当社は、国外事業者からインターネットを介して電子書籍を購入しました。この取引は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」には該当せず、いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」(注)に該当するものですが、仕入税額控除をすることができますか。
(注) 「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当しないものを、ここでは便宜的に「消費者向け電気通信利用役務の提供」といいます。
事業者が、国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた、いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、当分の間、仕入税額控除の適用は認められていません。
ただし、「登録国外事業者」から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、帳簿及び請求書等の保存など、一定の要件を満たす場合には、仕入税額控除の適用が認められます。
この場合、他の課税仕入れの要件に加えて、帳簿については「登録国外事業者」に付された「登録番号」、請求書等については「登録番号」と「当該役務の提供を行った事業者において消費税を納める義務があること」の記載が要件とされています。
〔 「消費者向け電気通信利用役務の提供」に係る請求書等の記載事項 〕 | |
イ | 書類の作成者の氏名又は名称及び登録番号 |
ロ | 課税資産の譲渡等を行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間) |
ハ | 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容 |
ニ | 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。) |
ホ | 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称 |
へ | 課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨 |
※ 太字が、他の課税仕入れに係る請求書等の記載事項と異なる部分です。 |
なお、その取引の性質に鑑み、取引相手から交付される請求書等の保存については、紙によるものに代えて、法令に規定された記載事項を満たした電子的な請求書等の保存によることができることとされています。
また、「登録国外事業者」は、その消費者向け電気通信利用役務の提供を受ける事業者の求めに応じ、必要な事項が記載された請求書等を交付する義務が課されています。
おって、国外事業者が「登録国外事業者」に該当するかどうかは、当該事業者の氏名又は名称、登録番号及び登録年月日等について、国税庁ホームページで「登録国外事業者名簿」を公表しています。
(注) 平成27年10月1日以降に、国境を越えて行われるデジタルコンテンツの配信等の役務の提供に係る消費税の課税関係については、見直しが行われています。
詳しくは、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。
平成27年改正法附則第38条、平成27年改正省令附則第2条第1項、消費税法基本通達11-1-3(注)2
注記
令和4年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。