公売公告の手続

(公売公告)

1 公売公告は、法第95条第1項各号に掲げる事項を記載した別に定める書面により行うものとする。

(公売公告の時期)

2 公売公告は、法第95条第1項の規定により、公売の日(期間入札又は期間競り売りの場合には、入札期間又は競り売り期間の始期の属する日をいう。以下同じ。)の前日を第1日として逆算して10日目に当たる日の前日以前にしなければならない。
なお、上記の「10日目に当たる日の前日」が休日等に当たるときは、これらの日の前日とする。

(公売公告期間の短縮ができる場合)

3 税務署長は、公売財産が不相応の保存費を要し、又はその価額を著しく減少するおそれがあると認めるときは、法第95条第1項本文の公売公告期間を短縮することができる(法第95条第1項ただし書)。ただし、法第99条第1項《見積価額の公告》の規定により見積価額の公告をしなければならないときは、その公告期間より短い公売公告期間とすることはできない。

(不相応の保存費)

4 法第95条第1項の「不相応の保存費を要し」とは、公売財産の価額と比べ多額の保存費を要することをいう。例えば、相当量のき損品、半製品等その価額が低廉なもので、これらのものを引き揚げて保管倉庫等に保管するとすれば相当の保存費を要するような場合及び生鮮食料品、腐敗変質するおそれがある化学薬品等で、特殊の保管設備を要し、このため相当高額の保存費を要するような場合がこれに当たる。

(価額を著しく減少するおそれがあるもの)

5 法第95条第1項の「価額を著しく減少するおそれがある」とは、公売財産を速やかに換価しないと、その価額が著しく減少するおそれがあることをいう。例えば、鮮魚、野菜等の生鮮食料品及びクリスマス用品等の季節用品等のようなものを公売する場合がこれに当たる。

(公告の継続)

6 法第95条第1項の公告は、公告をした日から公売をする日(第111条関係1参照)まで掲示するものとする。
なお、公告後掲示板等から公告に係る書類等が破損又は脱落した場合には、速やかに破損の箇所を補修し、又は掲示するものとする。この場合においても、法第95条第1項の10日の期間計算は、通常、当初の公告の掲示日を基準として計算するものとする。

公告をすべき事項

(公売財産の名称等)

7 法第95条第1項第1号の「公売財産の名称、数量、性質及び所在」は、買受希望者が、公売財産を特定することができ、かつ、その現況を把握できる程度に記載する。したがって、例えば、建物につき登記簿上の表示と現況とに著しく差異のある場合には、登記簿上の表示のほか現況を併記する(昭和51.8.30名古屋高決、昭和55.8.6東京高決参照)。
なお、工場抵当物件を一括して換価する場合においては、公売公告に不動産の一筆ごとの表示とともに、動産である附属物件についても工場抵当法第3条《抵当権の目的物の目録》の目録程度の明細を表示しなければならないことに留意する(昭和33.5.24最高判参照)。

(公売の方法)

8 法第95条第1項第2号の「公売の方法」とは、期日入札、期間入札、期日競り売り又は期間競り売りの方法をいう(法第94条第2項)。ただし、期日入札又は期日競り売りの方法による場合には、単に「入札」又は「競り売り」と記載することとして差し支えない。
なお、期日入札又は期間入札の場合に、最高価申込者を決定するに際して複数落札入札制(法第105条参照)によることとしたときは、その旨を公売公告に記載するものとする。

(公売の日時)

9 法第95条第1項第3号の「公売の日時」とは、期日入札及び期間入札については入札期間を、期日競り売りについては買受申込みをすることができる始期を、期間競り売りについては競り売り期間をいう。

(公売の場所)

10 法第95条第1項第3号の「公売の場所」とは、期日入札又は期間入札については、入札書を提出する場所(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、インターネット上のサイト)を、期日競り売り又は期間競り売りについては、競り売りを行う場所(インターネットを利用する方法により買受申込みを行わせる場合は、インターネット上のサイト)をいう。

(売却決定の日時)

11 法第95条第1項第4号の「売却決定の日時」とは、売却決定をすることができる始期をいい、この売却決定には、次順位買受申込者に対する売却決定(法第113条第2項)が含まれる。

(買受代金の納付の期限)

12 法第95条第1項第6号の「買受代金の納付の期限」は、法第115条《買受代金の納付の期限等》の規定により税務署長が定めた期限である(第115条関係4、5参照)。この場合の期限については、その日の何時何分までと時刻を指定して差し支えない。

(注)

1 次順位買受申込者に係る買受代金の納付の期限は、法第113条第2項に定める売却決定の日から起算して7日を経過した日となる(法第115条第1項かっこ書)。

2 法第115条第2項《買受代金の納付の期限の延長》の規定による期限の延長は、公売公告に記載しなければできないものとする。

(一定の資格を要する場合)

13 法第95条第1項第7号の「一定の資格を必要とするとき」とは、公売財産を買い受けるために、法令その他の規定により一定の資格を必要とする場合をいい、例えば、次に掲げる差押財産の公売については、次に掲げる資格を必要とすることをいう。

(1) 大麻取締法第1条の大麻(大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいい、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。) 大麻取扱者(同法第3条第1項)

(2) 特定毒物(毒物(毒物及び劇物取締法第2条第1項《毒物の定義》の規定による同法別表第1に掲げるものであって、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。)であって、同法別表第3に掲げるものをいう。) 毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者(同法第3条の2第6項)

(3) 覚せい剤(覚せい剤取締法第2条第1項《覚せい剤の意義》の規定に掲げるフエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン等をいう。) 覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者(同法第17条)

(4) 麻薬(麻薬及び向精神薬取締法第2条第1号《用語の定義》の規定による同法別表第1に掲げるコカ葉、モルヒネ等をいう。) 麻薬営業者(麻薬施用者、麻薬管理者及び麻薬研究者以外の麻薬取扱者)、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者(同法第26条第1項)

(5) けしがら(あへん法第3条第3号のけしの麻薬を抽出することができる部分(種子を除く。)をいう。) けし栽培者、麻薬製造業者又は麻薬研究施設の設置者(同法第7条第2項)

(その他の要件を要する場合)

14 法第95条第1項第7号の「その他の要件を必要とするとき」とは、公売財産を買い受けるために、関係官庁又は特定の者の許可、承認等を必要とする場合をいう(農地法第3条第1項、第5条、銃砲刀剣類所持等取締法第4条第1項、漁業法第26条第1項、電気通信事業法附則第9条第1項、旧公衆電気通信法第38条第1項等)。例えば、農地又は採草放牧地の公売については、農業委員会又は都道府県知事若しくは農林水産大臣の指定する市町村の長の許可を受けることが必要となる。

(配当を受ける権利者)

15 法第95条第1項第8号の「その他その財産の売却代金から配当を受けることができる権利を有する者」とは、法第129条第1項各号《配当の原則》に掲げる国税その他の債権を有する者のうち、交付要求(参加差押えを含む。)をした者(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、換価同意行政機関等を含む。)又は法第59条第1項後段、第3項若しくは第4項《損害賠償請求権等への配当》(これらの規定を法第71条第4項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける損害賠償請求権若しくは借賃に係る債権を有する者をいう。

(権利の内容)

16 法第95条第1項第8号の「その内容」とは、債権の元本、利息、弁済期限その他の権利の内容をいい、おおむね、債権現在額申立書(第130条関係1参照)に記載すべき事項をいう。

(重要と認められる事項)

17 法第95条第1項第9号の「公売に関し重要と認められる事項」とは、次に掲げる事項をいう。

  • (1) 公売財産の状況を示すために税務署長が必要と認める図面、地図、写真等の情報
  • (2) (1)に掲げる情報の全部又は一部を別に閲覧に供する場合は、その旨及び閲覧場所
  • (3) 買受人が公売財産の所有権を取得する時期が、法第116条《買受代金の納付の効果》に規定するものと異なる場合は、その事項(農地法第3条第6項、第5条第3項、鉱業法第60条、特許法第98条第1項、実用新案法第26条、意匠法第36条等)
  • (4) 公売財産の所有権の移転につき農地法その他法令の規定により関係官庁又は特定の者の許可、承認等を必要とする場合は、農業委員会、都道府県知事若しくは農林水産大臣の指定する市町村の長から交付を受けた買受適格証明書等の提出又は提示が必要である旨(農地法第3条第1項、第5条第1項、銃砲刀剣類所持等取締法第4条第1項等)
  • (5) 買受人に対抗することができる公売財産上の負担がある場合は、その負担(法第124条第2項、建物の区分所有等に関する法律第8条等)
  • (6) 公売財産の権利の移転について登記を要するものについては、買受代金を納付するほか、一定の期間内に登録免許税額に相当する印紙若しくは現金の領収証書を提出すべき旨(登録免許税法第23条)、また、自ら権利移転の手続を行う必要がある場合は、その旨
  • (7) 土地又は建物等(土地の上にある建物又は立木をいう。以下同じ。)の公売によって、その土地又は建物等につき法定地上権(法第127条第1項、民法第388条、立木法第5条等)又は法定賃借権(法第127条第2項)が成立する場合は、その旨
  • (8) 一括換価の方法により公売する場合は、その旨
  • (9) 公売保証金の提供について方法を定めて行う場合は、その提供方法
  • (10) 入札の方法により公売する場合は、入札に先立って公売保証金の提供について期限を定めて行うこととするときにおける提供の期限、入札書の提出の方法並びに開札の日時及び場所
  • (11) 期間入札の方法により公売する場合は、次の事項
    • イ 最高価申込者の決定の日時及び場所
    • ロ 開札の結果、最高価申込者となるべき者が2人以上ある場合にこれらの者に更に入札(以下17において「追加入札」という。)をさせるときにおける追加入札の方法(期日入札の方法によるか期間入札の方法によるかの別)、入札期間及び場所、開札の日時及び場所、最高価申込者の決定の日時及び場所、売却決定の日時及び場所並びに買受代金の納付の期限
  • (12) 入札の方法により不動産等を公売する場合における次順位による買受けの申込みは、開札の場所において、最高価申込者の決定後直ちに行う旨
  • (13) 複数落札入札制(法第105条参照)により公売する場合であって、同一人が2以上の入札書の提出をすることができる方法(複数入札)により入札を行わせる場合は、次の事項
    • イ 同一人が2以上の入札書の提出をしても差し支えない旨
    • ロ 同一人に対して複数の売却決定をした場合において、買受代金の一部をその納付の期限までに納付しないときは、納付されていない買受代金に係る売却決定を取り消す旨
  • (14) 競り売りの方法により公売する場合は、競り売りに先立って、公売保証金の提供について期限を定めて行うこととするときにおける提供の期限及び競り売りへの参加申込みの受付を行うこととするときにおける受付期間
  • (15) 期間競り売りの方法により公売する場合は、最高価申込者の決定の日時及び場所
  • (16) 公売財産の売却決定は最高価申込者に係る入札価額又は買受申込価額をもって行う旨
  • (17) (1)から(16)までに掲げる事項のほか、公売に関して重要と認められる事項

公売公告の掲示等

(税務署の掲示場)

18 法第95条第2項の「税務署の掲示場」とは、公売をする税務署の掲示場をいい、常設公売場の掲示場も含まれる。

(その他の掲示場)

19 法第95条第2項の「その他税務署内の公衆の見やすい場所」とは、税務署内において公衆が自由に出入りでき、かつ、公衆の見やすい場所をいう。

(適当な場所)

20 法第95条第2項の「他の適当な場所」とは、公売財産の所在する市町村の役場の掲示場、その他公売財産につき買受希望者となることが見込まれる者が集合する場所等公売することを公衆に知らせるのに適当と税務署長が認める場所をいう。

(その他の方法)

21 第95条第2項の「その他の方法」とは、公売財産につき買受希望者となることが見込まれる者に知らせるのに適する新聞等(日刊新聞紙、業界新聞紙、地方公共団体の広報紙等)に掲載すること、インターネットを利用すること等買受希望者を募るのに適した方法をいう。この場合においては、その紙面等に公売公告の概要を掲げ、「その他の公告事項は税務署等の掲示場に掲示してある」旨の案内を付記することとして差し支えない。