(工事の請負の範囲)

2−4−12 法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する工事(以下この款において「工事」という。)の請負には、設計・監理等の役務の提供のみの請負は含まれないのであるが、工事の請負と一体として請け負ったと認められるこれらの役務の提供の請負については、当該工事の請負に含まれることに留意する。(平20年課法2−5「七」により改正)

(契約の意義)

2−4−13 法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する「契約」とは、当事者間における請負に係る合意をいうのであるから、当該契約に関して契約書等の書面が作成されているかどうかを問わないことに留意する。

(長期大規模工事に該当するかどうかの判定単位)

2−4−14 請け負った工事が法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該工事に係る契約ごとに判定するのであるが、複数の契約書により工事の請負に係る契約が締結されている場合であって、当該契約に至った事情等からみてそれらの契約全体で一の工事を請け負ったと認められる場合には、当該工事に係る契約全体を一の契約として長期大規模工事に該当するかどうかの判定を行うことに留意する。(平30年課法2−8「五」により改正)

(注) 2−1−1(1)に定めるところにより区分した単位を一の取引の単位とすることとした場合には、当該単位により判定を行うことに留意する。

(工事の目的物について個々に引渡しが可能な場合の取扱い)

2−4−15 工事の請負に係る一の契約においてその目的物について個々に引渡しが可能な場合であっても、当該工事が法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該一の契約ごとに判定することに留意する。
 ただし、その目的物の性質、取引の内容並びに目的物ごとの請負の対価の額及び原価の額の区分の状況などに照らして、個々に独立した契約が一の契約書に一括して記載されていると認められる工事の請負については、当該個々に独立した契約ごとに長期大規模工事の判定を行うことができる。(平30年課法2−8「五」により改正)

(注) 2−1−1(2)に定めるところにより区分した単位を一の取引の単位とすることとした場合(当該区分した単位ごとに対価の額が区分されている場合に限る。)には、当該単位により判定を行うことに留意する。

(長期大規模工事に該当しないこととなった場合の取扱い)

2−4−16 長期大規模工事に該当する工事について、請負の対価の額の減額や工事期間の短縮があったこと等により、その着工連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の連結事業年度において長期大規模工事に該当しないこととなった場合であって、その工事について工事進行基準の適用をしないこととしたときであっても、その適用しないこととした連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において計上した当該工事の請負に係る収益の額及び費用の額を既往に遡って修正することはしないのであるから留意する。(平23年課法2−17「八」により改正)

(長期大規模工事の着手の日等の判定)

2−4−17 令第129条第7項《長期大規模工事に着手したかどうかの判定》(同条第10項《長期大規模工事以外の工事に着手したかどうかの判定》の規定により準用される場合を含む。)に規定する「その請け負った工事の内容を完成するために行う一連の作業のうち重要な部分の作業」を開始した日がいつであるかについては、当該工事の種類及び性質、その工事に係る契約の内容、慣行等に応じその「重要な部分の作業」を開始した日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続して判定の基礎としている日によるものとする。(平20年課法2−5「七」により改正)

(契約において手形で請負の対価の額が支払われることになっている場合の取扱い)

2−4−18 令第129条第2項《支払条件に係る長期大規模工事の判定》に規定する「支払われること」には、契約において定められている支払期日に手形により支払われる場合も含まれることに留意する。

(進捗度に寄与しない原価等がある場合の工事進行基準の適用)

2−4−18の2 2−1−21の6(注)2は、令第129条第3項《工事進行基準の方法》に規定する「進行割合」の算定について準用する。(平30年課法2−8「五」により追加)

(損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用)

2−4−19 連結法人が、当該連結事業年度終了の時において見込まれる工事損失の額(その時の現況により見積もられる工事の原価の額が、その請負に係る収益の額を超える場合における当該超える部分の金額をいう。)のうち当該工事に関して既に計上した損益の額を控除した残額(以下「工事損失引当金」という。)を、当該連結事業年度に係る工事原価の額として計上している場合であっても、そのことをもって、法第64条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に定める「工事進行基準の方法により経理したとき」に該当しないとは取り扱わない。
 この場合において、当該工事損失引当金の計上額は、同項の規定により当該連結事業年度において損金の額に算入されることとなる工事の請負に係る費用の額には含まれないことに留意する。(平20年課法2−5「七」により追加、平30年課法2−12「二」により改正)

(外貨建工事に係る契約の時における為替相場)

2−4−20 令第129条第1項《長期大規模工事の判定》に規定する「契約の時における外国為替の売買相場による円換算額」は、その外貨建工事(請負の対価の額の支払が外国通貨で行われるべきこととされている工事をいう。以下2−4−22までにおいて同じ。)の請負の対価の額を17−1−2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》の本文及び(注)1から3までに定める為替相場(当該外貨建工事の契約の日を同通達に定める取引日とした場合の為替相場をいう。)により円換算した金額とする。

(注) 契約の日までに当該外貨建工事の請負の対価の額の全部又は一部について先物外国為替契約等(法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する先物外国為替契約等をいう。)により円換算額を確定させている場合であっても、令第129条第1項に規定する「契約の時における外国為替の売買相場による円換算額」は、本通達の本文により円換算した金額とすることに留意する。

(外貨建工事の請負の対価の額が増額又は減額された場合の取扱い)

2−4−21 外貨建工事について、契約後、値増しや追加工事等又は値引きや工事の削減等があったことによりその請負の対価の額が増額又は減額された場合における令第129条第1項《長期大規模工事の判定》の規定の適用については、当該外貨建工事に係る当該増額後又は減額後の請負の対価の額を、当該外貨建工事に係る契約時の外国為替の売買相場(当該外貨建工事につき2−4−20による円換算に用いた外国為替の売買相場をいう。)により円換算した金額とすることに留意する。

(外貨建工事の工事進行基準の計算)

2−4−22 外貨建工事における令第129条第3項《工事進行基準の方法》の規定による計算は、例えば、当該計算の基礎となる金額につき全て円換算後の金額に基づき計算する方法又は当該計算の基礎となる金額につき全て外貨建ての金額に基づき計算した金額について円換算を行う方法など、連結法人が当該外貨建工事につき継続して適用する合理的な方法によるものとする。
 また、当該計算の基礎となる金額について円換算を行う場合には、17−1−2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》、17−1−3《多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算》、17−1−4《先物外国為替契約等がある場合の収益、費用の換算等》及び17−1−5《前渡金等の振替え》によることに留意する。(平20年課法2−5「七」、平23年課法2−17「八」により改正)

(注) 同項に規定する「工事に係る進行割合」の計算については、工事の進行の度合を示すものとして合理的と認められるものに基づいて計算した割合によることができるのであるから留意する。