構成員となっている実施者の製造場から、参加者分の清酒(当該参加者分であることが、契約等により明らかなものに限る。)を当該蔵置場へ移出した場合における当該移出数量

(3) 同一おけ買い製造者に対しておけ売りを行っている実施者の製造場から、参加者分の清酒(当該参加者分であることが、契約等により明らかなものに限る。)をおけ買い製造者の製造場へ移出した場合における当該移出数量

(注) 休造期間の計算は、3《休造期間の計算》にかかわらず、引き取り又は移出した日を製造した日とみなし、引き取り又は移出を終わった日の翌日から起算する。

6 相続人等に対する休造等の期間の計算等の取扱い

 酒類又は酒母等の製造業の相続人等に対する法第12条《酒類の製造免許の取消し》第3号(法第13条《酒母等の製造免許の取消》において準用する場合を含む。)又は同条第4号の規定の適用に当たっての期間の計算は、被相続人若しくは譲渡者が酒類若しくは酒母等を製造しなかった期間又は被相続人若しくは譲渡者が製造した酒類の数量が法定製造数量に達しなかった期間は、相続人等が酒類若しくは酒母等を製造しなかった期間又は製造した酒類の数量が法定製造数量に達しなかった期間に通算することに取り扱う。

7 法定製造数量の計算に際しての原料用酒類の取扱い

 法第7条第1項ただし書《原料用酒類に対する製造免許不要》の規定に該当する原料用酒類の製造について法第12条《酒類の製造免許の取消し》第3号又は同条第4号の規定を適用する場合には、製造がなかったものとして取り扱う。

第14条 酒類の販売業免許の取消し

1 酒類販売業者が二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律等の規定により罰金刑に処せられた場合の酒類の販売業免許の取扱い

 酒類販売業者が二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律又は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の規定に違反し20歳未満の者に酒類を販売又は提供したことにより罰金の刑に処せられた場合における法第14条第2号による酒類の販売業免許の取消しについては、当該販売又は提供行為に係る酒類販売業者の故意や過失の程度(酒類販売管理者の選任や研修受講の状況、他の従業員への指導の状況等を含む。)、及び当該販売業免許を取り消した場合における当該地域の消費者への影響等を総合的に勘案し、厳正かつ的確な処理を行う。
 なお、法第12条第2号《酒類の製造免許の取消し》(法第13条において準用する場合を含む。)による製造免許の取消しについても同様とする。

2 「2年以上引き続き酒類の販売業をしない場合」の意義

 法第14条《酒類の販売業免許の取消し》第3号に規定する「2年以上引き続き酒類の販売業をしない場合」とは、2年以上の期間にわたって一度も業として酒類の販売をした事実がない場合をいい、酒類販売業又は酒類販売代理業若しくは酒類販売媒介業を2年以上引き続きしない場合には、これらの業態ごとに販売業免許を取り消す。

3 相続人等に対する販売業休止期間の計算

 酒類の販売業の相続人等に対する法第14条《酒類の販売業免許の取消し》第4号の 規定の適用に当たっての期間の計算は、被相続人又は譲渡者が酒類の販売業をしなかっ た期間も、相続人等が酒類の販売業をしなかった期間に通算する。

第16条 製造場又は販売場の移転の許可

第1項関係

1 製造場又は販売場の移転の許可の効力

 製造場又は販売場の移転を許可した場合は、その許可した時から移転先の製造場又は販売場について製造免許等の効力が発生するとともに、移転前の製造場又は販売場については、製造免許等の効力が消滅する。

2 移転の許可の取扱い

 製造場又は販売場の移転の許可の取扱いは、次による。

(1) 製造場の移転は、移転先が酒税の取締り上不適当と認められる場所でない場合に許可する。

(2) 販売場の移転は、移転許可申請につき法第10条《製造免許等の要件》第9号又は第11号に掲げる事由があるかどうかを判断して、移転の可否を決定する。
なお、移転後の販売場における酒類の販売に係る次の事項について十分に聴取を行うこととし、この場合、当該移転許可申請を行った酒類販売業者が移転後の販売場における酒類の販売を行わないと認められるときには、移転を許可しない。

イ 移転後の販売場における経営者の確認
 販売場の移転は、移転後の販売場における酒類の販売を当該移転許可申請を行った酒類販売業者が引き続き行うことが前提となることから、移転後の販売場における酒類の販売を行う者の確認を十分に行う。

ロ 販売能力及び所要資金等の確認
 申請者が移転後の販売場において酒類を継続的に販売することができるものと見込まれる者であり、そのための所要資金を賄うに足りる所有資金並びに必要な販売施設及び設備を有している、又は有することが確実と認められる者であるか確認する。

(注) 販売場の移転先において、当該移転後の申請者の営業が、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性その他販売行為において他の営業主体の営業と明確に区分されない場合、例えば、狭あいな店舗内の一部の陳列棚を賃借等して販売場とする移転で、いわゆる名板貸しとなるものについては許可しないのであるから留意する。

(3) 次に掲げる場合で特に支障がないと認められるときは、法第10条《製造免許等の要件》第11号に掲げる事由にかかわらず、販売場の移転を許可することができる。

イ 同一販売地域内における移転で、法第10条《製造免許等の要件》第9号に掲げる事由がない場合

ロ 土地区画整理法(昭和29年法律第119号)、都市再開発法(昭和44年法律第38号)等に規定する土地区画整理事業、市街地再開発事業等に基づく移転で、次に掲げる場合

(イ) 真にやむを得ない事由により販売地域を異にして移転する場合で、法第10条《製造免許等の要件》第9号に掲げる事由がないとき

(ロ) 換地処分、権利変換の処分等により移転先の選定が自由にならない場合

ハ 販売場の店舗等の新築又は改築等を行うため、一時的に販売場を移転し工事完了後直ちに旧位置に復帰することが確実であると認められる場合

第17条 製造又は販売業の廃止

第1項及び第2項関係

1 「法人番号通知書の写し」の取扱い

 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)第7条の規定に基づき、電子情報処理組織を使用する方法により法人番号の通知を受けた法人が、当該通知における法人番号通知書を書面に出力したものを、令第16条第1項又は第2項《製造又は販売業の廃止の手続》の申請書に添付して提出した場合には、規則第7条の5第3項第2号ロ《製造免許等の取消しの申請書の記載事項》に規定する法人番号通知書の写しの提出があったものとして取り扱う。

第18条 販売場を設けていない酒類販売業者の住所の移転の申告義務

第19条 製造業又は販売業の相続等

第1項関係

1 「製造業又は販売業の全部の譲渡」の意義

 製造業又は販売業の全部の譲渡とは、酒類の製造免許若しくは酒母若しくはもろみの製造免許に係る製造業又は酒類の販売業免許に係る販売業(以下「譲渡対象事業」という。)を行う目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む。)の全部を譲渡し、譲渡者の営業的活動を承継させることにより、譲渡者の競業避止義務を負う結果を伴うものをいう。

2 「引き続きその製造業又は販売業をしようとする」の意義

 法第19条第1項に規定する事業譲渡について、「引き続きその製造業又は販売業をしようとする」とは、経営内容の実質に変化がなく継続することをいい、次のいずれをも満たすものとして取り扱う

(1) 譲受人が、事業譲渡を行う酒類製造者等の親族(民法(明治29年法律第89号)第725条に定める親族をいう。)又は譲渡対象事業に3年以上従事している者(過去に従事していた年数を含む。以下、この項及び次項について同じ。)であること。

(2) 事業譲渡を行う酒類製造者等がこれまで製造業又は販売業をしてきた製造場又は販売場と同じ場所において事業がなされること。

3 製造業又は販売業の相続等の申告の取扱い

 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項に規定する相続の申告は、引き続き製造業又は販売業をしようとする相続人が、相続の開始があったことを知ったときから社会通念上相当と認められる期間内にしなければならないものであるが、当該申告がその期間後になされた場合であっても、やむを得ない事由に基づくものである場合には、相続の開始後遅滞なく申告があったものとして処理する。

4 製造業又は販売業をしようとする相続人が2人以上ある場合

 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項の規定による申告をした相続人が2人以上ある場合において、その相続人全員が不適格者でないときは、当該相続人全員の共同の製造免許等となるものである。

(注) 同項の規定による申告をする場合において、引き続き製造業又は販売業をしようとする相続人が2人以上あるときは、その申告をする者はそのうち1人とするようしょうようする。

5 「包括受遺者」の範囲

 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項に規定する「包括受遺者」には、法人も含まれるものであるから留意する。

第2項関係

1 「包括遺贈者」の意義

 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第2項に規定する「包括遺贈者」とは、遺産の全部又は一部を特定せずに一定の割合をもって他人に遺贈する者をいう。

2 相続等申告者の欠格要件に該当するか否かの判定の時期

 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項の規定により申告があった場合において、当該申告をした相続人等が法第10条《製造免許等の要件》第1号から第3号まで又は第6号から第8号までの欠格要件の一に該当するかどうかの判定は、相続人については相続開始の時(被相続人の死亡の時)、譲受人については事業譲渡の時において該当していたかどうかによる。

3 共同相続の場合の留意事項

 令第18条《酒類製造業等の相続等の申告》第2項の規定により共同して相続することができるのは、相続人全員が適格者である場合に限るものであり、その一部の相続人に不適格者があるときには、共同相続はできないものであるから申告書の審査に際しては、相続人中に不適格者があるかどうかについて留意する。

4 共同免許者に対する要請

 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第2項の規定により2人以上の相続人が酒類等の製造免許又は酒類の販売業免許を受けた者とみなされた場合には、法に規定する申告、承認申請の手続又は通知の受理等については、これらの者のうちの1人に委任させるものとし、委任した場合にはあらかじめ委任の事実を証する書類を提出させる。

5 販売場を有しない酒類の販売業の相続

 販売場を有しない酒類販売業を引き続きしようとする相続人が2人以上であって、それらのそれぞれが法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項に規定する申告をした場合において、その全部の者又は一部の者が不適格者でないときは、その不適格者でない相続人は、それぞれ住所地において販売場を有しない酒類の販売業免許を受けたものとみなされることになるから留意する。

6 「免許の申請者」を「相続人等」として取り扱う場合

 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第2項を適用する場合における法第10条《製造免許等の要件》第1号、第3号及び第6号から第8号までの規定中「免許の申請者」とあるのは「相続人等」と、同条第2号中「酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの製造免許又は酒類の販売業免許を申請をした場合」とあるのは「法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項に定める申告をした場合」として、それぞれ取り扱う。

第20条 必要な行為の継続等

第1項、第2項及び第3項関係

1 「免許が取り消された場合」の範囲

 法第20条《必要な行為の継続等》第1項から第3項までに規定する「免許が取り消された場合」には、酒類等製造者又は酒類販売業者が死亡した場合であって当該免許につき相続がない場合及び法人が解散したため当該免許が消滅した場合をも含むものとして取り扱う。この場合において必要行為の継続申請は、相続がないときは法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項の規定による申告をしない相続人において、また、法人が解散したときはその清算法人において、それぞれすることができることとする。

2 必要行為の継続申請があった場合の取扱い

 法第20条《必要な行為の継続等》第1項から第3項までの規定による申請があった場合には、特別の事由のない限り「必要行為の継続」を認めることとする。

3 必要行為を継続させる期間の取扱い

 法第20条《必要な行為の継続等》第1項から第3項までの規定により必要行為を継続させる場合の指定期間は、現存する半製品の状況、酒類(必要行為を継続を認めることにより半製品から製造される酒類を含む。)の数量、従来において製造販売に要した期間等の状況等を勘案して適宜決定する。

4 必要行為の継続期間の延長の取扱い

 法第20条《必要な行為の継続等》第1項から第3項の規定により行為を継続させる期間を指定した後において、同条第1項から第3項までに規定する指定期間について延長の申請があった場合で、事情やむを得ないと認められるときは必要行為の継続期間の延長を認めても差し支えない。

5 必要行為の継続を認める期間の始期

 法第20条《必要な行為の継続等》第1項から第3項までの規定により、必要行為の継続を認める場合の期間の始期は、必要行為継続申請書に記載された日による。
 なお、相続人が必要行為継続申請書に記載する必要行為の継続を要する期間の始期は、相続開始の日とする。

6 必要行為を継続させている製造場への戻し入れ酒類の取扱い

 法第20条《必要な行為の継続等》第1項の規定により、必要行為を継続させている期間中において、製造免許を取り消された製造場へ酒類が戻し入れされた場合には、当該戻し入れされた酒類については、法第30条《戻入れの場合の酒税額の控除等》第1項又は第2項の規定を適用することに取り扱う。

第21条 製造免許等の通知

1 製造免許等の通知

 製造免許等の付与等の可否については、申請者等に対し文書により通知する。
 なお、第9条第2項関係の2〈届出による期限付酒類小売業免許の取扱い〉により期限付酒類小売業免許を付与したものとして取り扱う場合には、当該通知は省略する。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第11条 免許の条件 

(次) 第22条 課税標準及び税率