【照会要旨】

 A生命保険会社が販売している変額年金保険は、契約日から5年を経過した日から年金支払開始日の前日までの間に契約者が申し出ることにより、一般勘定で積立金を運用する終身積立保険に移行する特約を付加できることとされています。
 この特約の付加による保険契約の移行は、主として次の点について契約の内容を変更するものであり、解約処理するものではないため、解約返還金の契約者への払出しは行われません。また、移行前契約を消滅させるものではない点で保険契約の転換とは異なります。
 個人が契約した変額年金保険(被保険者及び給付金受取人は本人又は生計を一にする親族に限ります。)について、この特約に基づき終身積立保険に移行した場合、所得税の課税関係が生ずることになるのでしょうか。

項目 移行前 移行後
保険給付の内容 年金支払開始日前に死亡した場合
···死亡給付金(一定の事由により死亡した場合は災害死亡給付金)
年金支払開始日以後
···年金給付金(終身又は確定年金)
死亡した場合(終身)
···死亡給付金(一定の事由により死亡した場合は災害死亡給付金)
死亡給付金の額 死亡日における積立金額又は基本保険金額のいずれか大きい金額 死亡日における積立金額
災害死亡給付金の額 死亡給付金の額
+ 基本保険金額 × 10〜40%
死亡給付金の額
+ 基本保険金額 × 10%
基本保険金額 一時払保険料の額 次の金額の合計額
  1. 丸1 移行日前日における解約返還金額
  2. 丸2 移行日における社員配当金
  3. 丸3 移行日までの積立配当金

【回答要旨】

 照会の特約を締結して終身積立保険に移行したとしても、主として保険期間及び保険金額を変更するものに止まり、解約返還金請求権や保険金請求権などの具体的な給付請求権が生ずるものではないことから、所得税の課税関係は生じません。

(注) 保険契約の転換であっても、転換前契約の責任準備金等を転換後契約の責任準備金に引き継ぐなど、実質的に契約内容の変更である場合には、転換に伴う所得税の課税関係は生じないものと取り扱われます(昭53.2.10直資2-36、直所3-5「契約転換制度の所得税法及び相続税法上の取扱いについて」)。

【関係法令通達】

 所得税法第36条、昭53.2.10直資2-36、直所3-5「契約転換制度の所得税法及び相続税法上の取扱いについて」

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。