【照会要旨】

 当社は、国内で複数の宿泊施設(ホテル)を経営する法人です。
 このたび、外国人旅行者による宿泊者数の増加を目的として、国外事業者が運営するインターネット宿泊予約サイトにも当社経営の宿泊施設を掲載することとしました。
 当該宿泊予約サイトに当社経営の宿泊施設を掲載するに当たっては、国外事業者に対して掲載手数料を支払うこととなります。
 当社は、当課税期間について簡易課税制度の適用はなく、課税売上割合は95%以上の事業者ですが、当該手数料に係る消費税の課税関係はどうなるのでしょうか。

【回答要旨】

 国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、「特定課税仕入れ」として役務の提供を受けた国内事業者に納税義務が課されており、いわゆるリバースチャージ方式により消費税の申告をする必要があります。
 また、特定課税仕入れは、他の課税仕入れと同様に、役務の提供を受けた事業者において仕入税額控除の対象となります。
 ただし、国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても、役務の提供を受けた事業者の、

  • ① 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間
  • ② 簡易課税制度が適用される課税期間
については、当分の間、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(特定課税仕入れ)はなかったものとされますので、「特定課税仕入れ」として申告する必要はなく、また仕入税額控除の対象にもなりません。

 貴社が、国外事業者の運営する宿泊予約サイトへ自身が経営する国内の宿泊施設を掲載するために支払う手数料は、国外事業者から受ける「事業者向け電気通信利用役務の提供」の対価に該当します。
 したがって、貴社の特定課税仕入れに該当することとなりますが、貴社は、当課税期間について簡易課税制度を適用しておらず、課税売上割合が95%以上の事業者ですので、その特定課税仕入れはなかったものとされ、リバースチャージ方式により申告をする必要はありません。また、その手数料は仕入税額控除の対象にもなりません。

(参考)

 インターネット等を通じて受ける役務の提供について、リバースチャージ方式による申告が必要か否かの判定は、以下のフロー図を参考としてください。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第8号の4、第5条第1項、第30条第1項、平成27年改正法附則第42条、第44条第2項

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。