(連結法人が他の連結グループに加入する場合の資産に係る時価評価)

13−2−1 連結親法人の発行済株式の全部が他の連結グループ(他の連結親法人及び当該他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有する法人によって構成されたグループをいう。以下13−2−1及び13−2−3において同じ。)に属する連結法人に有されることとなったことにより、当該連結親法人及びその連結子法人が当該他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有することとなった場合において、当該連結親法人及びその連結子法人が当該連結完全支配関係を有することとなった日の前日に有する法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産については、同項の規定に基づき、当該前日の属する連結事業年度においてその時価評価資産に係る評価益又は評価損を益金の額又は損金の額に算入することとなることに留意する。(平15年課法2−12「十」により改正)

(注) 連結子法人の発行済株式の全部が連結事業年度開始の日に他の連結グループに属する連結法人に有されることとなったことにより、当該連結子法人が他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有することとなった場合の当該連結子法人及び当該連結子法人との間に当該連結子法人による完全支配関係のある連結法人が当該開始の日の前日に有する時価評価資産についても、同様とする。

(連結納税への加入に伴う時価評価資産に係る時価の意義)

13−2−2 13−2−1の場合において、連結法人が法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定を適用するときにおける「時価評価資産のその時の価額」は、当該時価評価資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡されるときに通常付される価額によるのであるが、次に掲げる時価評価資産について、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる方法その他合理的な方法により当該時価評価資産のその時の価額を算定しているときは、課税上弊害がない限り、これを認める。(平19年課法2−3「三十五」、平19年課法2−7「十一」、平19年課法2−17「二十六」により改正)

(1) 減価償却資産

イ 令第13条第1号から第7号まで《有形減価償却資産》に掲げる減価償却資産 8−1−29《減価償却資産の時価》に定める方法により計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法

ロ 同条第8号《無形減価償却資産》及び第9号《生物》に掲げる減価償却資産 当該減価償却資産の取得価額を基礎としてその取得の時から法第61条の12第1項に規定する連結加入直前事業年度(以下13−2−2において「連結加入直前事業年度」という。)終了の時まで旧定額法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法

(2) 土地 当該土地につきその近傍類地の売買実例を基礎として合理的に算定した価額又は当該土地につきその近傍類地の公示価格等(地価公示法第8条《不動産鑑定士の土地についての鑑定評価の準則》に規定する公示価格又は国土利用計画法施行令第9条第1項《基準地の標準価格》に規定する標準価格をいう。)から合理的に算定した価額をもって当該土地の価額とする方法

(3) 有価証券 8−1−18、8−1−23、8−1−24又は8−1−25《有価証券の価額》に定める方法に準じた方法によって算定した価額をもって当該有価証券の価額とする方法

(4) 金銭債権

イ その一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれる金銭債権 当該金銭債権の額から当該金銭債権につき法第52条第1項《貸倒引当金》の規定を適用した場合に同項の規定により計算される個別貸倒引当金繰入限度額に相当する金額を控除した金額をもって当該金銭債権の価額とする方法

ロ イ以外の金銭債権 当該金銭債権の帳簿価額をもって当該金銭債権の価額とする方法

(5) 繰延資産

イ 令第14条第1項第1号から第5号まで《繰延資産の範囲》に掲げる繰延資産 当該繰延資産の帳簿価額をもって当該繰延資産の価額とする方法

ロ 同項第6号に掲げる繰延資産 当該繰延資産の額を基礎としてその支出の時から連結加入直前事業年度終了の時まで令第64条第1項第2号《繰延資産の償却限度額》の規定により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該繰延資産の価額とする方法

(注) この場合における償却期間は、7−2−1から7−2−5《繰延資産の償却期間》に定める償却期間による。

(他の連結グループに加入した後に離脱した連結法人の時価評価損益等)

13−2−3 連結法人が、13−2−1の場合で、他の連結グループに加入した日の属する連結親法人事業年度において、法第4条の5第2項《連結納税の承認のみなし取消し》の規定によりその承認を取り消されたため連結法人でなくなった場合であっても、法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定により連結加入直前の連結事業年度において益金の額又は損金の額に算入した時価評価資産の評価益又は評価損は、当該連結加入直前の連結事業年度又はその後の各事業年度のいずれにおいても修正は行わないことに留意する。(平15年課法2−12「十」、平19年課法2−17「二十六」、平21年課法2−5「十二」、平22年課法2−1「二十八」、平25年課法2−4「五」、平30年課法2−8「十四」、令2年課法2−17「ハ」により改正)

(注) 法第63条第3項《リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度》の収益の額及び費用の額、法第61条の13第1項《完全支配関係がある法人の間の取引の損益》の譲渡利益額若しくは譲渡損失額又は次に掲げる規定により益金の額に算入される特別勘定の金額についても、同様とする。

1 措置法第68条の71第11項《収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》

2 措置法第68条の72第3項《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》において準用される措置法第68条の71第11項

3 措置法第68条の79第11項《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》

4 措置法第68条の98第6項《特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例》

(一括償却資産に係る時価評価益の計算)

13−2−4 13−2−1の場合において、連結法人の有する資産が令第122条の12第1項第4号又は第5号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に掲げる資産に該当するかどうかを判定するときには、当該資産が令第133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》の適用を受けているものであるときであっても、当該資産を令第122条の12第1項第4号に規定する単位に区分した後のそれぞれの資産ごとに判定することに留意する。(平29年課法2−17「十六」により改正)

(注) この場合において、同号及び同項第5号に規定する帳簿価額は零として、同項第4号に規定する千万円に満たないかどうかの判定及び同項第5号に規定する差額の計算を行うこととなる。

(時価評価時に時価評価資産から除かれる資産を判定する場合の資本金等の額)

13−2−5 13−2−1の場合において、連結法人が法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産を有するかどうかを判定するときにおける令第122条の12第1項第5号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に規定する「資本金等の額」は、連結加入直前の連結事業年度終了の時の連結個別資本金等の額となることに留意する。(平19年課法2−3「三十五」、平29年課法2−17「十六」により改正)

(時価評価資産から除かれる資産の範囲)

13−2−6 令第122条の12第1項第1号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》の規定の適用上、同号ハに掲げる規定の適用を受けた減価償却資産には、9−3−3《工事負担金を受けた連結事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等》後段の取扱いにより圧縮記帳をした減価償却資産が含まれる。