(棚卸資産の著しい陳腐化の例示)

8−1−4 令第68条第1項第1号ロ《評価損の計上ができる著しい陳腐化》に規定する「当該資産が著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する。(平17年課法2−14「十」により改正)

(1) いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。

(2) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。

(棚卸資産について評価損の計上ができる「準ずる特別の事実」の例示)

8−1−5 令第68条第1項第1号ハ《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「イ又はロに準ずる特別の事実」には、例えば、破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったことが含まれる。(平17年課法2−14「十」、平19年課法2−3「二十三」、平21年課法2−5「六」により改正)

(棚卸資産について評価損の計上ができない場合)

8−1−6 棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、令第68条第1項第1号《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実に該当しないことに留意する。(平17年課法2−14「十」により改正)

(補修用部品在庫調整勘定の設定)

8−1−7 連結法人が法令の規定、行政官庁の指導、業界の申合せ等に基づき製品の製造を中止した後一定期間保有することが必要と認められる当該製品に係る補修用の部品を相当数量一時に取得して保有する場合には、保有開始年度(その製品の製造を中止した連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)をいう。以下8−1−7において同じ。)以後の各連結事業年度において、当該連結事業年度終了の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額が次の算式により計算した金額を超えるときにおけるその超える部分の金額に相当する金額以下の金額を損金経理により補修用部品在庫調整勘定に繰り入れることができるものとする。

(算式)

補修用部品在庫調整勘定の設定の算式

保有期間の年数/経過年数 2年 3 4 5 6 7 8 9 10
1年 0.784 0.885 0.922 0.942 0.953 0.961 0.967 0.971 0.974
2 0.100 0.636 0.784 0.849 0.885 0.907 0.922 0.933 0.942
3   0.100 0.538 0.702 0.784 0.832 0.863 0.885 0.900
4     0.100 0.469 0.636 0.727 0.784 0.822 0.849
5       0.100 0.419 0.582 0.678 0.741 0.784
6         0.100 0.380 0.538 0.636 0.702
7           0.100 0.350 0.501 0.599
8             0.100 0.326 0.469
9               0.100 0.306
10                 0.100

 

(備考)

1

 この表の率は、次によって求めたものである。
表の率の算式

2

 連結事業年度の期間が1年に満たない場合その他経過年数に1年未満の端数がある場合の求める率は、次の例による。

(例)

 保有期間の年数8年:連結事業年度の期間6か月:経過年数2年6か月
 経過年数2年6か月に応ずる率は経過年数2年に応ずる率(0.922)と経過年数3年に応ずる率(0.863)との間にあるから、その率は
保有期間の年数8年:連結事業年度の期間6か月:経過年数2年6か月の算式 (小数点以下3位未満の端数切上げ)とする。

(注)

1 算式の「保有開始年度開始の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額」は、保有開始年度以後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において取得した当該製品に係る補修用の部品がある場合には、その取得価額の合計額を加算した金額とする。

2 算式及び表の「保有期間の年数」は、当該補修用の部品が、法令の規定又は行政官庁の指導に基づき保有されているものである場合には当該法令の規定又は行政官庁の指導により保有すべきこととされている年数とし、業界の申合せその他の事由に基づき保有されているものである場合には、当該連結法人のその保有すべき年数につき、あらかじめ当該連結法人に係る連結親法人が所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)の確認を受けた年数とする。

3 算式及び表の「経過年数」は、保有開始年度開始の日以後当該連結事業年度終了の日までの期間に係る年数とし、1月未満の端数は1月とする。

(補修用部品在庫調整勘定の金額の益金算入)

8−1−8 補修用部品在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。

(補修用部品在庫調整勘定の明細書の添付)

8−1−9 補修用部品在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に補修用部品在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。

(適格分割等に係る期中補修用部品在庫調整勘定の設定等)

8−1−10 連結法人が適格分割等(適格分割、適格現物出資又は適格現物分配をいう。以下この章において同じ。)により分割承継法人等(分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人をいう。以下この章において同じ。)に補修用部品在庫調整勘定の設定の対象となる補修用部品を移転する場合において、当該移転をする補修用部品について当該適格分割等の直前の時を連結事業年度終了の時とした場合に8−1−7の定めにより繰り入れることができる金額につき補修用部品在庫調整勘定に相当するもの(以下8−1−12までにおいて「期中補修用部品在庫調整勘定」という。)へ繰り入れたときは、当該繰り入れた金額は当該適格分割等の日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
 なお、この取扱いは、当該連結法人に係る連結親法人が、当該適格分割等の日以後2月以内に期中補修用部品在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を所轄税務署長へ提出した場合に限り、適用するものとする。(平22年課法2−1「十七」により改正)

(適格組織再編成に係る補修用部品在庫調整勘定等の引継ぎ)

8−1−11 連結法人が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配をいう。以下この章において同じ。)を行った場合には、次に掲げる適格組織再編成の区分に応じ、それぞれ次に定める補修用部品在庫調整勘定の金額又は期中補修用部品在庫調整勘定の金額は、当該適格組織再編成に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(以下この章において「合併法人等」という。)に引き継ぐものとする。(平22年課法2−1「十七」により改正)

(1) 適格合併 8−1−7により当該適格合併の日の前日の属する連結事業年度において繰り入れをした補修用部品在庫調整勘定の金額

(2) 適格分割等 8−1−10により当該適格分割等の日の属する連結事業年度において繰り入れをした期中補修用部品在庫調整勘定の金額

(適格組織再編成により引継ぎを受けた補修用部品在庫調整勘定等の益金算入)

8−1−12 8−1−11により合併法人等が引継ぎを受けた補修用部品在庫調整勘定の金額又は期中補修用部品在庫調整勘定の金額は、当該合併法人等の適格組織再編成の日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。

(単行本在庫調整勘定の設定)

8−1−13 出版業を営む連結法人が各連結事業年度終了の時において有する単行本のうちにその最終刷後6か月以上を経過したもの(取次業者又は販売業者に寄託しているものを除く。以下8−1−16までにおいて「売れ残り単行本」という。)がある場合には、次の算式により計算した金額に相当する金額以下の金額を当該連結事業年度において損金経理により単行本在庫調整勘定に繰り入れることができるものとする。

(算式)

単行本在庫調整勘定の設定の算式

売上比率 発行部数
2,000部未満 2,000部以上 5,000部未満 5,000部以上
以上 未満 繰入率
20%以上 0 0 0
15 20 50 0 0
10 15 60 50 0
8 10 70 60 50
7 8 80 60 60
5 7 80 70 60
4 5 90 70 70
2 4 90 80 70
1 2 100 90 80
0.5 1 100 100 90
0.5%未満 100 100 100
(備考)

1  「売上比率」とは、発行部数に対する当該連結事業年度終了の日以前6月間に販売された部数から当該期間において返品された部数を控除した部数の割合をいう。

2  「発行部数」とは、当該連結事業年度終了の日前6月以前における最終刷の部数をいう。

(注) 繰入率 100%を適用する場合には、算式により計算した金額は、当該金額から当該売れ残り単行本の当該連結事業年度終了の時における処分見込価額を控除した金額とする。

(単行本在庫調整勘定の金額の益金算入)

8−1−14 単行本在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。

(単行本在庫調整勘定の明細書の添付)

8−1−15 単行本在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に単行本在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。

(適格組織再編成に係る単行本在庫調整勘定の設定等)

8−1−16 8−1−10から8−1−12までの取扱いは、連結法人が適格分割等により分割承継法人等に売れ残り単行本を移転する場合及び適格組織再編成により合併法人等に単行本在庫調整勘定を引き継ぐ場合についてそれぞれ準用する。(平22年課法2−1「十七」により改正)