納税義務の成立

1 法第33条の「徴収すべき額に不足すると認められるとき」の判定は、第22条関係4と同様である。
 なお、不足するかどうかの判定は、納付通知書を発する時の現況によるものとする(平成27.11.6最高判参照)。

納税義務を負う者

(合名会社等)

2 法第33条の「合名会社」、「税理士法人」、「弁護士法人」、「外国法事務弁護士法人」、「弁護士・外国法事務弁護士共同法人」、「弁理士法人」、「司法書士法人」、「行政書士法人」、「社会保険労務士法人」及び「土地家屋調査士法人」とは、社員の全部が無限責任社員からなる会社又は税理士法等の規定により設立された法人をいい(会社法第576条第2項、第580条第1項、税理士法第48条の21第1項、弁護士法第30条の15第1項、外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律第67条第2項、第80条第1項、弁理士法第47条の4第1項、司法書士法第38条第1項、行政書士法第13条の21第1項、社会保険労務士法第25条の15の3第1項、土地家屋調査士法第35条の3第1項参照)、「合資会社」とは、社員が有限責任社員と無限責任社員とからなる会社をいい(会社法第576条第3項、第580条参照)、「監査法人」とは、公認会計士法の規定により設立された法人であって、その社員の全部が有限責任社員からなる法人(有限責任監査法人)及びその社員の全部が無限責任社員からなる法人(無限責任監査法人)をいう(公認会計士法第1条の3第4項、第5項、第34条の7第4項、第5項、第34条の10の6第1項、第7項参照)。

(社員又は無限責任社員)

3 法第33条の「社員」又は「無限責任社員」(以下単に「無限責任社員」という。)とは、合名会社若しくは合資会社又は税理士法人、弁護士法人、外国法事務弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人、弁理士法人、司法書士法人、行政書士法人、社会保険労務士法人若しくは土地家屋調査士法人(以下「合名会社等」という。)の債務につき、一定の条件の下に、合名会社等の債権者に対し、直接に連帯無限の責任を負担する社員をいう(会社法第580条第1項、税理士法第48条の21第1項、弁護士法第30条の15第1項から第3項まで、外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律第67条第2項、第80条第1項、公認会計士法第34条の10の6第1項から第3項まで、弁理士法第47条の4第1項から第3項まで、司法書士法第38条第1項から第3項まで、行政書士法第13条の21第1項、社会保険労務士法第25条の15の3第1項から第3項まで、土地家屋調査士法第35条の3第1項から第3項まで)。

(注) この条の規定により第二次納税義務を負う監査法人の社員は、無限責任監査法人の社員に限られる。

(新入社員等の責任)

4 合名会社等が成立した後に無限責任社員となった者(例えば、新たに無限責任社員として加入した者、合資会社又は監査法人の有限責任社員から無限責任社員となった者、無限責任社員の持分を譲り受けた者、定款の定めるところに従い被相続人に代わって無限責任社員となった相続人等をいう。)は、無限責任社員となる前に納税義務が成立した合名会社等の国税についても責任を負う(会社法第605条、第583条第1項、第604条、第585条第1項、第608条第1項、税理士法第48条の21第1項、弁護士法第30条の30第1項、外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律第67条第2項、第80条第1項、公認会計士法第34条の22第1項、第34条の23第3項、弁理士法第55条第1項、司法書士法第46条第2項、行政書士法第13条の21第1項、社会保険労務士法第25条の25第1項、土地家屋調査士法第41条第2項)。

(退社した社員等の責任)

5 退社又は持分の全部を譲渡した無限責任社員及び合資会社又は監査法人の無限責任社員から有限責任社員となった者は、本店の所在地において退社の登記又は責任変更の登記をする前に納税義務が成立した合名会社等の国税について責任を負うが、この責任は、その登記後2年以内に納付通知書による告知又はその予告をしなかった場合には、登記後2年(除斥期間)を経過した時に消滅する(会社法第612条、第586条、第583条第3項、第4項、税理士法第48条の21第1項、弁護士法第30条の15第7項、第30条の30第1項、外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律第67条第2項、第80条第1項、公認会計士法第34条の10の6第11項、第34条の22第1項、第34条の23第3項、弁理士法第47条の4第7項、第55条第1項、司法書士法第38条第6項、第46条第2項、行政書士法第13条の21第1項、社会保険労務士法第25条の15の3第6項、第25条の25第1項、土地家屋調査士法第35条の3第6項、第41条第2項)。
 上記の予告については、合名会社等の国税の納税義務が成立した後は、その確定前においても、これをすることができる。また、この予告は、書面により、将来納付通知書による告知をすることがある旨を記載して行うものとする。

(注) 無限責任社員が合資会社を退社した場合において、退社の時における当該会社の財産の状況に従って当該社員と当該会社との間の計算がされた結果、当該社員が負担すべき損失の額が当該社員の出資の額を超えるときには、定款に別段の定めがあるなどの特段の事情のない限り、当該社員は、当該会社に対してその超過額を支払わなければならない(令和元.12.24最高判参照)。

(解散後の責任)

6 合名会社等が解散した場合において、本店所在地において解散の登記をした後5年以内に納付通知書による告知又はその予告をしなかったときは、無限責任社員の責任は、その登記後5年(除斥期間)を経過した時に消滅する(会社法第673条第1項、税理士法第48条の21第2項、弁護士法第30条の30第2項、外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律第67条第2項、第80条第1項、公認会計士法第34条の22第2項、弁理士法第55条第2項、司法書士法第46条第3項、行政書士法第13条の21第2項、社会保険労務士法第25条の25第2項、土地家屋調査士法第41条第3項)。

(無限責任社員の相続人)

7 無限責任社員が死亡した場合には、死亡前に納税義務が成立した合名会社等の国税についての無限責任社員の責任は相続人に承継されるが、死亡後退社登記前に納税義務が成立した合名会社等の国税についての無限責任社員の責任は承継されない(昭和10.3.9大判参照)。
 なお、相続人が承継する責任の存続期間は、被相続人の負担する責任の存続期間の残存期間であるから、例えば、その無限責任社員が死亡により退社したとき又は既に生前退社していたときは、本店所在地における退社の登記の日から2年間であり、解散登記後に死亡したときは、解散登記の日から5年間である。

納税義務の範囲

(不足額との関係)

8 無限責任社員から徴収することができる金額は、合名会社等から滞納処分により徴収することができる滞納に係る国税(退社又は持分の全部を譲渡した無限責任社員及び合資会社又は監査法人の無限責任社員から有限責任社員となった者にあっては、本店の所在地において退社の登記又は責任変更の登記をする前に納税義務が成立した合名会社等の国税に限る。)の全額であって、合名会社等の財産が徴収すべき国税の額に不足すると認められる場合のその不足する額に限られない。

(連帯納付義務)

9 法第33条の無限責任社員相互間における「連帯」については、通則法第8条《国税の連帯納付義務についての民法の準用》の規定が適用される。