国税

1 法第2条第1号の「国税」には、本税のほか、その延滞税、利子税、各種加算税及び過怠税が含まれる。

関税、とん税及び特別とん税

2 法第2条第1号の「関税、とん税及び特別とん税」とは、国が課する税のうち、関税法及び関税定率法その他関税に関する法律の規定により輸入貨物に対し課する税(関税法第3条)並びにとん税法又は特別とん税法の規定により外国貿易船(とん税法第2条第1項、関税法第2条第1項第5号)の開港(とん税法第2条第1項、関税法第2条第1項第11号)への入港に対し課する税(とん税法第1条、特別とん税法第1条)をいう。

地方税

(地方団体の徴収金)

3 法第2条第2号の「地方団体の徴収金」とは、地方税法の規定によって道府県又は市町村(都及び特別区を含む。)が賦課徴収する地方税並びにその督促手数料、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金及び滞納処分費をいう(同法第1条第1項第14号、第2項、第2条)。

(注) 消費税法第45条第1項第4号の消費税額を課税標準として課する地方消費税(譲渡割)については、当分の間、国が、消費税の徴収の例により、消費税の徴収と併せて行うものとされており(地方税法附則第9条の4第1項)、消費税法第47条第1項第2号の課税標準額に対する消費税又は同法第50条第2項の規定により徴収すべき消費税額(消費税に係る延滞税を含まないものとする。)を課税標準として課する地方消費税(貨物割)については、国が、消費税の徴収の例により、消費税の徴収と併せて行うものとされている(地方税法第72条の100第1項)。

(都及び特別区の賦課徴収権)

4 都及び特別区については地方税法中道府県及び市町村に関する規定がそれぞれ準用されている(同法第1条第2項)ので、都及び特別区は、地方税を賦課徴収することができる。

消費税等

5 法第2条第3号の「消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税」には、これらの税に係る過少申告加算税、無申告加算税及び延滞税並びに消費税に係る重加算税が含まれる(通則法第69条、第60条第4項)。

(注) 消費税等(消費税を除く。)については、重加算税は課されないことに留意する(通則法第68条第4項)。

附帯税

(延滞税)

6 法第2条第4号の「延滞税」とは、通則法第60条《延滞税》の規定により納付すべき国税をいう。

(利子税)

7 法第2条第4号の「利子税」とは、通則法第64条《利子税》の規定により納付すべき国税をいい、例えば、所得税法第131条第3項《確定申告税額の延納に係る利子税》、第136条《延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税》、法人税法第75条第7項《確定申告書の提出期限の延長に係る利子税》、第75条の2第8項《確定申告書の提出期限の延長の特例に係る利子税》、相続税法第52条《延納等に係る利子税》、第53条《物納等に係る利子税》、租税特別措置法第70条の4第35項《農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予に係る利子税》及び第70条の6第40項《農地等についての相続税の納税猶予等に係る利子税》等の規定に基づく国税がある。

(過少申告加算税等)

8 法第2条第4号の「過少申告加算税」等とは、次のそれぞれに掲げる規定により課せられる国税をいう。

(1)過少申告加算税 通則法第65条

(2)無申告加算税 通則法第66条

(3)不納付加算税 通則法第67条

(4)重加算税 通則法第68条

公課

9 法第2条第5号の「滞納処分の例により徴収することができる債権」とは、法又はこれに基づく命令に定める滞納処分の手続の規定を準用して徴収することができることとされている債権をいう。この場合において、これらの債権に関する法律の規定中、その徴収について、「国税滞納処分の例による」旨の規定があるもののほか、「国税徴収の例による」ものはもちろん、「市町村税の滞納処分の例による」等の間接準用の規定があるときも、滞納処分の例により徴収することができる債権に該当する。

(注)

1 関税法第11条《関税の徴収》等の規定に基づき国税徴収の例により徴収する関税、とん税及び特別とん税も公課に含まれる。

2 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(以下「租税条約等実施特例法」という。)第11条第4項において準用する法の規定により徴収する共助対象外国租税も公課に含まれる。

納税者

10 法第2条第6号の「納税者」とは、おおむね次に掲げる者をいう。

(1)国税に関する法律の規定により国税(通則法第2条第2号に規定する源泉徴収等による国税に係る本税を除き、附帯税を含む。)を納める義務がある者((2)以下の者を除く。)

(2)登録免許税法第3条《納税義務者》、通則法第9条《共有物等に係る国税の連帯納付義務》、第9条の2《法人の合併等の無効判決に係る連帯納付義務》、第9条の3《法人の分割に係る連帯納付の責任》、相続税法第34条《連帯納付責任》、法人税法第152条第1項《連帯納付の責任》、消費税法第8条《輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税》等の規定によって連帯納付の義務又は責任を負う者

(3)第二次納税義務者

(注) 法第24条第1項《譲渡担保財産からの納税者の国税の徴収》の規定の適用を受ける譲渡担保権者は、法第10章《罰則》の適用について「納税者」とみなされる(法第24条第9項)。

(4)保証人

(5)通則法第5条第1項《相続による国税の納付義務の承継》、第6条《法人の合併による国税の納付義務の承継》又は第7条《人格のない社団等に係る国税の納付義務の承継》その他の法律の規定により相続、包括遺贈又は合併等に基因して(1)から(8)までに掲げる者の納付義務を承継した者

(6)通則法第7条の2《信託に係る国税の納付義務の承継》の規定により納付義務を承継した者

(7)会社更生法第232条第1項《新会社の租税債務の承継》、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第148条の2《新協同組織金融機関等の租税債務の承継》、第321条の2《新相互会社等の租税債務の承継》、第342条《銀行についての会社更生法の規定の適用》、第358条《保険業を営む株式会社についての会社更生法の規定の適用》の規定により国税を承継することになった新会社、新協同組織金融機関、新株式会社又は新相互会社

(8)源泉徴収等による国税(通則法第2条第2号に規定する国税をいう。以下同じ。)を徴収して国に納付しなければならない者

(9)法第159条《保全差押》又は通則法第38条第3項《繰上保全差押え》の規定による差押えを受ける者(ただし、その国税の徴収のため必要な範囲に限る。)

(10)通則法第52条第1項《担保の処分》の規定による処分を受ける担保財産の所有者である物上保証人(ただし、その国税の徴収のため必要な範囲に限る。)

第二次納税義務者

11 「第二次納税義務者」とは、法第2条第7号に定める者のほか、法第24条第3項《譲渡担保財産に対する滞納処分》の規定による処分(同条第4項の規定によるものを含む。)を受ける譲渡担保権者も、その譲渡担保財産からの徴収に必要な範囲において、法第2条第7号の「第二次納税義務者」に該当する。

保証人

12 法第2条第8号の「保証人」とは、通則法第46条第5項《納税の猶予》、相続税法第38条第4項《延納》、酒税法第31条第1項《酒税担保》等の規定により担保として提供された保証人(通則法第50条第6号)をいう。

法第2条第9号の納付の期限

13 法第2条第9号の「納付の期限」とは、納付すべき税額が確定した場合(通則法第15条第1項、第3項参照)における国税を納付すべき期限をいい、期限内申告、更正、決定、期限後申告、修正申告、納税の告知若しくは延納等に係る納期限又は繰上請求に係る期限がこれに該当し、納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限はこれに含まれない。

法定納期限

(国税を納付すべき期限)

14 法第2条第10号本文の「国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限」については、次のことに留意する。

(1)通則法第11条《災害等による期限の延長》の規定により国税の法定納期限が延長された場合には、その延長された期限が法定納期限となる。

(2)法人税法第75条第1項《確定申告書の提出期限の延長》(同条第8項第1号の規定により読み替えて適用される場合を含む。)、第75条の2第1項《確定申告書の提出期限の延長の特例》(同条第11項第1号の規定により読み替えて適用される場合を含む。)及び第75条の3《通算法人の災害等による確定申告書の提出期限の延長》の規定により確定申告書の提出期限が延長された場合には、その延長された期限が法定納期限となる。

(3)相続税法第31条第2項《修正申告の特則》、租税特別措置法第28条の3第7項《転廃業助成金等による資産の取得又は改良をしなかった場合等の修正申告書》、第31条の2第7項《優良住宅地の造成等のための譲渡に該当しないこととなった場合の修正申告等》、第33条の5第1項《収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の修正申告等》、第37条の2第1項及び第2項《特定の事業用資産の買換えの場合の修正申告等》、第69条の3第1項《在外財産の価額が算定可能となった場合の修正申告等》等の規定より納付すべき国税は、法第2条第10号イの国税には該当せず、これらの規定による修正申告等の申告の期限がその国税の法定納期限となる。

(4)租税特別措置法第86条の6《個人事業者に係る消費税の課税資産の譲渡等についての確定申告期限の特例》の規定に該当する場合には、同条に規定する申告書の提出期限が法定納期限となる。

(5)酒税法第30条の6《納期限の延長》等の規定により、国税の法定納期限が延長された場合には、その延長された期限がその国税の法定納期限となる。

(6)通則法第52条第2項《保証人に対する告知》及び法第32条第1項《第二次納税義務者に対する告知》の規定による告知に基づき納付すべき国税については、これらの告知に係る納付の期限がその国税の法定納期限となる。

(繰上げに係る期限)

15 法第2条第10号本文の「繰上げに係る期限」には、通則法第52条第6項《保証人に対する準用規定》又は法第32条第3項《第二次納税義務者に対する準用規定》において準用する通則法第38条第2項《繰上請求の手続》の繰上げに係る期限が含まれるものとする。

(延納に係る期限)

16 法第2条第10号本文の「延納に係る期限」とは、所得税法第131条第1項《確定申告税額の延納》、第132条第1項《延払条件付譲渡に係る所得税額の延納》並びに相続税法第38条第1項前段及び第3項《延納》の規定による延納に係る期限をいう。
 なお、租税特別措置法第70条の4《農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予及び免除》、第70条の6《農地等についての相続税の納税猶予及び免除等》、第70条の6の4《山林についての相続税の納税猶予及び免除》、第70条の7《非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除》、第70条の7の2《非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除》、第70条の7の4《非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除》、第70条7の5《医療法人の持分に係る経済的利益についての贈与税の納税猶予及び免除》及び第70条の7の8《医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除》の規定による納税の猶予に係る期限は、上記の相続税法の規定による延納に係る期限に含まれる(租税特別措置法第70条の4第32項、第70条の6第37項、第70条の6の4第13項、第70条の7第14項、第70条の7の2第14項、第70条の7の4第11項、第70条の7の5第10項、第70条の7の8第10項)。

(納税の猶予)

17 法第2条第10号本文の「納税の猶予」とは、通則法第46条第1項、第2項及び第3項《納税の猶予の要件》の規定による納税の猶予をいう。
 なお、会社更生法第169条第1項《租税等の請求権の取扱い》の規定による納税の猶予に係る期限については、法第2条第10号本文の「納税の猶予」に係る期限に準ずるものとする。

(徴収に関する猶予)

18 法第2条第10号本文の「徴収に関する猶予」とは、通則法第23条第5項ただし書《更正の請求があった場合の徴収の猶予》、第105条第2項、第4項及び第6項《不服申立てがあった場合の徴収の猶予》、所得税法第118条《予定納税額の徴収猶予》、相続税法第40条第1項《延納の申請があった場合の徴収の猶予》及び第42条第29項《物納の申請があった場合の徴収の猶予》等の規定による徴収の猶予をいう。

(滞納処分に関する猶予)

19 法第2条第10号本文の「滞納処分に関する猶予」とは、法第151条第1項及び第151条の2第1項《換価の猶予の要件等》の規定による換価の猶予をいう。
 なお、会社更生法第169条第1項《租税等の請求権の取扱い》の規定による換価の猶予に係る期限については、法第2条第10号本文の「滞納処分に関する猶予」に係る期限に準ずるものとする。

(期限後申告等に係る国税の法定納期限)

20 法第2条第10号イの「納付すべき期限」とは、通則法第35条第2項に規定する期限後申告書若しくは修正申告書に記載した、又は更正通知書若しくは決定通知書に記載された納付すべき国税について、当該期限内申告に係る国税として納付すべきであった期限をいう。
なお、法第2条第10号イの「納付すべき国税」には、国税の還付金の額に相当する税額を減少させる修正申告又は更正により納付すべき税額が含まれる(通則法第35条第2項各号かっこ書。所得税法第128条、法人税法第77条等参照)。

(即時徴収に係る国税の法定納期限)

21 法第2条第10号ハの「一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税」には、例えば、酒税法第28条の3第6項《未納税引取りの場合の即時徴収》の規定により徴収する酒税があり、また、法第2条第10号ハの「当該事実が生じた日」とは、当該酒税について酒税法第28条の3第2項《未納税取引事実の証明》の期限を経過した日をいう。

(附帯税等の法定納期限)

22 附帯税又は滞納処分費の「法定納期限」は、その徴収の基因となった国税の法定納期限と同一であり、また、附帯税又は滞納処分費に係る滞納処分費の「法定納期限」も、当該国税の法定納期限と同一である(法第2条第10号)。

強制換価手続

(滞納処分)

23 法第2条第12号の「滞納処分」とは、法第5章《滞納処分》の規定により、国税を徴収するために行う処分をいい、この処分には、差押え、交付要求(参加差押えを含む。)、換価及び配当がある。

(その例による処分)

24 法第2条第12号の「その例による処分」とは、徴収の例又は滞納処分の例により行う処分をいい、通則法第52条第1項《担保の処分》等の規定により行う担保の処分及び地方税法その他の法令に基づき行う処分がある。

(強制執行)

25 法第2条第12号の「強制執行」とは、民事執行法(以下「執行法」という。)、民事執行規則(以下「執行規則」という。)、鉄道抵当法、軌道ノ抵当ニ関スル法律又は運河法の規定により、請求権の目的たる給付を執行機関たる執行裁判所又は執行官によって強制的に実現するための手続をいう。

(注)

1 仮差押え及び仮処分は、法第2条第12号の「強制執行」には含まれない。

2 航空機、自動車、建設機械、小型船舶、電子記録債権及び振替社債等(社債等の振替に関する法律(以下「社債等振替法」という。)第2条第1項《定義》の社債等のうちその権利の帰属が振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものをいう。以下同じ。)の強制執行又は担保権の実行としての競売の手続は、執行規則で定めることになっている(航空法第8条の4、道路運送車両法第97条、建設機械抵当法第26条、小型船舶の登録等に関する法律(以下「小型船舶登録法」という。)第27条、電子記録債権法第49条、社債、株式等の振替に関する法律(以下「社債株式等振替法」という。)第280条)。

(担保権の実行としての競売)

26 法第2条第12号の「担保権の実行としての競売」とは、執行法、執行規則又は農業用動産抵当権実行令の規定により、裁判所又は執行官によって行われる質権、抵当権又は先取特権の行使に基づく競売をいう。

(注)

1 担保不動産収益執行(執行法第180条第2号)は、担保権の実行としての競売に含まれる(同法第1条)。

2 留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売(以下26において「形式的競売」という。執行法第195条参照)は、法第2条第12号の「担保権の実行としての競売」には含まれない。
 なお、形式的競売には、例えば、共有物分割のための競売(民法第258条第3項)、遺産の換価のための競売(家事事件手続法第194条)、商人間の売買の目的物を換金して保管するための競売(商法第524条)等がある。

(企業担保権の実行手続)

27 法第2条第12号の「企業担保権の実行手続」とは、企業担保法に基づき企業担保権を実行する手続をいう。

(破産手続)

28 法第2条第12号の「破産手続」とは、破産法の定めるところにより債務者の財産又は相続財産を清算する手続をいう(破産法第2条第1項)。

執行機関

29 法第2条第13号の「執行機関」とは、強制換価手続を執行する機関をいい、滞納処分についてはこれを執行する国の行政機関、地方公共団体の機関その他の者(以下「行政機関等」という。)、強制執行又は担保権の実行としての競売については執行裁判所及び執行官、執行法第167条の2第2項に規定する少額訴訟債権執行については裁判所書記官、企業担保権の実行手続については裁判所、破産手続については破産管財人を、それぞれいう。
なお、執行法第94条《管理人の選任》に規定する強制管理(執行法第188条により担保不動産収益執行について準用する場合を含む。)における管理人は、執行裁判所の補助機関であって、法第2条第13号の「執行機関」ではない。