【照会要旨】

 社会福祉法人が作成しなければならない各会計年度に係る計算書類(貸借対照表及び収支計算書)の作成期限については、社会福祉法の改正(注)により、平成29年4月1日以降、毎会計年度終了後三月以内とされました(従前は毎会計年度終了後二月以内)。
 当法人は社会福祉法人ですが、当該改正による計算書類の作成期限の延長を理由として、消費税の申告書の提出期限の特例(法608)の適用を受けることができますか。
 なお、当法人は、発生主義により経理することとされているため、「国又は地方公共団体に準ずる法人の資産の譲渡等の時期の特例」(令741)の承認を受けていません。
 (注)当該改正の前後において、決算を完結する日についての定めは置かれておらず、決算に係る所管省庁の承認を受けることも義務付けられていません。

【回答要旨】

  •  社会福祉法人等の消費税法別表第三に掲げる法人のうち、法令によりその決算を完結する日が会計年度の末日の翌日以後二月以上を経過した日と定められていることその他特別な事情があるもので消費税法第60条第8項に規定する申告書の提出期限の特例の適用を受けることにつき所轄税務署長の承認を受けたものは、その課税期間の末日の翌日から六月以内の期間を限度として、当該申告書の提出期限を延長することができることとされています。
     また、この場合の「その他特別な事情があるもの」とは、消費税法基本通達16−3−2の2において、原則として次のような場合であることを具体的に示しています。
    1. まる1 法令によりその決算を完結する日が会計年度の末日の翌日から2月を経過する日と定められている場合
    2. まる2 まる1以外の場合で、法令により事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日以後に当該法人の決算について所管官庁の承認を受けることとされているもののうち、決算関係書類の所管官庁への提出期限が定められている場合(法令において単に、決算書等を所管官庁へ提出することが義務付けられている場合は含まれない)
    3. まる3 まる1及びまる2以外で、消費税法施行令第74条第1項に規定する「国又は地方公共団体に準ずる法人の資産の譲渡等の時期の特例」の承認を受けた法人
     ご質問の社会福祉法の改正による計算書類の作成期限の延長は、上記まる1からまる3までのいずれにも該当せず、消費税法施行令第76条第1項に規定する「その他特別な事情があるもの」とは認められませんので、消費税法第60条第8項に規定する申告書の提出期限の特例の適用を受けることはできません。

【関係法令通達】

 消費税法第60条第8項、消費税法施行令第76条第1項、第2項第4号、消費税法基本通達16−1−2の2(注)、16-3-2の2

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。