2−3−26 令第119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する専担者売買有価証券とは、いわゆるトレーディング目的で取得した有価証券をいうのであるから、基本的には、法人が、特定の取引勘定を設けて当該有価証券の売買を行い、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行し得る人材から構成された独立の専門部署(関係会社を含む。)により運用がされている場合の当該有価証券がこれに当たることに留意する。(平12年課法2−7「四」により追加)
2−3−27 令第119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する「短期売買目的で取得したものである旨……を帳簿書類に記載したもの(専担者売買有価証券を除く。)」(以下2−3−27において「短期売買有価証券」という。)とは、法人が、規則第27条の5第1項《短期売買有価証券に該当する旨の記載の方法》の規定に基づき、当該有価証券の取得の日に当該有価証券を売買目的有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券をいう。以下2−3−34までにおいて同じ。)に係る勘定科目により区分している場合の当該有価証券をいうことに留意する。(平12年課法2−7「四」により追加)
(注) 短期的に売買し、又は大量に売買を行っていると認められる場合の有価証券であっても、規則第27条の5第1項の規定に基づき区分していないものは、短期売買有価証券に該当しない。
2−3−28 令第119条の12第2号《売買目的有価証券の範囲》の規定に基づく信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨の帳簿書類への記載は、信託に係る契約を単位として行うことに留意する。(平12年課法2−7「四」により追加)
(注) その信託財産に属する有価証券を短期的に売買し、又は大量に売買していると認められる金銭の信託の信託財産に属する当該有価証券であっても、同号の規定に基づく帳簿書類への記載をしていない金銭の信託の信託財産に属する有価証券は、同号に掲げる売買目的有価証券に該当しない。
2−3−29 売買目的有価証券に係る令第119条の13第1項第1号から第3号まで《市場有価証券の時価評価金額》に規定する有価証券の区分及び法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する時価評価金額(以下2−3−29において「時価評価金額」という。)の算定に当たっては、それぞれ次のことに留意する。(平12年課法2−7「四」により追加、平15年課法2−7「八」、平19年課法2−17「五」、令2年課法2−17「三」により改正)
(1) 令第119条の13第1項第1号に規定する「その売買が主として金融商品取引法第2条第16項(定義)に規定する金融商品取引所……の開設する市場において行われている有価証券」であるかどうかは、その有価証券の売買取引が金融商品取引所(金融商品取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。以下2−3−29において同じ。)の開設する市場において最も活発に行われているかどうかにより判定する。この場合、当該市場において最も活発に行われているかどうか明らかでないものは、原則として、我が国における売買取引の状況により判定するものとするが、その有価証券が金融商品取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものの開設する市場において実際に取得されたものであるときは、同号に掲げる有価証券として取り扱って差し支えない。
(2) 同項第3号に規定する「その公表する価格がその有価証券の売買の価格の決定に重要な影響を与えている場合」とは、基本的には、ブローカー(銀行、証券会社等のように、金融資産の売買の媒介、取次ぎ若しくは代理の受託をする業者又は自己が買手若しくは売手となって店頭で金融資産の売買を成立させる業者をいう。以下この章において同じ。)の公表する価格又は取引システムその他の市場において成立した価格がその時における価額を表すものとして一般的に認められている状態にあることをいうのであるから、単に売買実例があることのみでは、当該重要な影響を与えている場合に該当しない。
(3) 同項第1号又は第3号の同一の区分に属する同一銘柄の有価証券について、当該各号に規定する価格が2以上の活発な市場に存する場合には、主要な市場(当該有価証券の取引の数量及び頻度が最も大きい市場をいう。以下2−3−29において同じ。)における価格をもって時価評価金額とする。ただし、これら2以上の活発な市場のうちいずれの市場が主要な市場に該当するかどうかが明らかでない場合には、これら2以上の活発な市場のうち最も有利な市場(取引に係る付随費用を考慮した上で、売却価格を最大化できる市場をいう。)の価格をもって時価評価金額とする。
2−3−30 令第119条の13第1項第1号《取引所売買有価証券の時価評価金額》に規定する「取引所売買有価証券」の同号に規定する「最終の気配相場の価格」は、その日における最終の売り気配と買い気配の仲値とする。ただし、当該売り気配又は買い気配のいずれか一方のみが公表されている場合には、当該公表されている最終の売り気配又は買い気配とする。(平12年課法2−7「四」により追加、平15年課法2−7「八」、平19年課法2−3「十」、平22年課法2−1「九」、令2年課法2−17「三」により改正)
(注)
1 法人が、転換社債型新株予約権付社債(募集事項において、社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在し得ないこと及び新株予約権が付された社債を当該新株予約権の行使時における出資の目的とすることをあらかじめ明確にしている新株予約権付社債をいう。)に係る最終の気配相場の価格として、取引所の定める基準値段(当該転換社債型新株予約権付社債について事業年度終了の日の翌日の呼値の制限値幅の基準となる価格をいう。)を使用しているときは、これを認める。
2 当該売り気配と買い気配の間の適切な価格を用いることとする旨及びその内容を予め定め、会計処理方針その他のものにより明らかにしている場合で、本文に定める方法に代えて当該予め定められた内容により決定される価格を継続して「最終の気配相場の価格」としているときは、これを認める。
2−3−31 令第119条の13第1項第3号《その他価格公表有価証券の時価評価金額》に規定する「当該事業年度終了の日における当該その他価格公表有価証券の最終の売買の価格」又は「最終の気配相場の価格」とは、同号に規定する価格公表者によって公表される次に掲げる価格をいうことに留意する。この場合、当該価格は、法人が、各事業年度において同一の方法により入手又は算出する価格によるものとし、その入手価格は通常の方法により入手可能なもので差し支えないものとする。(平12年課法2−7「四」により追加、平15年課法2−7「八」、平28年課法2−11「二」、令2年課法2−17「三」により改正)
(1) 複数の店頭市場の情報を集計し、提供することを目的として組織化された業界団体が公表した事業年度終了の日における最終の売買の価格(事業年度終了の日の社債の取引情報により証券業協会が公表する約定単価を基に当該法人が算定した平均値又は中央値を含む。)又は最終の気配相場の価格(事業年度終了の日の気配値に基づいて証券業協会が公表する公社債店頭売買参考統計値の平均値又は中央値を含む。)
(2) 金融機関又は証券会社間の市場、ディーラー間の市場、電子媒体取引市場のように、当該法人が随時売買又は換金を行うことができる取引システムにおいて成立する事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格
(3) ブローカーによって継続的に提示されている時価情報等のうち当該事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格(株式以外の有価証券については、当該ブローカーによって提示された合理的な方法により計算した価格を含む。)
(注) 気配相場に係る価格の取扱いは、2−3−30《取引所売買有価証券の気配相場》の取扱いを準用する。
2−3−32 令第119条の13第1項第1号から第4号まで《売買目的有価証券の時価評価金額》に規定する合理的な方法(以下2−3−34までにおいて「合理的な方法」という。)による同項各号に掲げる有価証券の当該事業年度終了の時の価額は、令和元年7月4日付企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」に定める算定方法などにより計算するのであるが、それぞれの方法による計算の基礎とする事項として用いられる市場価格、利率、信用度、株価変動性又は市場の需給動向等の経済指標などの指標は、客観的なものを最大限使用し、最も適切な金額となるよう計算することに留意する。(令2年課法2−17「三」により追加)
2−3−33 法人(金融機関等に該当するもの及び当該法人が属する企業集団の総資産の大部分を金融資産が占め、かつ、総負債の大部分を金融負債及び保険契約から生じる負債が占める場合の当該法人を除く。)が、令第119条の13第1項第1号から第4号まで《売買目的有価証券の時価評価金額》の規定により有価証券の価額を計算する場合において、取引金融機関、ブローカー又は情報ベンダー(投資に関する情報を提供することを業としている者で、時価情報等の提供を行っている者をいう。以下この章において同じ。)等の第三者から入手する価格が2−3−32《合理的な方法による価額の計算》の取扱いの例により計算されたものと認められるときは、これらの号に規定する合理的な方法により計算した金額に該当するものとする。(令2年課法2−17「三」により追加)
2−3−34 令第119条の13第2項《売買目的有価証券の時価評価金額》に規定する書類は、合理的な方法に当たるものとして採用した方法についてその採用に係る意思決定に関する資料及び合理的な方法による計算の基礎となる事項として用いられた市場価格、利率、信用度、株価変動性又は市場の需給動向等の経済指標などの指標が記載された資料が該当する。
なお、法人が2−3−33《第三者から入手した価格》の取扱いを適用する場合における令第119条の13第2項に規定する書類は、取引金融機関、ブローカー又は情報ベンダー等の第三者から入手する価格が記載された書類が該当する。(令2年課法2−17「三」により追加)