第12章の5 リース取引及び賃貸借取引

(資産の賃貸借の範囲)

12の5−1−1 法第64条の2第3項《リース取引に係る所得の金額の計算》の「資産の賃貸借」には、民法第601条《賃貸借》の規定により効力を生ずることとなる契約に基づく行為のほか、資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する行為も含まれることに留意する。(令7年課法2−7「八」により追加)

(解除をすることができないものに準ずるものの意義)

12の5−1−2 法第64条の2第3項第1号《リース取引に係る所得の金額の計算》に規定する「これに準ずるもの」とは、例えば、次に掲げるものをいう。(平10年課法2−15「4」により追加、平14年課法2−1「三十二」、平15年課法2−7「四十五」、平19年課法2−17「二十六」、令7年課法2−7「八」により改正)

(1) 資産の賃貸借に係る契約に解約禁止条項がない場合であって、賃借人が契約違反をした場合又は解約をする場合において、賃借人が、当該賃貸借に係る賃貸借期間のうちの未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として100分の90以上)を支払うこととされているもの

(2) 資産の賃貸借に係る契約において、当該賃貸借期間中に解約をする場合の条項として次のような条件が付されているもの

イ 賃貸借資産(当該賃貸借の目的となる資産をいう。以下この節において同じ。)を更新するための解約で、その解約に伴いより性能の高い機種又はおおむね同一の機種を同一の賃貸人から賃貸を受ける場合は解約金の支払を要しないこと。

ロ イ以外の場合には、未経過期間に対応するリース料の額の合計額(賃貸借資産を処分することができたときは、その処分価額の全部又は一部を控除した額)を解約金とすること。

(リース取引の判定)

12の5−1−3 資産の賃貸借が法第64条の2第3項各号《リース取引に係る所得の金額の計算》に掲げる要件に該当するかどうかを判定する場合において、当該資産の賃貸借が次のいずれかに該当するときは、当該資産の賃貸借は、同項第2号に掲げる要件に該当することに留意する。(令7年課法2−7「八」により追加)

(1) 賃貸人の会計リース料の現在価値が、原資産の現金購入価額のおおむね90%以上であること。

(2) 賃貸人の会計リース期間が、原資産の経済的耐用年数のおおむね75%以上であること(原資産の特性、経済的耐用年数の長さ、原資産の中古市場の存在等を考慮した場合に、(1)による判定が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く。)。

(注)1 本文(1)及び(2)の次に掲げる用語の意義は、それぞれ次による。以下この章において同じ。

(1) 賃貸人の会計リース料 賃借人が賃貸人の会計リース期間中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払であり、リース(2−1−1ただし書の(2)(注)(1)《収益の計上の単位の通則》に定めるリースをいう。以下この章において同じ。)において合意された使用料をいう。ただし、残価保証(リース期間(リース契約において定められた賃貸借期間をいう。以下この章において同じ。)終了の時に賃貸借資産の処分価額が当該リースに係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を当該リースに係る賃借人その他の者がその賃貸人に支払うことにつき保証がされている場合における当該保証をいう。以下この章において同じ。)がある場合には、当該残価保証の額を含むものとし、契約におけるリースを構成しない部分に配分する対価及び将来の業績等により変動する使用料が含まれる場合には、これを含まないものとする。

(2) 原資産 2−1−1ただし書の(2)(注)(2)に定める原資産をいう。

(3) 賃貸人の会計リース期間 2−1−29(注)4《賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期》に定める賃貸人の会計リース期間をいう。

(4) 経済的耐用年数 資産の賃貸借の時における賃貸借資産の性能、規格、陳腐化の状況等を考慮して見積もった経済的使用可能予測期間を用いて計算した年数をいう。

2 賃借人が本文の判定を行う場合には、それぞれ次のとおりとする。

(1) 本文(1)の「賃貸人の会計リース料」を次のとおり読み替える。

賃借人の会計リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間(7−6の2−10の2(注)《賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い》に定める賃借人の会計リース期間をいう。以下この章において同じ。)中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払であり、次のもので構成される使用料をいう。以下この章において同じ。)

イ 賃借人の固定リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払であり、賃借人の変動リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払である使用料のうち、リース開始日以後に発生する事象又は状況の変化で時の経過によるもの以外のものにより変動する部分をいう。以下12の5−1−3において同じ。)以外の使用料をいう。)

ロ 指数又はレートに応じて決まる賃借人の変動リース料

ハ 残価保証に係る賃借人による支払見込額

ニ 賃借人が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額

ホ リースの解約に対する違約金の賃借人による支払額(賃借人の会計リース期間に賃借人による解約オプションの行使を反映している場合に限る。)

(2) 本文(2)の「賃貸人の会計リース期間」を「賃借人の会計リース期間」と読み替える。

(サブリースに係るリース取引の判定)

12の5−1−4 資産の賃貸借(サブリースに該当するものに限る。)が法第64条の2第3項各号《リース取引に係る所得の金額の計算》に掲げる要件に該当するかどうかを判定する場合において、当該資産の賃貸借が次のいずれかに該当するときは、当該資産の賃貸借は、12の5−1−3《リース取引の判定》にかかわらず、同項第2号に掲げる要件に該当することに留意する。(令7年課法2−7「八」により追加)

(1) サブリースにおける賃貸人の会計リース料の現在価値が、独立第三者間取引における使用権資産のリース料のおおむね90%以上であること。

(2) サブリースにおける賃貸人の会計リース期間が、ヘッドリースにおける残りの賃借人の会計リース期間のおおむね75%以上であること((1)による判定が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く。)。

(注)1 本文並びに本文(1)及び(2)の次に掲げる用語の意義は、それぞれ次による。以下この章において同じ。

(1) サブリース サブリース取引(原資産が賃借人から第三者(以下12の5−1−4において「サブリースの賃借人」という。)にさらにリースされ、当初の賃貸人と賃借人との間のリースが依然として有効である取引をいう。以下同じ。)における当初の賃借人とサブリースの賃借人との間のリースをいう。

(2) 独立第三者間取引における使用権資産のリース料 サブリース取引の対象とする原資産に係る使用権資産(7−5−3《減価償却資産の償却費の損金経理額に含まれるもの》に定める使用権資産をいう。)に係るサブリースのリース開始日に現金で全額が支払われるものと仮定した場合のリース料(当該サブリースを実行するために必要な知識を持つ自発的な独立第三者の当事者が行うと仮定した場合のリース料に限る。)をいう。

(3) ヘッドリース サブリース取引における、当初の賃貸人と賃借人との間のリースをいう。

2 サブリースの賃借人が本文の判定を行う場合には、本文(1)中「賃貸人の会計リース料」とあるのは「賃借人の会計リース料」と、本文(2)中「賃貸人の会計リース期間」とあるのは「賃借人の会計リース期間」と、それぞれ読み替える。

(これらに準ずるものの意義)

12の5−1−5 令第131条の2第1項《リース取引》に規定する「これらに準ずるもの」に該当する土地の賃貸借とは、例えば、次に掲げるものをいう。(平19年課法2−17「二十六」により追加、令7年課法2−7「八」により改正)

(1) 賃貸借期間の終了後、無償と変わらない名目的な賃料によって更新することが賃貸借契約において定められている賃貸借(契約書上そのことが明示されていない賃貸借であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)

(2) 賃貸人に対してその賃貸借に係る土地の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人の賃借料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっている賃貸借

(おおむね100分の90の判定等)

12の5−1−6 令第131条の2第2項《リース取引》に規定する「おおむね100分の90」の判定に当たっては、同項の「賃借人が支払う賃借料の金額の合計額」については、それぞれ次のとおり取り扱うことに留意する。(令7年課法2−7「八」により追加)

(1) 資産の賃貸借に係る契約等において、賃借人が賃貸借資産を購入する権利を有し、当該権利の行使が確実であると認められる場合には、当該権利の行使により購入するときの購入価額を加算する。

(注) この場合において、その契約書等に当該購入価額についての定めがないときは、残価(賃貸人におけるリース料の額の算定に当たって賃貸借資産の取得価額及びその取引に係る付随費用(賃貸借資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。)の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額をいう。)に相当する金額を購入価額とする。

(2) 資産の賃貸借に係る契約等において、中途解約に伴い賃貸借資産を賃貸人が処分し、未経過期間に対応するリース料の額からその処分価額の全部又は一部を控除した金額を賃借人が支払うこととしている場合には、当該全部又は一部を控除した金額に相当する金額を加算する。

(3) 賃貸借資産の賃貸人に対して補助金等(国又は地方公共団体等から交付を受ける補助金又は助成金等をいい、その交付に当たり当該賃貸借資産に係るリース料の減額が条件とされているものに限る。)が交付される場合であっても、当該リース料の減額部分に相当する金額は、控除しない。

(注) 当該リース料の減額部分に相当する金額は、7−6の2−9《賃借人におけるリース資産の取得価額》の「賃借人におけるリース資産の取得価額」に含まれない。

12の5−1−2(1)《解除をすることができないものに準ずるものの意義》に定める「おおむね全部」の判定並びに12の5−1−3(注)2《リース取引の判定》により読み替えられた場合の同通達(1)に定める「おおむね90%以上」の判定及び12の5−1−4(注)2《サブリースに係るリース取引の判定》により読み替えられた場合の同通達(1)に定める「おおむね90%以上」の判定に当たっても、同様とする。

(注) 同項に規定する「賃貸借期間」には、再リースを行う意思が明らかな場合の当該再リースに係る賃貸借期間を含める。

(リースを構成する部分とリースを構成しない部分とがある場合の取扱い)

12の5−1−7 リースを含む契約にリースを構成する部分とリースを構成しない部分とがある場合において、次に掲げる方法により経理しているときは、当該方法により区分された後の当該リースを構成する部分に係る資産の賃貸借について法第64条の2《リース取引に係る所得の金額の計算》及び令第131条の2《リース取引》の規定並びにこの節及び第12章の5第2節《金銭の貸借とされるリース取引》の取扱いを適用する。(令7年課法2−7「八」により追加)

(1) リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに分ける方法

(2) 対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目ごと又は性質及び当該法人の営業における用途が類似する原資産のグループごとに、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とを分けずに、リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを合わせてリースを構成する部分とする方法