担保権等の消滅

(先取特権)

1 法第124条第1項の「質権、抵当権、先取特権」には、仮登記(保全仮登記を含む。)がされた質権、抵当権、先取特権が含まれる(法第133条第3項、令第50条第4項参照)。また、同項の「先取特権」とは、法第19条第1項各号《不動産保存の先取特権等》及び第20条第1項各号《不動産賃貸の先取特権等》に掲げる先取特権をいう(法第50条第1項参照)。

(根担保目的の仮登記に係る権利)

1-2 滞納処分による換価によって消滅する権利には、根担保目的の仮登記に係る権利も含まれることに留意する(法第23条第4項参照)。

(担保のための仮登記に基づく本登記でその財産の差押え後にされたものに係る権利)

2 法第124条第1項の「担保のための仮登記に基づく本登記(本登録を含む。)でその財産の差押え後にされたものに係る権利」とは、担保のための仮登記のある財産が滞納処分により差し押さえられた後、仮登記担保契約に基づく本登記をしたものに係る権利をいう。

(注) 担保のための仮登録のある財産が、特許権等不動産登記法の適用又は準用のない財産である場合には、利害関係を有する第三者の承諾を要しないで仮登録に基づく本登録をすることができる。

(再売買の予約の仮登記)

3 法第124条第1項の「再売買の予約の仮登記」とは、再売買の予約を登記原因とする所有権移転請求権の仮登記をいう。

(担保権が消滅しない場合)

4 法第124条第2項の規定による担保権の引受けがあった場合は、法第124条第1項の規定は適用されず(法第124条第2項後段)、その担保権は消滅しない。

担保権の引受け

(登記されている先取特権)

5 法第124条第2項の「先取特権」とは、法第19条第1項各号《不動産保存の先取特権等》及び第20条第1項各号《不動産賃貸の先取特権等》に掲げる先取特権をいうが、法第124条第2項の規定による引受けができる先取特権は、そのうちの登記をしているものに限られる。

(負担の引受け)

6 法第124条第2項の「負担を買受人に引き受けさせる」とは、法第124条第2項の担保権のある財産の換価に当たって、その担保権を消滅させず、その担保権の負担のある財産として買受人に売却することをいう。

(国税が劣後するとき)

7 法第124条第2項第1号の「次いで徴収するものであるとき」とは、差押国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあっては、換価同意行政機関等の差押えに係る国税、地方税又は公課)のうち法第10条《直接の滞納処分費の優先》の規定の適用を受ける滞納処分費を除いたものの全額が、法第124条第2項の担保権に劣後するとき(法第15条から第20条まで参照)をいうものとする。

(担保権者の申出)

8 法第124条第2項第3号の「申出」は、令第47条《担保権の引受けによる換価の申出》の規定により、同条各号に掲げる事項を記載した書面をもって公売公告の日又は随意契約により売却する日の前日までに、しなければならない。この場合において、その日が、休日等に当たっても延長されない(通則法第10条第2項、通則令第2条第1項第7号)。

(引受けを認めない場合)

9 法第124条第2項各号のすべてに該当する場合であっても、次に掲げるときは、担保権の引受けをさせないものとする。

(1) 最も先順位の担保権に対抗できない用益物権、賃借権等の権利があるとき。

(2) 仮登記(保全仮登記を含む。)がされた質権、抵当権及び先取特権であるとき。

(3) 担保権の引受けをさせることとした場合には見積価額の決定に煩さな手続を要すると認められるときその他税務署長が担保権の引受けをさせることが徴収上適当でないと認めるとき。