当社の企業年金基金(確定給付企業年金)では、今般、年金の給付減額を内容とする規約の変更を行うこととしました。規約の変更に当たり、希望する年金の受給権者に対して最低積立基準額の全部を一時金として支給する予定です。
この給付減額に伴い支給される一時金について、所得税の取扱いはどのようになりますか。
退職所得として取り扱われます。
確定給付企業年金法の規定に基づいて支払われる一時金で加入者の退職により支払われるものは退職所得とみなすこととされています(所得税法第31条第3号)。この「加入者の退職により支払われるもの」には、年金の受給資格者に対しその年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後その年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含みます。)も含まれます(所得税基本通達31-1(1))。
所得税基本通達31-1(1)《確定給付企業年金法等の規定に基づいて支払われる一時金》の取扱いは、いわゆる選択一時金(残存保証期間に係る年金現価相当額)に関するものですが、ご照会の確定給付企業年金の給付減額に伴う一時金についても、次の理由から選択一時金と同様にこの取扱いに準じて判断するのが相当と考えられます。
ご照会の一時金は、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものと認められますので、退職所得として取り扱われます。
なお、受給権者が退職時に退職所得の支払を既に受けている場合には、その退職した日の属する年分の退職所得として、既に支払を受けた退職所得の上積み計算を行うこととなり、それまで退職所得の支払を受けていない場合には、その一時金を受領した日の属する年分の退職所得として取り扱われます(所得税法施行令第77条、所得税基本通達30-4、31-1(1)注書)。
所得税法第31条、所得税法施行令第77条、所得税基本通達30-4、31-1(1)
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。