(返品債権特別勘定の設定)

9−6−4 出版業を営む法人のうち、常時、その販売する出版業に係る棚卸資産の大部分につき、一定の特約を結んでいるものが、雑誌(週刊誌、旬刊誌、月刊誌等の定期刊行物をいう。以下この款において同じ。)の販売に関し、その取次業者又は販売業者(以下この款においてこれらの者を「販売業者」という。)との間に、次の(1)及び(2)に掲げる事項を内容とする特約を結んでいる場合には、その販売した事業年度において9−6−5に定める繰入限度額以下の金額を損金経理により返品債権特別勘定に繰り入れることができる。(平10年課法2−7「十三」、平30年課法2−8「九」により改正)

(1) 各事業年度終了の時においてその販売業者がまだ販売していない雑誌(当該事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。以下この款において「店頭売れ残り品」という。)に係る売掛金に対応する債務を当該時において免除すること。

(2) 店頭売れ残り品を当該事業年度終了の時において自己に帰属させること。

(注)

1 一定の特約とは、次に掲げる事項を内容とする特約とする。

(1) 販売先からの求めに応じ、その販売した棚卸資産を当初の販売価額によって無条件に買い戻すこと。

(2) 販売先において、当該法人から棚卸資産の送付を受けた場合にその注文によるものかどうかを問わずこれを購入すること。

2 法人が当該事業年度において、店頭売れ残り品に係る返金負債勘定又は返品資産勘定を設けている場合には、その返金負債勘定の金額から返品資産勘定の金額を控除した金額については、損金経理により返品債権特別勘定に繰り入れたものとみなす。

(返品債権特別勘定の繰入限度額)

9−6−5 返品債権特別勘定の繰入限度額は、次に掲げるいずれかの金額とする。(平10年課法2−7「十三」、平30年課法2−8「九」により改正)

(1) 当該事業年度終了の時における雑誌の販売に係る売掛金(当該事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。)の帳簿価額の合計額に当該雑誌の返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の当該事業年度終了の時における価額に相当する金額を控除した金額

(2) 当該事業年度終了の日以前2月間における雑誌の販売の対価の額(当該事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。)の合計額に当該雑誌の返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の当該事業年度終了の時における価額に相当する金額を控除した金額

(注) 上記(1)又は(2)の返品率とは、買戻事業年度(当該事業年度及び当該事業年度開始の前1年以内に開始した各事業年度をいう。)における次の(1)に掲げる金額のうちに次の(2)に掲げる金額の占める割合をいう。

(1) 当該雑誌の販売対価の額の合計額

(2)9−6−4(注)1に規定する特約に基づく当該雑誌の買戻しに係る対価の額の合計額

(返品債権特別勘定の金額の益金算入)

9−6−6 返品債権特別勘定の金額は、その繰り入れた事業年度の翌事業年度の益金の額に算入する。(平10年課法2−7「十三」、平15年課法2−7「二十七」、令4年課法2−14「二十七」により改正)

(明細書の添付)

9−6−7 返品債権特別勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う事業年度の確定申告書に返品債権特別勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。(平10年課法2−7「十三」により改正)

(適格組織再編成に係る返品債権特別勘定の設定等)

9−6−8 9−1−6の5から9−1−6の7までの取扱いは、9−6−4に定める法人が適格分割等により分割承継法人等に返品債権特別勘定の設定の対象となる9−6−4(1)及び(2)に定める特約を結んでいる売掛金を移転する場合並びに適格組織再編成により合併法人等に返品債権特別勘定を引き継ぐ場合についてそれぞれ準用する。(平14年課法2−1「二十四」により追加、平22年課法2−1「二十一」により改正)