第23条 課税物件表の第1号、第2号及び第15号に規定する「契約金額」とは、次に掲げる文書の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額で、当該文書において契約の成立等に関し直接証明の目的となっているものをいう。(平元間消3−15、平31課消4-17改正)
(1) 第1号の1文書及び第15号文書のうちの債権譲渡に関する契約書 譲渡の形態に応じ、次に掲げる金額
イ 売買 売買金額
(例) 土地売買契約書において、時価60万円の土地を50万円で売買すると記載したもの (第1号文書)50万円
(注) 60万円は評価額であって売買金額ではない。
ロ 交換 交換金額
なお、交換契約書に交換対象物の双方の価額が記載されているときはいずれか高い方(等価交換のときは、いずれか一方)の金額を、交換差金のみが記載されているときは当該交換差金をそれぞれ交換金額とする。
(例) 土地交換契約書において
1 甲の所有する土地(価額100万円)と乙の所有する土地(価額110万円)とを交換し、甲は乙に10万円支払うと記載したもの (第1号文書)110万円
2 甲の所有する土地と乙の所有する土地とを交換し、甲は乙に10万円支払うと記載したもの (第1号文書)10万円
ハ 代物弁済 代物弁済により消滅する債務の金額
なお、代物弁済の目的物の価額が消滅する債務の金額を上回ることにより、債権者がその差額を債務者に支払うこととしている場合は、その差額を加えた金額とする。
(例) 代物弁済契約書において
1 借用金100万円の支払いに代えて土地を譲渡するとしたもの (第1号文書)100万円
2 借用金100万円の支払いに代えて150万円相当の土地を譲渡するとともに、債権者は50万円を債務者に支払うとしたもの (第1号文書)150万円
ニ 法人等に対する現物出資 出資金額
ホ その他 譲渡の対価たる金額
(注) 贈与契約においては、譲渡の対価たる金額はないから、契約金額はないものとして取り扱う。
(2) 第1号の2文書 設定又は譲渡の対価たる金額
なお、「設定又は譲渡の対価たる金額」とは、賃貸料を除き、権利金その他名称のいかんを問わず、契約に際して相手方当事者に交付し、後日返還されることが予定されていない金額をいう。したがって、後日返還されることが予定されている保証金、敷金等は、契約金額には該当しない。
(3) 第1号の3文書 消費貸借金額
なお、消費貸借金額には利息金額を含まない。
(4) 第1号の4文書 運送料又は傭船料
(5) 第2号文書 請負金額
(6) 第15号文書のうちの債務引受けに関する契約書 引き受ける債務の金額
第24条 通則4に規定する記載金額の計算は、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。 (昭59間消3−24、平元間消3−15改正)
(1) 一の文書に、課税物件表の同一の号の課税事項の記載金額が2以上ある場合
当該記載金額の合計額
(例)
1 請負契約書
A工事200万円、B工事300万円 (第2号文書)500万円
2 不動産及び鉱業権売買契約書
不動産1,200万円、鉱業権400万円 (第1号文書)1,600万円
(2) 一の文書に、課税物件表の2以上の号の課税事項が記載されているものについて、その記載金額をそれぞれの課税事項ごとに区分することができる場合 当該文書の所属することとなる号の課税事項に係る記載金額
(例)
(3) 一の文書に、課税物件表の2以上の号の課税事項が記載されているものについて 、その記載金額をそれぞれの課税事項ごとに区分することができない場合当該記載金額
(例) 不動産及び債権の売買契約書
不動産及び債権500万円 (第1号文書)500万円
(4) 第17号の1文書であって、その記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができる場合当該売上代金に係る金額
(例) 貸付金元本と利息の受取書
貸付金元本200万円、貸付金利息20万円 (第17号の1文書)20万円
(5) 第17号の1文書であって、その記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができない場合当該記載金額
(例) 貸付金元本及び利息の受取書
貸付金元本及び利息210万円 (第17号の1文書)210万円
(6) 記載された単価及び量、記号その他により記載金額を計算することができる場合その計算により算出した金額
(例) 物品加工契約書
A物品単価500円、数量10,000個(第2号文書)500万円
(7) 第1号文書又は第2号文書であって、当該文書に係る契約についての契約金額若しくは単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書(課税物件表の課税物件欄に掲げる文書を除く。)の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該契約金額が明らかである場合又は当該契約金額の計算をすることができる場合その明らかである金額又はその計算により算出した金額
(例)
1 契約金額が明らかである場合
工事請負注文請書
「請負金額は貴注文書第××号のとおりとする。」と記載されている工事請負に関する注文請書で、注文書に記載されている請負金額が500万円(第2号文書)500万円
2 契約金額の計算をすることができる場合
物品の委託加工注文請書
(1) 「加工数量及び加工料単価は貴注文書第××号のとおりとする。」と記載されている物品の委託加工に関する注文請書で、注文書に記載されている数量が1万個、単価が500円(第2号文書)500万円
(2) 「加工料は1個につき500円、加工数量は貴注文書第××号のとおりとする。」と記載されている物品の委託加工に関する注文請書で、注文書に記載されている加工数量が1万個 (第2号文書)500万円
3 通則4のホの(二)の規定の適用がない場合
物品の委託加工注文請書
「加工数量は1万個、加工料は委託加工基本契約書のとおりとする 。」と記載されている物品の委託加工に関する注文請書 (第2号文書)記載金額なし
(8) 第17号の1文書であって、受け取る有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において売上代金に係る受取金額が明らかである場合その明らかである受取金額
(例) 物品売買代金の受取書
〇〇(株)発行のNo.××の小切手と記載した受取書(第17号の1文書)当該小切手の券面金額
(9) 第17号の1文書であって、受け取る金額の記載のある支払通知書、請求書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において売上代金に係る受取金額が明らかである場合その明らかである受取金額
(例) 請負代金の受取書
〇〇(株)発行の支払通知書No.××と記載した受取書(第17号の1文書)当該支払通知書の記載金額
(10) 記載金額が外国通貨により表示されている場合文書作成時の本邦通貸に換算した金額
(例) 債権売買契約書
A債権米貨10,000ドル(第15号文書)130万円
(注) 米貨(ドル)は基準外国為替相場により、その他の外国通貨は裁定外国為替相場により、それぞれ本邦通貨に換算する。
第25条 通則4のホの(一)に規定する「単価及び数量、記号その他によりその契約金額等の計算をすることができるとき」とは、当該文書に記載されている単価及び数量、記号等により、その契約金額等の計算をすることができる場合をいう。(昭59間消3−24、平元間消3−15改正)
2 通則4のホの(二)に規定する「契約金額が明らかであるとき」とは、第1号文書又は第2号文書に当該文書に係る契約についての契約金額の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書を特定できる記載事項があることにより、当事者間において当該契約についての契約金額を明らかにできる場合をいう。また、「契約金額の計算をすることができるとき」とは、第1号文書又は第2号文書に当該文書に係る契約についての単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書(以下この項において「見積書等」という。)を特定できる記載事項があることにより、当該見積書等の記載事項又は当該見積書等と当該第1号文書又は第2号文書の記載事項とに基づき、当事者間において当該契約についての契約金額の計算をすることができる場合をいう。
なお、通則4のホの(二)のかっこ書の規定により当該第1号文書又は第2号文書に引用されている文書が課税物件表の課税物件欄に掲げられている文書に該当するものであるときは、通則4のホの(二)の規定の適用はないのであるから留意する。(昭59間消3−24追加、平元間消3−15改正)
3 通則4のホの(三)に規定する「当該有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該売上代金に係る受取金額が明らかであるとき」とは、売上代金として受け取る有価証券の受取書に受け取る有価証券を特定できる事項の記載があることにより、当事者間において当該有価証券の券面金額が明らかである場合をいい、「当該売上代金に係る受取金額の記載のある支払通知書、請求書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該売上代金に係る受取金額が明らかであるとき」とは、売上代金として受け取る金銭又は有価証券の受取書に受取金額の記載がある文書を特定できる事項の記載があることにより、当事者間において授受した金額が明らかである場合をいう。(昭59間消3−24、平元間消3−15改正)
第26条 予定金額等が記載されている文書の記載金額の計算は、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。
(1) 記載された契約金額等が予定金額又は概算金額である場合 予定金額又は概算金額
(例)
予定金額 | 250万円 | 250万円 |
概算金額 | 250万円 | 250万円 |
約 | 250万円 | 250万円 |
(2) 記載された契約金額等が最低金額又は最高金額である場合 最低金額又は最高金額
(例)
最低金額 | 50万円 | 50万円 |
50万円以上 | 50万円 | |
50万円超 | 50万1円 | |
最高金額 | 100万円 | 100万円 |
100万円以下 | 100万円 | |
100万円未満 | 99万9,999円 |
(3) 記載された契約金額等が最低金額と最高金額である場合最低金額
(例)
50万円から100万円まで 50万円
50万円を超え100万円以下 50万1円
(4) 記載されている単価及び数量、記号その他によりその記載金額が計算できる場合において、その単価及び数量等が、予定単価又は予定数量等となっているとき (1)から(3)までの規定を準用して算出した金額
(例)
予定単価1万円、予定数量100個 100万円
概算単価1万円、概算数量100個 100万円
予定単価1万円、最低数量100個 100万円最高単価1万円、最高数量100個 100万円
単価1万円で50個から100個まで 50万円
第27条 契約書に、その契約の一部についての契約金額のみが記載されている場合には、当該金額を記載金額とする。
(例) 請負契約書に、「A工事100万円。ただし、附帯工事については実費による。」と記載したもの
(第2号文書)100万円
第28条 契約書に記載された金額であっても、契約金額とは認められない金額、例えば手付金額又は内入金額は、記載金額に該当しないものとして取り扱う。
なお、契約書に100万円を超える手付金額又は内入金額の受領事実が記載されている場合には、当該文書は、通則3のイ又はハのただし書の規定によって第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)に該当するものがあることに留意する。(平元間消3−15改正)
第29条 月単位等で金額を定めている契約書で、契約期間の記載があるものは当該金額に契約期間の月数等を乗じて算出した金額を記載金額とし、契約期間の記載のないものは記載金額がないものとして取り扱う。
なお、契約期間の更新の定めがあるものについては、更新前の期間のみを算出の根基とし、更新後の期間は含まないものとする。
(例) ビル清掃請負契約書において、「清掃料は月10万円、契約期間は1年とするが、当事者異議なきときは更に1年延長する。」と記載したもの記載金額120万円 (10万円×12月) の第2号文書
第30条 契約金額を変更する契約書(次項に該当するものを除く。)については、変更後の金額が記載されている場合(当初の契約金額と変更金額の双方が記載されていること等により、変更後の金額が算出できる場合を含む。)は当該変更後の金額を、変更金額のみが記載されている場合は当該変更金額をそれぞれ記載金額とする。(平元間消3−15改正)
(例) 土地売買契約変更契約書において
1 当初の売買金額100万円を10万円増額(又は減額)すると記載したもの(第1号文書)110万円(又は90万円)
2 当初の売買金額を10万円増額(又は減額)すると記載したもの(第1号文書)10万円
2 契約金額を変更する契約書のうち、通則4のニの規定が適用される文書の記載金額は、それぞれ次のようになるのであるから留意する。
なお、通則4のニに規定する「当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり」とは、契約金額等の変更の事実を証すべき文書(以下「変更契約書」という。)に変更前の契約金額等を証明した文書(以下「変更前契約書」という。)の名称、文書番号又は契約年月日等変更前契約書を特定できる事項の記載があること又は変更前契約書と変更契約書とが一体として保管されていること等により、変更前契約書が作成されていることが明らかな場合をいう。(平元間消3−15追加)
(1) 契約金額を増加させるものは、当該契約書により増加する金額が記載金額となる。
(例) 土地の売買契約の変更契約書において、当初の売買金額1,000万円を100万円増額すると記載したもの又は当初の売買金額1,000万円を1,100万円に増額すると記載したもの (第1号文書)100万円
(2) 契約金額を減少させるものは、記載金額のないものとなる。
(例) 土地の売買契約の変更契約書において、当初の売買金額1,000万円を100万円減額すると記載したもの又は当初の売買金額1,100万円を1,000万円に減額すると記載したもの (第1号文書)記載金額なし
(注) 変更前契約書の名称等が記載されている文書であっても、変更前契約書が現実に作成されていない場合は、第1項の規定が適用されるのであるから留意する。
第31条 契約金額の内訳を変更又は補充する契約書のうち、原契約書の契約金額と総金額が同一であり、かつ、単に同一号中の内訳金額を変更又は補充するにすぎない場合の当該内訳金額は、記載金額に該当しないものとする。
なお、この場合であっても、当該変更又は補充契約書は、記載金額のない契約書として課税になるのであるから留意する。
(例) 工事請負変更契約書において、当初の請負金額A工事200万円、B工事100万円をA工事100万円、B工事200万円に変更すると記載したもの 記載金額のない第2号文書
第32条 源泉徴収義務者又は特別徴収義務者が作成する受取書等の記載金額のうちに、源泉徴収又は特別徴収に係る税金額を含む場合において、当額税金額が記載されているときは、全体の記載金額から当該税金額を控除したのちの金額を記載金額とする。(平元間消3−15改正)
第33条 第1号文書又は第2号文書と第15号文書又は第17号文書とに該当する文書で、通則3のイの規定により第1号文書又は第2号文書として当該文書の所属が決定されたものが次の一に該当するときは、非課税文書とする。(平元間消3−15、平26課消3-21改正)
(1) 課税物件表の第1号又は第2号の課税事項と所属しないこととなった号の課税事項とのそれぞれについて記載金額があり、かつ、当該記載金額のそれぞれが1万円未満(当該所属しないこととなった号が同表第17号であるときは、同号の記載金額については5万円未満)であるとき。
(例) 9千円の請負契約と8千円の債権売買契約とを記載している文書(第2号文書) 非課税
(2) 課税物件表の第1号又は第2号の課税事項と所属しないこととなった号の課税事項についての合計記載金額があり、かつ、当該合計金額が1万円未満のとき。
(例) 請負契約と債権売買契約との合計金額が9千円と記載されている文書(第2号文書) 非課税
第34条 課税物件表第17号の非課税物件欄1に該当するかどうかを判断する場合には、通則4のイの規定により売上代金に係る金額とその他の金額との合計額によるのであるから留意する。(平元間消3−15、平26課消3-21改正)
(例) 貸付金元金4万円と貸付金利息1万円の受取書(第17号の1文書)記載金額は5万円となり非課税文書には該当しない。
第35条 契約書等に「無償」又は「0円」と記載されている場合の当該「無償」又は「0円」は、当該契約書等の記載金額に該当しないものとする。