第3節 資産の時価評価損益等

(通算制度の開始に伴う時価評価資産等に係る時価の意義)

12の7−3−1 法第64条の11《通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益》の規定の適用に当たっては、次による。(令4年課法2−14「五十」により追加)

(1) 同条第1項に規定する時価評価資産(以下12の7−3−7までにおいて「時価評価資産」という。)の「その時の価額」は、当該時価評価資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡されるときに通常付される価額によるのであるが、次に掲げる資産について、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる方法その他合理的な方法により当該資産のその時の価額を算定しているときは、課税上弊害がない限り、これを認める。

イ 減価償却資産

(イ) 令第13条第1号から第7号まで《減価償却資産の範囲》に掲げる減価償却資産9−1−19《減価償却資産の時価》に定める方法により計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法

(ロ) 同条第8号及び第9号に掲げる減価償却資産 当該減価償却資産の取得価額を基礎としてその取得の時から通算開始直前事業年度(法第64条の11第1項に規定する通算開始直前事業年度をいう。以下同じ。)終了の時まで旧定額法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法

ロ 土地 当該土地につきその近傍類地の売買実例を基礎として合理的に算定した価額又は当該土地につきその近傍類地の公示価格等(地価公示法第8条《不動産鑑定士の土地についての鑑定評価の準則》に規定する公示価格又は国土利用計画法施行令第9条第1項《基準地の標準価格》に規定する標準価格をいう。)から合理的に算定した価額をもって当該土地の価額とする方法

ハ 有価証券 9−1−8《市場有価証券等の価額》、9−1−13《市場有価証券等以外の株式の価額》、9−1−14《市場有価証券等以外の株式の価額の特例》又は9−1−15《企業支配株式等の時価》に定める方法に準じた方法によって算定した価額をもって当該有価証券の価額とする方法

ニ 金銭債権

(イ) その一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれる金銭債権当該金銭債権の額から当該金銭債権につき法第52条第1項《貸倒引当金》の規定を適用した場合に同項の規定により計算される個別貸倒引当金繰入限度額に相当する金額を控除した金額をもって当該金銭債権の価額とする方法

(ロ) (イ)以外の金銭債権 当該金銭債権の帳簿価額をもって当該金銭債権の価額とする方法

ホ 繰延資産

(イ) 令第14条第1項第1号から第5号まで《繰延資産の範囲》に掲げる繰延資産 当該繰延資産の帳簿価額をもって当該繰延資産の価額とする方法

(ロ) 同項第6号に掲げる繰延資産 当該繰延資産の額を基礎としてその支出の時から通算開始直前事業年度終了の時まで令第 64条第1項第2号《繰延資産の償却限度額》の規定により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該繰延資産の価額とする方法

(注) この場合における償却期間は、8−2−1《効果の及ぶ期間の測定》から8−2−5《公共下水道に係る受益者負担金の償却期間の特例》までに定める償却期間による。

(2) 法第64条の11第2項に規定する株式又は出資の「その時の価額」は、当該株式又は出資がその時において譲渡されるときに通常付される価額によるのであるが、当該株式又は出資について、(1)ハに掲げる方法その他合理的な方法によりその時の価額を算定しているときは、課税上弊害がない限り、これを認める。

(最初通算事業年度に離脱した法人の時価評価損益等)

12の7−3−2 法人が、当該法人に係る法第64条の9第1項《通算承認》に規定する親法人の最初通算事業年度(当該法人が同条第10項第1号の規定の適用を受ける法人である場合には、当該親法人の最初通算事業年度の翌事業年度)において、法第64条の10第6項《通算制度の取りやめ等》の規定により通算承認の効力を失ったため通算法人でなくなった場合であっても、法第64条の11第1項《通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益》の規定によりその通算開始直前事業年度終了の時に有する時価評価資産について益金の額に算入した評価益の額又は損金の額に算入した評価損の額は、当該通算開始直前事業年度又はその後の各事業年度のいずれにおいても修正は行わないことに留意する。(令4年課法2−14「五十」により追加、令5年課法2−8「七」により改正)

(注) 法第61条の11第1項《完全支配関係がある法人の間の取引の損益》の譲渡利益額若しくは譲渡損失額、法第63条第4項《リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度》の収益の額及び費用の額又は次に掲げる規定により益金の額に算入される特別勘定の金額についても、同様とする。

1 措置法第64条の2第11項《収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》

2 措置法第65条第3項《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》において準用される措置法第64条の2第11項

3 措置法第65条の8第11項《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》

4 措置法第66条の13第8項《特定事業活動として特別新事業開拓事業者の株式の取得をした場合の課税の特例》

(時価評価法人の時価評価すべき資産−通算制度の開始)

12の7−3−3 法第64条の9第2項《通算承認》に規定する他の内国法人(法第64条の11第1項《通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益》に規定する内国法人に該当するものに限る。)が申請特例年度開始の日の前日の属する事業年度終了の時において、時価評価資産を有しないが令第131条の13第2項第2号、第3号又は第4号《時価評価資産等の範囲》に掲げるものを有する場合には、当該申請特例年度終了の日の属する事業年度終了の時において当該他の内国法人の有する時価評価資産につき法第64条の11第1項の規定の適用があることに留意する。(令4年課法2−14「五十」により追加)

(注) 関連法人(法第64条の9第10項第1号に規定する時価評価法人が発行済株式又は出資を直接又は間接に保有する他の内国法人をいい、同号に規定する時価評価法人に該当する法人を除く。)が申請特例年度終了の日の属する事業年度終了の時において時価評価資産を有するときであっても、当該時価評価資産については法第64条の11第1項の規定の適用はない。

(時価評価資産から除かれる資産の範囲)

12の7−3−4 令第131条の15第1項第1号《通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益》の規定の適用上、同号ハに掲げる規定の適用を受けた減価償却資産には、10−3−3の後段《工事負担金を受けた事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等》の取扱いにより圧縮記帳をした減価償却資産が含まれる。(令4年課法2−14「五十」により追加)

(一括償却資産に係る時価評価益の計算)

12の7−3−5 法人の有する資産が令第131条の15第1項第4号又は第5号《通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益》に掲げる資産に該当するかどうかを判定する場合には、当該資産が令第133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》の規定の適用を受けているものであるときであっても、当該資産を令第131条の15第1項第4号に規定する単位に区分した後のそれぞれの資産ごとに判定することに留意する。(令4年課法2−14「五十」により追加)

(注) この場合において、同号及び同項第5号に規定する帳簿価額は零として、同項第4号に規定する1,000万円に満たないかどうかの判定及び同項第5号に規定する資本金等の額の2分の1に相当する金額又は1,000万円のいずれか少ない金額に満たないかどうかの判定を行うこととなる。

(時価評価時に時価評価資産から除かれる資産を判定する場合の資本金等の額)

12の7−3−6 法人が時価評価資産を有するかどうかを判定する場合における令第131条の15第1項第5号《通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益》に規定する「資本金等の額」は、通算開始直前事業年度終了の時の資本金等の額となることに留意する。(令4年課法2−14「五十」により追加)

(株式等保有法人が有する子法人の株式等の時価評価損益)

12の7−3−7 法第64条の11第2項《通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益》に規定する株式等保有法人(以下12の7−3−7において「株式等保有法人」という。)については、次に掲げる場合に該当する場合であっても、同項の規定の適用があることに留意する。(令4年課法2−14「五十」により追加)

(1) 同項に規定する内国法人が、その通算開始直前事業年度終了の時において時価評価資産を有していない場合

(2) 当該株式等保有法人が、当該内国法人の通算開始直前事業年度終了の時において、同条第1項各号に掲げる法人に該当する場合又は時価評価資産を有していない場合