(履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに係る収益の帰属の時期)

2−1−21の2 役務の提供(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除き、平成30年3月30日付企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」の適用対象となる取引に限る。以下2−1−21の3までにおいて同じ。)のうちその履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの(以下2−1−33までにおいて「履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの」という。)については、その履行に着手した日から引渡し等の日(物の引渡しを要する取引にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日をいい、物の引渡しを要しない取引にあってはその約した役務の全部を完了した日をいう。以下2−1−21の7までにおいて同じ。)までの期間において履行義務が充足されていくそれぞれの日が法第22条の2第1項《収益の額》に規定する役務の提供の日に該当し、その収益の額は、その履行義務が充足されていくそれぞれの日の属する連結事業年度の益金の額に算入されることに留意する。(平30年課法2−8「二」により追加)

(履行義務が一時点で充足されるものに係る収益の帰属の時期)

2−1−21の3 役務の提供のうち履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの以外のもの(以下2−1−33までにおいて「履行義務が一時点で充足されるもの」という。)については、その引渡し等の日が法第22条の2第1項《収益の額》に規定する役務の提供の日に該当し、その収益の額は、引渡し等の日の属する連結事業年度の益金の額に算入されることに留意する。(平30年課法2−8「二」により追加)

(履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの)

2−1−21の4 次のいずれかを満たすものは履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する。(平30年課法2−8「二」により追加)

(1) 取引における義務を履行するにつれて、相手方が便益を享受すること。

(注) 例えば、清掃サービスなどの日常的又は反復的なサービスはこれに該当する。

(2) 取引における義務を履行することにより、資産が生じ、又は資産の価値が増加し、その資産が生じ、又は資産の価値が増加するにつれて、相手方がその資産を支配すること。

(注) 上記の資産を支配することとは、当該資産の使用を指図し、当該資産からの残りの便益のほとんど全てを享受する能力(他の者が当該資産の使用を指図して当該資産から便益を享受することを妨げる能力を含む。)を有することをいう。

(3) 次の要件のいずれも満たすこと。

イ 取引における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること。

ロ 取引における義務の履行を完了した部分について、対価の額を収受する強制力のある権利を有していること。

(履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに係る収益の額の算定の通則)

2−1−21の5 履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに係るその履行に着手した日の属する連結事業年度から引渡し等の日の属する連結事業年度の前連結事業年度までの各連結事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する収益の額は、別に定めるものを除き、提供する役務につき通常得べき対価の額に相当する金額に当該各連結事業年度終了の時における履行義務の充足に係る進捗度を乗じて計算した金額から、当該各連結事業年度前の各連結事業年度の収益の額とされた金額を控除した金額とする。(平30年課法2−8「二」により追加)

(注)

1 本文の取扱いは、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができる場合に限り適用する。

2 履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができない場合においても、当該履行義務を充足する際に発生する原価の額を回収することが見込まれる場合には、当該履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができることとなる時まで、履行義務を充足する際に発生する原価のうち回収することが見込まれる原価の額をもって当該連結事業年度の収益の額とする。

3 (注)2にかかわらず、履行に着手した後の初期段階において、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができない場合には、その収益の額を益金の額に算入しないことができる。

(履行義務の充足に係る進捗度)

2−1−21の6 2−1−21の5の「履行義務の充足に係る進捗度」とは、役務の提供に係る原価の額の合計額のうちにその役務の提供のために既に要した原材料費、労務費その他の経費の額の合計額の占める割合その他の履行義務の進捗の度合を示すものとして合理的と認められるものに基づいて計算した割合をいう。(平30年課法2−8「二」により追加)

(注)

1 2−1−21の4(1)(注)の日常的又は反復的なサービスの場合には、例えば、契約期間の全体のうち、当該連結事業年度終了の日までに既に経過した期間の占める割合は、履行義務の進捗の度合を示すものとして合理的と認められるものに該当する。

2 本文の既に要した原材料費、労務費その他の経費の額のうちに、履行義務の充足に係る進捗度に寄与しないもの又は比例しないものがある場合には、その金額を進捗度の見積りには反映させないことができる。

(請負に係る収益の帰属の時期)

2−1−21の7 請負(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。以下2−1−21の7において同じ。)については、別に定めるものを除き、2−1−21の2及び2−1−21の3にかかわらず、その引渡し等の日が法第22条の2第1項《収益の額》に規定する役務の提供の日に該当し、その収益の額は、原則として引渡し等の日の属する連結事業年度の益金の額に算入されることに留意する。ただし、当該請負が2−1−21の4(1)から(3)までのいずれかを満たす場合において、その請負に係る履行義務が充足されていくそれぞれの日の属する連結事業年度において2−1−21の5に準じて算定される額を益金の額に算入しているときは、これを認める。(平30年課法2−8「二」により追加)

(注)

1 例えば、委任事務又は準委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約している場合についても同様とする。

2 2−1−1の4の取扱いを適用する場合には、その連結事業年度において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事代金の額をその連結事業年度の益金の額に算入する。

(建設工事等の引渡しの日の判定)

2−1−21の8 2−1−21の7本文の場合において、請負契約の内容が建設工事等を行うことを目的とするものであるときは、その建設工事等の引渡しの日がいつであるかについては、例えば作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとする。(平30年課法2−8「二」により追加)

(不動産の仲介あっせん報酬の帰属の時期)

2−1−21の9 土地、建物等の売買、交換又は賃貸借(以下2−1−21の9において「売買等」という。)の仲介又はあっせんをしたことによる報酬の額は、その履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する場合(2−1−21の7本文の取扱いを適用する場合を除く。)を除き、原則としてその売買等に係る契約の効力が発生した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、売買又は交換の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額について、継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、当該金額についてはその収受した日。以下2−1−21の9において同じ。)において収益計上を行っている場合には、当該完了した日は、その役務の提供の日に近接する日に該当するものとして、法第22条の2第2項《収益の額》の規定を適用する。(平30年課法2−8「二」により追加)

(技術役務の提供に係る報酬の帰属の時期)

2−1−21の10 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供を行ったことにより受ける報酬の額は、その履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する場合(2−1−21の7本文の取扱いを適用する場合を除く。)を除き、原則としてその約した役務の全部の提供を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、2−1−1の5の取扱いを適用する場合には、その支払を受けるべき報酬の額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、その支払を受けることが確定した金額のうち役務の全部の提供が完了する日まで又は1年を超える相当の期間が経過する日まで支払を受けることができないこととされている部分の金額については、その完了する日とその支払を受ける日とのいずれか早い日までその報酬の額を益金の額に算入することを見合わせることができる。(平30年課法2−8「二」により追加)

(運送収入の帰属の時期)

2−1−21の11 運送業における運送収入の額は、その履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する場合(2−1−21の7本文の取扱いを適用する場合を除く。)を除き、原則としてその運送に係る役務の提供を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、運送契約の種類、性質、内容等に応じ、例えば次に掲げるような方法のうちその運送収入に係る収益の計上基準として合理的であると認められるものにより継続してその収益計上を行っている場合には、当該計上基準により合理的と認められる日は、その運送収入に係る役務の提供の日に近接する日に該当するものとして、法第22条の2第2項《収益の額》の規定を適用する。(平30年課法2−8「二」により追加)

(1) 乗車券、乗船券、搭乗券等を発売した日(自動販売機によるものについては、その集金をした時)にその発売に係る運送収入の額につき収益計上を行う方法

(2) 船舶、航空機等が積地を出発した日に当該船舶、航空機等に積載した貨物又は乗客に係る運送収入の額につき収益計上を行う方法

(3) 一の航海(船舶が発港地を出発してから帰港地に到着するまでの航海をいう。以下2−1−21の11において同じ。)に通常要する期間がおおむね4月以内である場合において、当該一の航海に係る運送収入の額につき当該一の航海を完了した日に収益計上を行う方法

(4) 運送業を営む2以上の法人が運賃の交互計算又は共同計算を行っている場合における当該交互計算又は共同計算によりその配分が確定した日に収益計上を行う方法

(5) 海上運送業を営む連結法人が船舶による運送に関連して受払いする滞船料について、その額が確定した日に収益計上を行う方法

(注) 早出料については、その額が確定した日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。