【照会要旨】

 私の父は生前不動産賃貸業を営んでおり、賃貸用不動産に係る本年度の固定資産税は、納税通知書の交付を受け、第1期の税額については父が納めています。本年9月に父が死亡したため、その後、賃貸用不動産を相続し、不動産賃貸業を営む私が残りの税額を納めました。
 父の準確定申告における不動産所得の金額の計算上、賃貸用不動産に係る本年度の固定資産税を必要経費に算入できますか。
 なお、父の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入した固定資産税の額については、私の本年分の確定申告において、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入しません。

【回答要旨】

 あなたの父の準確定申告における不動産所得の金額の計算上、一定の金額を必要経費に算入できます。
 業務の用に供される資産に係る固定資産税については、その業務に係る各種所得金額の計算上、必要経費に算入されます(所得税基本通達37-5)。
 また、年の中途において死亡した場合、その年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入する国税及び地方税は、その死亡の時までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものと取り扱っています(所得税基本通達37-6)。
 ただし、固定資産税のように、賦課課税方式による租税のうち納期が分割して定められているものは、各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えありません(所得税基本通達37-6(3))。
 したがって、ご質問の場合、賃貸用不動産に係る本年度の固定資産税について納税通知書の交付があり、具体的な税額が確定していたことを踏まえると、賃貸用不動産に係る本年度の固定資産税のうち、あなたの父の準確定申告において不動産所得の必要経費として算入する金額は、次のいずれかとなります。

  • (1) 本年度の固定資産税の全額
  • (2) あなたの父の死亡の時までに納期が到来した固定資産税の額
  • (3) あなたの父の死亡の時までに実際に納めた固定資産税の額

【関係法令通達】

所得税基本通達37-5、37-6

注記
 令和5年8月1日現在施行の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。