第12章 繰越欠損金

(繰越欠損金の損金算入の順序)

12−1−1 法第57条第1項《欠損金の繰越し》の規定による欠損金額の損金算入は、当該事業年度に繰り越された欠損金額が2以上の事業年度において生じたものからなる場合には、そのうちもっとも古い事業年度において生じた欠損金額に相当する金額から順次損金算入を行うものであることに留意する(令4年課法2−14「三十四」により改正)。

12−1−2 削除(平14年課法2−1「二十九」により追加、平15年課法2−22「十二」、平19年課法2−3「二十七」により改正、平22年課法2−1「二十四」により削除)

(共同で事業を行うための合併等の判定)

12−1−3 法第57条第3項《欠損金の繰越し》に規定する「共同で事業を行うための合併」に該当するかどうかの判定に当たっては、1−4−4《従業者の範囲》から1−4−7《特定役員の範囲》までの取扱いを準用する。
 同条第4項に規定する「共同で事業を行うための適格組織再編成等」に該当するかどうかの判定に当たっても、同様とする。(平14年課法2−1「二十九」により追加、平15年課法2−22「十二」、平22年課法2−1「二十四」、平29年課法2−17「十三」、令4年課法2−14「三十四」により改正)

(法人を新設する適格合併に係る被合併法人が3以上ある場合の取扱い)

12−1−4 法人を新設する適格合併が行われた場合において、当該適格合併に係る被合併法人が3以上あるときにおける法第57条第3項《欠損金の繰越し》の規定の適用については、被合併法人ごとに、それぞれ他の被合併法人との間でそれぞれ同項の規定の適用があるかどうかを判定することに留意する。
 この場合において、被合併法人と他の被合併法人とのいずれかの間で同項の規定の適用がある場合には、その適用のある法人間の同項に規定する「最後に支配関係を有することとなつた日」のうち最も遅い日の属する事業年度が、同項各号の支配関係事業年度となることに留意する。(平14年課法2−1「二十九」により追加、平22年課法2−1「二十四」、令4年課法2−14「三十四」により改正)

(最後に支配関係を有することとなった日)

12−1−5 次に掲げる規定の「最後に支配関係を有することとなつた日」とは、それぞれ次に定める日をいうことに留意する。(平22年課法2−1「二十四」により追加、平25年課法2−4「三」、令4年課法2−14「三十四」により改正)

(1) 法第57条第3項第1号《欠損金の繰越し》及び同条第4項第1号 内国法人と支配関係法人等(同条第3項に規定する被合併法人等及び同条第4項に規定する支配関係法人をいう。)との間において、同条第3項の「当該適格合併の日」、同項の「当該残余財産の確定の日」又は同条第4項の「適格組織再編成等の日」のそれぞれの日の直前まで継続して支配関係がある場合のその支配関係を有することとなった日

(注) 令第112条第3項第5号、同条第4項第2号及び同条第7項《適格合併等による欠損金の引継ぎ等》の「最後に支配関係を有することとなつた日」についても、同様とする。

(2) 法第57条第8項 通算親法人と通算法人との間において、同項の「通算承認の効力が生じた日」の直前まで継続して支配関係がある場合のその支配関係を有することとなった日

(注) 令第112条の2第3項第2号《通算完全支配関係に準ずる関係等》、同条第5項において準用する令第112条第7項及び令第113条第13項《引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例》において準用する同条第8項第1号に規定する「最後に支配関係を有することとなつた日」についても、同様とする。

(事業を移転しない適格分割等)

12−1−6 分割法人又は現物出資法人が分割承継法人又は被現物出資法人に対してその有する株式のみを移転する適格分割又は適格現物出資は、令第113条第5項《欠損金の制限措置の計算の特例》の「事業を移転しない適格分割若しくは適格現物出資」に該当する。(平22年課法2−1「二十四」により追加)

(共同事業に係る要件の判定)

12−1−7 法第57条第8項《欠損金の繰越し》に規定する「共同で事業を行う場合として政令で定める場合」に該当するかどうかの判定(以下12−1−8において「共同事業に係る要件の判定」という。)に当たっては、1−4−4《従業者の範囲》から1−4−7《特定役員の範囲》までの取扱いを準用する。(令4年課法2−14「三十四」により追加)

(完全支配関係グループが通算グループに加入する場合のいずれかの主要な事業の意義)

12−1−8 令第112条の2第4項第1号《通算完全支配関係に準ずる関係等》に規定する「いずれかの主要な事業」とは、例えば、完全支配関係グループ(通算グループ(通算親法人及び当該通算親法人との間に当該通算親法人による通算完全支配関係を有する法人によって構成されたグループをいう。以下同じ。)に属する通算法人との間に同条第3項各号の支配関係のいずれもない法人及び当該法人との間に当該法人による完全支配関係(法第64条の9第1項《通算承認》に規定する政令で定める関係に限る。)を有する法人によって構成されたグループをいう。)が当該通算グループに加入する場合にあっては、当該完全支配関係グループに属するいずれかの法人にとって主要な事業ではなく、当該完全支配関係グループにとって主要な事業であることをいうのであり、当該完全支配関係グループにとって主要な事業が複数ある場合の共同事業に係る要件の判定に当たっては、そのいずれかの事業を令第112条の2第4項第1号に規定する通算前事業として同号に掲げる要件に該当するかどうかの判定を行うことに留意する。(令4年課法2−14「三十四」により追加)

(新たな事業の開始の意義)

12−1−9 法第57条第8項《欠損金の繰越し》に規定する「新たな事業を開始した」とは、同項の通算法人が当該通算法人において既に行っている事業とは異なる事業を開始したことをいうのであるから、例えば、既に行っている事業において次のような事実があっただけではこれに該当しない。(令4年課法2−14「三十四」により追加)

(1) 新たな製品を開発したこと。

(2) その事業地域を拡大したこと。

(新設法人であるかどうかの判定の時期)

12−1−10 通算法人が法第57条第11項第3号括弧書《欠損金の繰越し》に規定する「当該内国法人が通算法人である場合において……事業年度でないときにおける当該内国法人」に該当するかどうかの判定(以下12−1−10において「新設法人判定」という。)は、当該通算法人及び他の通算法人(当該通算法人の同条第1項の規定の適用を受けようとする事業年度(以下12−1−10において「適用事業年度」という。)終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある法人に限る。)の適用事業年度終了の時の現況によるのであるが、通算親法人の事業年度の中途において通算承認の効力を失った通算法人のその効力を失った日の前日に終了する事業年度の新設法人判定についても、同様とする。(令4年課法2−14「三十四」により追加)