【照会要旨】

 簡易課税の事業区分は、おおむね日本標準産業分類を基礎として判定すると聞いていますが、具体的にはどのように判定するのでしょうか。

【回答要旨】

 事業者が行う事業の区分は、原則として、それぞれの資産の譲渡等ごとに判定を行うことになりますが、日本標準産業分類を基に事業の種類を区分するとおおむね次のように分類されます。
 なお、ここでは日本標準産業分類の大分類のうち、J金融業、保険業、K不動産業、物品賃貸業、L学術研究、専門・技術サービス業、M宿泊業、飲食サービス業について掲載しており、その他の分類については別途掲載しています。

(注)

  1. 1 事業区分のうち、第三種事業及び第五種事業については、日本標準産業分類(大分類)の製造業等及びサービス業等の分類を基準に、これらの製造業等及びサービス業等として一般的に行われる資産の譲渡等に該当するかどうかにより判定を行いますが、すべての業種の判定について日本標準産業分類からみた事業区分の目安に過ぎません。
  2. 2 この表の事業区分欄は日本標準産業分類の各業種分類における一般的な事業の種類を表示したものであり、この表の留意事項欄に例示のない資産の譲渡等については、個別に判定する必要があります。
  3. 3 平成20年4月1日から各中分類ごとに設けられた小分類「管理、補助的経済活動を行う事業所」は、おおむねそれぞれの事業所において行う事業が該当する小分類の事業区分に従って判定されます。
  4. 4 平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、簡易課税制度のみなし仕入率の見直しが行われています。
    詳しくは、「消費税法令の改正等のお知らせ(平成26年4月)」(PDF/2,712KB)をご参照ください。

大分類【J−金融業、保険業】

中分類 小分類 事業区分 留意事項及び具体的な取扱い
銀行業
〔62〕
中央銀行〔621〕
銀行(中央銀行を除く)〔622〕
第五種事業

 課税となる各種受取手数料等が対象となる。

協同組織金融業
〔63〕
中小企業等金融業〔631〕
農林水産金融業〔632〕
第五種事業

 課税となる各種受取手数料等が対象となる。

貸金業、クレジットカード業等非預金信用機関
〔64〕
貸金業〔641〕
質屋〔642〕
クレジットカード業、割賦金融業〔643〕
その他の非預金信用機関〔649〕
第五種事業

 課税となる各種受取手数料等が対象となる。

金融商品取引業、商品先物取引業
〔65〕
金融商品取引業〔651〕
商品先物取引業、商品投資顧問業〔652〕
第五種事業

 課税となる各種受取手数料等が対象となる。

 商品の自己売買は第一種事業又は第二種事業に該当する。

(注) 資産の引渡しを伴わない差金決済は不課税

補助的金融業等
〔66〕
補助的金融業、金融附帯業〔661〕
信託業〔662〕
金融代理業〔663〕
第五種事業

 課税となる各種受取手数料等が対象となる。

保険業(保険媒介代理業、保険サービス業を含む)
〔67〕
生命保険業〔671〕
損害保険業〔672〕
共済事業、少額短期保険業〔673〕
保険媒介代理業〔674〕
保険サービス業〔675〕
第五種事業

 課税となる各種受取手数料(代理店手数料)等が対象となる。

大分類【K−不動産業、物品賃貸業】

中分類 小分類 事業区分 留意事項及び具体的な取扱い
不動産取引業
〔68〕
建物売買業、土地売買業〔681〕
不動産代理業・仲介業〔682〕
第六種事業

 他の事業者が建築施工(自らが施主となって請負契約により建築業者に施工させる場合を除く。)したものを購入してそのまま販売する場合は、第一種事業又は第二種事業に該当する。

 自ら建築施工(自らが施主となって請負契約により建築業者に施工させる場合を含む。)したものを販売する事業は、第三種事業に該当する。

 中古住宅をリメイク(塗装、修理等)して販売する事業は第三種事業に該当する。

不動産賃貸業・管理業
〔69〕
不動産賃貸業(貸家業、貸間業を除く)〔691〕
貸家業、貸間業〔692〕
駐車場業〔693〕
不動産管理業〔694〕
第六種事業

(注) 住宅の貸付けは非課税

物品賃貸業
〔70〕
各種物品賃貸業〔701〕
産業用機械器具賃貸業〔702〕
事務用機械器具賃貸業〔703〕
自動車賃貸業〔704〕
スポーツ・娯楽用品賃貸業〔705〕
その他の物品賃貸業〔709〕
第五種事業

 リース取引のうち、売買とされる取引は、第一種事業又は第二種事業に該当する。

大分類【L−学術研究、専門・技術サービス業】

中分類 小分類 事業区分 留意事項及び具体的な取扱い
学術・開発研究機関
〔71〕
自然科学研究所〔711〕
人文・社会科学研究所〔712〕
第五種事業

 事業内容によっては第一種事業又は第二種事業に該当するものもある。

専門サービス業(他に分類されないもの)
〔72〕
法律事務所、特許事務所〔721〕
公証人役場、司法書士事務所、土地家屋調査士事務所〔722〕
行政書士事務所〔723〕
公認会計士事務所、税理士事務所〔724〕
社会保険労務士事務所〔725〕
デザイン業〔726〕
著述・芸術家業〔727〕
経営コンサルタント業、純粋持株会社〔728〕
その他の専門サービス業〔729〕
第五種事業

 地質調査を行う事業も第五種事業に該当する。

広告業
〔73〕
広告業〔731〕 第五種事業  
技術サービス業(他に分類されないもの)
〔74〕
獣医業〔741〕
土木建築サービス業〔742〕
機械設計業〔743〕
商品・非破壊検査業〔744〕
計量証明業〔745〕
写真業〔746〕
その他の技術サービス業〔749〕
第五種事業

 地質調査を行う事業も第五種事業に該当する。

 結婚式・七五三等の写真を撮影し、単に台紙等にはめ込み、記念写真として作成・引き渡す事業は第五種事業に該当する。

 写真館が小学校等からネガの支給を受け、又は自ら撮影した写真を基に卒業アルバム等を製作する事業は、第三種事業に該当する。

大分類【M−宿泊業、飲食サービス業】

中分類 小分類 事業区分 留意事項及び具体的な取扱い
宿泊業
〔75〕
旅館、ホテル〔751〕
簡易宿所〔752〕
下宿業〔753〕
その他の宿泊業〔759〕
第五種事業

 自動販売機(ジュース、コーヒー等)や売店の売上げは第二種事業に該当する。

 宿泊料金と区分してある客室冷蔵庫の飲物等の売上げは第四種事業に該当する。

 ゲームコーナーの売上げはその他の遊戯場(8069)に該当し、第五種事業となる。

飲食店
〔76〕
食堂、レストラン(専門料理店を除く)〔761〕
専門料理店〔762〕
そば・うどん店〔763〕
すし店〔764〕
酒場、ビヤホール〔765〕
バー、キャバレー、ナイトクラブ〔766〕
喫茶店〔767〕
その他の飲食店〔769〕
第四種事業

 飲食店内にある酒等の自動販売機での販売(セルフサービスを目的としたもの)は第四種事業に該当する。

 飲食のための施設を有する飲食店等が行う仕出し、出前は第四種事業に該当する。

 喫茶店における持帰り用のケーキ・珈琲豆等の仕入販売は、第二種事業に該当する(兼業を行っている実態にあるもので、事業の区分がされている場合)。

持ち帰り・配達飲食サービス業
〔77〕
持ち帰り飲食サービス業〔771〕
配達飲食サービス業〔772〕
第三種事業
又は
第四種事業

 ハンバーガーショップ等の持ち帰り用の販売は第三種事業(製造した製品)又は第二種事業(購入した商品)に該当する。

 飲食のための施設を有する飲食店等が行う仕出し、出前は第四種事業に該当する。

 飲食設備を有しない宅配ピザ店・仕出専門店が行うピザの宅配・仕出料理の宅配は第三種事業に該当する。

【関係法令通達】

 消費税法施行令第57条第5項、消費税法基本通達13-2-4、13-2-8の3

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。