【照会要旨】

 保険会社Aが販売する健康還付特則付終身医療保険(以下「本件保険」といいます。)は、契約の本則に基づき、被保険者が保険期間中に怪我又は病気の治療を目的として入院した場合、手術を受けた場合又は放射線治療を受けた場合にそれぞれ入院給付金、手術給付金又は放射線治療給付金(以下、これらの給付金を併せて「本則給付金」といいます。)を支払うほか、健康還付特則に基づき、被保険者が健康還付給付金支払基準日に生存している場合に健康還付給付金を支払い、また、被保険者が健康還付給付金支払基準日の前日までに死亡した場合で、健康還付特約の責任準備金があるときは、当該責任準備金と同額の返戻金(以下、健康還付給付金と当該返戻金を併せて「特則給付金等」といいます。)を保険契約者(保険契約者と被保険者が同一の場合にはその法定相続人)に支払う内容となっています。
 この場合、支払う保険料は、所得税法第76条《生命保険料控除》に規定する新生命保険料又は介護医療保険料のいずれに該当するのでしょうか。
 なお、前提として、本件保険は、本則と健康還付特則が一体となって効力を有する一の保険契約であり、その保険料は本則に係る保険料と健康還付特則に係る保険料を区分することができません。

【回答要旨】

 本件保険に係る保険料は、新生命保険料(一般の生命保険料)に該当します。

 本件保険の本則に基づき支給される本則給付金は、怪我又は病気の治療を目的として入院、手術又は放射線治療をした場合に支払われるものであることから、本件保険の本則の内容は介護医療保険契約等に該当します(所得税法第76条第2項、第7項、所得税法施行令第208条の7)。
 また、本件保険の健康還付特則に基づき支給される特則給付金等は、被保険者が健康還付給付金支払基準日に生存していた場合又は当該基準日の前日までに死亡した場合に支払われるものであることから、健康還付特則の内容は新生命保険契約等に該当します(所得税法第76条第1項、第5項、所得税法施行令第208条の3第1項)。
 そして、本件保険は、本則と健康還付特約が一体となって効力を有する一の保険契約であり、本件保険に係る保険料も本則に係る保険料と健康還付特則に係る保険料を区分することができないものであるところ、被保険者が健康還付給付金支払基準日に生存していた場合に健康還付給付金を支払うこととされていることから、人の生存に関し一定額の保険金又は給付金を支払う保険契約に該当するため特定介護医療保険契約からは除かれることとなります(所得税法第76条第2項、所得税法施行令第208条の3第1項第1号、所得税法施行令第208条の7、平成二十二年三月三十一日号外金融庁告示第三十六号第2条)。
 したがって、本件保険に係る保険料は、特定介護医療保険契約以外の保険料に該当することから、新生命保険料(一般の生命保険料)に該当します。

【関係法令通達】

 所得税法第76条第1項、第2項、第5項、第7項、所得税法施行令第208条の3第1項、第208条の7、平成二十二年三月三十一日号外金融庁告示第三十六号「所得税法施行令第二百八条の三第一項第一号の規定に基づく所得税法第七十六条第七項第一号に掲げる契約の内容を主たる内容とする保険契約として金融庁長官が財務大臣と協議して定めるもの」

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。