当社は「企業主導型保育事業」(注)に係る企業主導型保育施設の設置法人であり、同施設の運営の全てを株式会社A(以下「A社」といいます。)へ委託していますが、当社がA社に支払う委託料の消費税の取扱いはどうなるのでしょうか。
なお、当該企業主導型保育施設は児童福祉法第59条の2第1項の規定に基づき認可外保育施設としての届出を行っており、また、当該企業主導型保育施設は「消費税法施行令第14条の3第1号の規定に基づき内閣総理大臣が指定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等」(平成17年厚生労働省告示第128号)に定める要件を満たす旨の証明書の交付をB県知事から受けています。
(注) 「企業主導型保育事業」は、児童福祉法第59条の2第1項に規定する施設(同項の規定による届出がされたもののうち利用定員(児童福祉法施行規則第49条の3第4号に定める入所定員をいう。)が6人以上のものに限る。)のうち、同法第6条の3第12項に規定する業務を目的とするものの設置者が企業主導型保育事業費補助金実施要綱の規定等に基づき行う保育事業であり、施設の設置者は、児童福祉法第59条の2第1項の規定に基づき、認可外保育施設としての届出をしなければならず、当該施設の運営にあたっては「認可外保育施設指導監督基準」等を遵守しなければならないとされています。
ご質問の貴社が設置した企業主導型保育施設について、A社(受託者)が貴社に対して行う「企業主導型保育施設の運営受託」という役務提供は、社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に類するものとして、消費税は非課税となります。
したがって、貴社がA社に支払う委託料は、課税仕入れとなりません。
(理由)
都道府県知事の認可を受けた保育所(認可保育所)を経営する事業は、社会福祉事業として行われる資産の譲渡等として、非課税となります(法別表第二7ロ)。
また、都道府県知事の認可を受けない保育施設(認可外保育施設)を経営する事業については、社会福祉事業には該当しませんが、児童福祉法第59条の2第1項の規定に基づく都道府県知事への届出が行われた施設であって、同法第59条第1項に基づく都道府県知事の立入調査を受け、平成17年厚生労働省告示第128号に定める要件を全て満たし、その満たしていることにつき都道府県知事等から証明書の交付を受けている施設において、乳幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等については、社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に類するものとして、非課税となります(法別表第二7ハ、令14の3一、基通6−7−7の2、平成17年厚生労働省告示128)。
さらに、社会福祉法人等が地方公共団体等から当該地方公共団体等が設置した社会福祉施設の経営を委託された場合に、当該社会福祉法人等が行う当該社会福祉施設の経営は、社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に該当し、非課税となります(基通6−7−9)。
これらのことを踏まえると、貴社が設置した企業主導型保育施設は児童福祉法第59条の2第1項の規定による認可外保育施設の届出が行われており、当該企業主導型保育施設で行う事業は平成17年厚生労働省告示第128号に定める要件を満たす旨の証明書の交付をB県知事から受けていることから、A社が貴社に対して行う「企業主導型保育施設の運営受託」という役務提供は社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に類するものに該当し、消費税は非課税となります。
したがって、貴社がA社に支払う委託料は、課税仕入れとなりません。
消費税法別表第二第7号ロ、ハ、消費税法施行令第14条の3第1項第1号、消費税法基本通達6-7-7の2、6-7-9、平成17年厚生労働省告示第128号「消費税法施行令第14条の3第1号の規定に基づき内閣総理大臣が指定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等」
注記
令和6年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。