【照会要旨】

 刑事訴訟法上、一定の重大犯罪の被害者やその遺族等については、裁判所の許可を受け、刑事裁判に出席し、証人尋問等を行うことが認められています(被害者参加制度)。この裁判所の許可を受けた被害者及びその遺族(以下「被害者参加人」といいます。)が、公判期日等に出席した場合、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」に基づき、その出席に係る旅費、日当及び宿泊料(以下「被害者参加旅費等」といいます。)が支給されますが、この被害者参加旅費等の所得区分はどのように取り扱われますか。
 なお、被害者参加旅費等は、被害者参加人が公判期日等に出席するに当たり要した交通費、宿泊代金等の旅行に伴う諸雑費を賄うための費用として、「国家公務員等の旅費に関する法律」に準拠して支給されるものです。

【回答要旨】

 被害者参加旅費等は、雑所得に係る総収入金額に算入されますが、交通費、宿泊代金等の公判期日等に出席するに当たり直接要した費用の額については、必要経費に算入されます。

 被害者参加人の刑事手続への参加は裁判所の許可によるものですが、被害者参加人は、自主的に公判期日等に出席して訴訟活動を行うものであり、被害者参加人の職務として、雇用契約又はこれに類する契約に基づき行うものではなく、裁判所や検察官等の指揮命令に服して行うものでもありません。
 また、被害者参加旅費等は、被害者参加人が公判期日等に出席するに当たり要した交通費、宿泊代金等の旅行に伴う諸雑費を賄うための費用として、「国家公務員等の旅費に関する法律」に準拠して支給されるものであり、実費弁償的な対価としての性質を有するものであることから、労務の対価としての性質は有していないものと考えられます。
 これらのことからすれば、被害者参加旅費等は、労務の対価として使用者から受ける給付とはいえず、また、実費弁償的な対価としての性質を有するもので、他のいずれの所得にも該当しないことから、雑所得に該当します。
 なお、被害者参加人が公判期日等に出席するに当たり直接要した費用の額については、雑所得に係る必要経費に算入できますので、被害者参加旅費等の額が実費の範囲内である限り、実質的に課税関係は生じないこととなります。

【関係法令通達】

 所得税法第35条、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第5条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。