(通算子法人の通算離脱の時価評価と通算子法人株式の投資簿価修正の順序)

2−3−21の2 令第119条の3第5項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の規定の適用に当たっては、同項の規定の適用の対象となる株式を発行した同項の他の通算法人(以下2−3−21の7までにおいて「他の通算法人」という。)が法第64条の13第1項《通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価損益》の規定の適用を受ける場合には、同項の規定が適用されたことに基因して令第131条の18第2項《時価評価資産に関する他の規定の不適用等》の規定等により増額又は減額がされた後の当該他の通算法人の資産及び負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額を基礎として当該株式の一単位当たりの帳簿価額の計算を行うのであるから留意する。(令4年課法2−14「九」により追加)

(2以上の通算法人が通算子法人株式を有する場合の投資簿価修正の順序)

2−3−21の3 通算終了事由(令第119条の3第5項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》に規定する通算終了事由をいう。以下同じ。)が生じたことに伴い2以上の通算法人がその有する同項の規定の適用の対象となる他の通算法人の株式につき同項の規定により一単位当たりの帳簿価額の計算を行うこととなる場合には、これらの通算法人のうち、通算親法人から連鎖する資本関係が最も下位であるものについてこれを行い、順次、その上位のものについてこれを行うことに留意する。(令4年課法2−14「九」により追加)

(資産調整勘定対応金額等の計算が困難な場合の取扱い)

2−3−21の4 令第119条の3第6項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の規定を適用する場合には、他の通算法人の対象株式(同条第7項第2号に規定する対象株式をいう。以下2−3−21の8までにおいて同じ。)の取得ごとに資産調整勘定対応金額(同条第7項第3号に規定する資産調整勘定対応金額をいう。以下2−3−21の8までにおいて同じ。)又は負債調整勘定対応金額(同条第7項第4号に規定する負債調整勘定対応金額をいう。以下2−3−21の8までにおいて同じ。)を計算し、当該内国法人又は同条第6項に規定する他の株式等保有法人(以下2−3−21の4において「他の株式等保有法人」という。)のうち、いずれかの法人がその計算された資産調整勘定対応金額及び負債調整勘定対応金額の計算の基礎となる事項を記載した書類を保存していることが必要となるのであるが、その取得後における当該対象株式の保有割合が低い又はその取得の時期が古いなどの理由により、当該取得の時における資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額の計算が困難であると認められる場合において、当該取得の時において計算される資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額を零とし、当該取得後に追加取得した当該他の通算法人の対象株式で資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額の計算が困難であると認められる場合以外のものについて各追加取得の時における資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額を計算し、これらの計算された資産調整勘定対応金額及び負債調整勘定対応金額の計算の基礎となる事項を記載した書類を保存しているとき(同条第6項に規定する他の要件を満たす場合に限る。)は、課税上弊害がない限り、同項の規定の適用を受けることができるものとする。(令4年課法2−14「九」により追加)

(注)

1 負債調整勘定対応金額が計算されることが見込まれる場合に、その計算が困難であるとして、これを零としているときには、課税上弊害があるため、本文の取扱いの適用はないことに留意する。

2 本文の取扱いを適用する場合には、零とする資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額の計算の基礎となる事項を記載した書類を当該内国法人及び他の株式等保有法人のいずれにおいても保存していない場合であっても、同項に規定する他の要件を満たすときは、同項の規定の適用があることに留意する。

(資産調整勘定対応金額等がある場合の加算措置の対象となる対象株式の取得)

2−3−21の5 資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額は、当該内国法人又は通算完全支配関係発生日(令第119条の3第7項第1号《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》に規定する通算完全支配関係発生日をいう。以下2−3−21の5において同じ。)において他の通算法人の株式を有する法人(当該内国法人を除く。以下2−3−21の5において「他の取得法人」という。)が通算完全支配関係発生日以前に取得をした当該他の通算法人の対象株式について計算するのであるから、通算終了事由が生じた時において、当該内国法人又は他の取得法人が通算完全支配関係発生日以前に取得をした当該他の通算法人の株式を有していない場合であっても、その取得をした対象株式は、資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額の計算の対象となることに留意する。(令4年課法2−14「九」により追加)

(資産調整勘定対応金額等の計算における負債調整勘定の金額の取扱い)

2−3−21の6 資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額は、他の通算法人の対象株式の取得の時において、当該他の通算法人を被合併法人とし、その取得をした法人を合併法人とする非適格合併(適格合併に該当しない合併をいう。)が行われたものとみなして法第62条の8第1項《非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等》の規定を適用する場合に同項の資産調整勘定の金額として計算される金額又は同条第3項の規定を適用する場合に同項に規定する負債調整勘定の金額(以下2−3−21の6において「差額負債調整勘定の金額」という。)として計算される金額を基礎として計算するのであるが、これらの金額の計算上、同条第1項の時価純資産価額の計算の基礎となる負債の額には、同条第2項第1号に規定する退職給与債務引受額及び同項第2号に規定する短期重要債務見込額の金額を含まないことに留意する。(令4年課法2−14「九」により追加)

(資産調整勘定対応金額等の計算の基礎となる資産及び負債)

2−3−21の7 資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額は、原則として、他の通算法人の対象株式を取得した時に当該他の通算法人が有する資産及び負債の価額を基礎として計算するのであるが、例えば、当該取得した時の直前の月次決算期間又は会計期間の終了の日に当該他の通算法人が有する資産及び負債の同日における価額を基礎として計算している場合には、同日に有する資産及び負債の内訳と当該対象株式の取得時に有する資産及び負債の内訳に著しい差異があるなどの課税上弊害がない限り、これを認める。(令4年課法2−14「九」により追加)

(資産調整勘定対応金額等の計算の基礎となる対象株式の取得価額)

2−3−21の8 資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額の計算の基礎となる対象株式(令第119条第1項第1号《有価証券の取得価額》に掲げる有価証券に限る。)の取得価額は、同号の規定により計算することに留意する。この場合において、当該対象株式の取得の時期が古いなどの理由により、購入手数料その他当該対象株式の購入のために要した費用の把握が困難であると認められるときには、その購入の代価を当該対象株式の取得価額として資産調整勘定対応金額又は負債調整勘定対応金額を計算することができる。(令4年課法2−14「九」により追加)

(帳簿価額のうち最も大きいものの意義)

2−3−22 法人が対象配当等の額及び令第119条の3第10項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》に規定する同一事業年度内配当等の額(以下2−3−22の8までにおいて「同一事業年度内配当等の額」という。)を受ける場合における同項の「帳簿価額のうち最も大きいもの」とは、それぞれの配当等の額に係る基準時の直前における帳簿価額のうち最も大きいものをいうことに留意する。(平12課法2−7「四」により追加、平14課法2−1「九」により削除、令2年課法2−17「三」、令4年課法2−14「九」により改正)

(注) 法人が他の法人(同項に規定する他の法人をいう。以下2−3−22の9までにおいて同じ。)の発行する株式で2−3−17《2以上の種類の株式が発行されている場合の銘柄の意義》の取扱いによりそれぞれ異なる銘柄として令第119条の2第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》の規定の適用を受けるものを有する場合には、当該対象配当等の額及び同一事業年度内配当等の額に係る各基準時の直前における帳簿価額は、それぞれの銘柄の帳簿価額を合計した金額によることに留意する。

(外国子会社から受ける配当等がある場合の益金不算入相当額)

2−3−22の2 法人が他の法人から受ける対象配当等の額又は同一事業年度内配当等の額が措置法第66条の8第2項《内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例》の規定の適用を受けるものである場合の益金不算入相当額は、同項の規定の適用を受けないものとして法第23条の2第1項《外国子会社から受ける配当等の益金不算入》の規定により計算した場合の益金不算入相当額となることに留意する。(令2年課法2−17「三」により追加)

(帳簿価額から減算する金額のあん分)

2−3−22の3 法人が子会社株式簿価減額特例の適用を受ける場合において、当該法人が有する他の法人の株式(2−3−17《2以上の種類の株式の発行されている場合の銘柄の意義》の取扱いによりそれぞれ異なる銘柄として令第119条の2第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》の規定の適用を受けるものに限る。)の帳簿価額から減算する金額は、益金不算入相当額を対象配当等の額に係る基準時の直前におけるそれぞれの銘柄の帳簿価額の比によりあん分して計算した金額とする。(令2年課法2−17「三」により追加)

(基準時事業年度後に対象配当等の額を受ける場合の取扱い)

2−3−22の4 法人が他の法人から受ける対象配当等の額について、当該対象配当等の額に係る基準時の属する事業年度(以下2−3−22の4において「基準時事業年度」という。)終了の日後にこれを受ける場合には、その受ける対象配当等の額に基づき当該基準時事業年度に遡って子会社株式簿価減額特例の適用があることに留意する。ただし、当該対象配当等の額を受けることが確実であると認められる場合には、その受けることが確実であると認められる対象配当等の額に基づき当該基準時事業年度の確定申告において令第119条の3第10項又は第11項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の規定の適用を受けることとしても差し支えない。(令2年課法2−17「三」により追加、令4年課法2−14「九」により改正)

(内国株主割合が90%以上であることを証する書類)

2−3−22の5 令第119条の3第10項第1号《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の「当該期間を通じて当該割合が100分の90以上であることを証する書類」とは、設立の時の株主の状況及び当該設立の時から特定支配日(同号に規定する特定支配日をいう。)までの株主の異動の状況が確認できる書類のそれぞれをいうことから、例えば、これらの状況が確認できる商業登記簿謄本、株主名簿の写し、株式譲渡契約書又は有価証券台帳等はこれに該当する。(令2年課法2−17「三」により追加、令4年課法2−14「九」により改正)

(対象期間内に利益剰余金の額が増加した場合のその増加額を証する書類)

2−3−22の6 令第119条の3第10項第2号イ《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の「当該直前の当該他の法人の利益剰余金の額から当該貸借対照表に計上されている利益剰余金の額を減算した金額」を証する書類とは、同号イの他の法人の同号イの決議日等前に最後に終了した事業年度終了の日現在の利益剰余金の額及び同号イの対象配当等の額を受ける直前の時の利益剰余金の額がそれぞれ明らかとなる書類をいうのであるから、当該他の法人の当該最後に終了した事業年度の貸借対照表の写しのほか、例えば、当該他の法人の同号イの対象期間における利益の額を計算した書類(当該利益の額を一定の期間に分割して計算している場合には、各月の月次決算書等のその分割した各期間に係る利益又は損失の額を計算した書類)の写し(当該他の法人が当該対象期間において利益剰余金の処分を行っている場合には、当該写しのほか、損益金の処分表等のその処分の内容が明らかとなる書類の写し)は、これに該当する。
 同号イ(1)又は(2)に定める金額を証する書類についても、同様とする。(令4年課法2−14「九」により追加)

(他の法人等が外国法人である場合の円換算)

2−3−22の7 法人が令第119条の3第10項第2号、第11項及び第14項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の規定の適用を受ける場合において、他の法人又は同項に規定する関係法人が外国法人であるときにおけるこれらの規定の計算の基礎となる金額の円換算については、当該計算の基礎となる金額につき全て外貨建ての金額に基づき計算した金額について円換算を行う方法又は当該計算の基礎となる金額につき全て円換算後の金額に基づき計算する方法など、合理的な方法により円換算を行っている場合には、これを認める。(令2年課法2−17「三」により追加、令4年課法2−14「九」により改正)

(特定支配後増加利益剰余金額超過額に達するまでの金額)

2−3−22の8 法人が令第119条の3第11項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の規定の適用を受ける場合において、対象配当等の額及び同一事業年度内配当等の額の合計額が特定支配後増加利益剰余金額超過額(同項に規定する特定支配後増加利益剰余金額超過額をいう。以下2−3−22の8において同じ。)を超えているときは、当該特定支配後増加利益剰余金額超過額に達するまでの金額に当該対象配当等の額及び同一事業年度内配当等の額のいずれを優先して充てるかは、当該法人の選択による。(令2年課法2−17「三」により追加、令4年課法2−14「九」により改正)

(総平均法による場合の帳簿価額の減額の判定)

2−3−22の9 法人が対象配当等の額を受領することにより令第119条の4第1項《評価換え等があった場合の総平均法の適用の特例》の規定の適用を受ける場合において、令第119条の3第10項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》の規定の例により当該対象配当等の額に係る株式等(株式又は出資をいう。以下2−3−22の9において同じ。)の帳簿価額を減算するかどうかを判定するときは、その判定の基礎となる帳簿価額は、令第119条の4第1項の規定により評価換え等(同項に規定する評価換え等をいう。以下2−3−22の9において同じ。)の直前の帳簿価額とみなされる金額によることに留意する。(令2年課法2−17「三」により追加、令4年課法2−14「九」により改正)

(注) 当該対象配当等の額につき、同項後段においてその例によるものとされる令第119条の3第10項の規定が適用されないため当該対象配当等の額に係る株式等の帳簿価額が減額されない場合には、当該対象配当等の額の受領による評価換え等のあった時の属する事業年度については、令第119条の4第1項に規定する評価換前期間及び同項に規定する評価換後期間をそれぞれ一事業年度とみなさないこととして総平均法によりその一単位当たりの帳簿価額を算出して差し支えない。

(追加型株式投資信託に係る特別分配金の取扱い)

2−3−23 令第119条の3第19項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》に規定する「元本の払戻しに相当する金銭の交付」とは、いわゆる個別元本方式による公社債投資信託以外の追加型証券投資信託に係る特別分配金の支払をいうのであるから留意する。(平12年課法2−7「四」により追加、平14年課法2−1「九」、平15年課法2−7「八」、平17年課法2−14「四」、平19年課法2−3「十」、平22年課法2−1「九」、令2年課法2−17「三」、令4年課法2−14「九」により改正)

(注) 当該特別分配金は、元本の払戻しとしての性質を有するものであり、法第23条《受取配当等の益金不算入》の規定の適用の対象とならない。

2−3−24 削除(平12年課法2−7「四」により追加、平14年課法2−1「九」により削除)

(一株に満たない株式等を譲渡した場合等の原価)

2−3−25 法人が、令第119条の8の3《取得請求権付株式の取得等の対価として生ずる端数の取扱い》に規定する1株に満たない端数に相当する部分、令第139条の3第1項各号《一株未満の株式等の処理の場合等の所得計算の特例》に掲げる1株に満たない端数又は令第139条の3の2《合併等により交付する株式に一に満たない端数がある場合の所得計算》に規定する1株に満たない端数につき代わり金の交付を受けたときの譲渡に係る原価の額は、当該法人が当該1株に満たない端数に相当する株式等の交付を受け直ちに譲渡したものとして法第61条の2《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》の規定を適用する。ただし、当該法人が当該代わり金に相当する金額を益金の額に算入している場合は、これを認める。(平12年課法2−7「四」により追加、平14年課法2−1「九」、平19年課法2−3「十」、平20年課法2−5「八」、平29年課法2−17「八」により改正)